約 1,031,385 件
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1309.html
霊夢38 Megalith 2012/06/19 消費税増税の話で持ち切りの世論では、他の欠乏に目が行くとは○○には思えなかった。 彼はくだらない情報番組を映すTVを消して、ベッドの上にごろんと寝ころんだ。天井のドーム型の蛍光灯は未点灯で、日当たりが悪いためか、部屋は結構に暗い。 網戸からは、子供たちの嬉々とした喚声が部屋の中まで響いた。おそらく、すぐ近くの寺で遊んでいるのだろう。○○は、やんちゃをしていた幼少の砌を思いだし、エアコンをつけないで過ごすのも、中々具合が良いものだと思った。 程なくすると、○○は蝉の声に気が付いた。そこにあることがあまり当然過ぎて、まったく気に入っていなかったのだ。それはあまりに蝉に申し訳ない。少しばかりの人生を削って、鳴いているのである。それに耳を傾けないのは、どうにも趣がない。 そう思い、さて、何をする訳でもなく耳を傾けていると、○○は微睡に落ちた。ベッドの上で眠ってしまったのだ。 そして、目を覚ましたのはポストに何かが落とされた時であった。 彼は重たい体を起き上がらせ、扉の内側にある郵便受けから、落とされたのであろう一枚の手紙を手に取った。ついでに、寝汗でしっとりとした肌がどうにも気持ちわるかったので、彼は小さなタンスから、一枚のタオルを取り出した。 「あつっ……」 汗が伝う首元や蒸れた脇を拭き、濡れたタオルをベッドに投げる。そして、彼は無意識に、背の低いテーブルからエアコンのリモコンを取って、冷房をきかせた。エアコンは音を上げて、動きだし、冷風を吐き出し始めた。 彼は紺色のクッションに腰を下ろして、先ほど取ってきた突然の手紙をテーブルの上にひとまず置く。 それは真っ白な封筒である。中には一枚の紙が入っているようだ。 彼は「ストーカーか?」と疑りながら封筒を開き、紙を取り出す。 三つ折りだ。黒い文字がびっしりと並んでいることが裏からでも分かった。 「…………、」 開く。 そこには綺麗な字で何行にも渡って、文字が並んでいた。 ○○は恐怖心を覚えたが、心してそれを読むことを決めた。 ○○さんへ。 お久しぶりです、○○さん。 あの日みたいに元気にしてますか? もし元気があったのなら、私は嬉しい限りです。 いや、そもそも○○の元気がない姿なんて私には想像できませんから、私はずっと嬉しいのかもしれませんね。 それはそうと、そちらでの生活は上手くいってますか? 私の方は大変ですよ。男手が減ると結構いろんなことがきついです。 まき割とか、お風呂掃除とか、洗濯物とか。とにかくいろんなことがいっぱいになりました。昔に戻ってしまいましたね。 そういえば、○○さんって料理も掃除もなんでもできましたよね。 実は私、嫉妬してたんですよ、○○さんのこと。ずっと一人でやってきた私を軽くあしらうなんて少し許せなかったんです。でも、謝りません。 だって、○○さんが何でもできるのが悪いんであって、私は悪くないんですから。 彼は胸が酷く詰まり、読むことを止めた。 色あせつつあるあの日が浮かび上がるが、それを彼は頭を振って、消した。 夢路に乗るために、自分はあの場所から旅立った、戻ったのだ。どんな結果であろうが殊勝に受け止めなければならないはずである。そうしないと、良心の呵責が彼自身を許さない。 ○○は大きく息を吐いて、読むことを再開する。 そうだ。魔理沙と□□が結婚することになったんですよ。 たった付き合ってから1ヶ月で結婚ですよ? あの奥手な魔理沙が結婚なんて夢にも思いませんでした。 でも、もう私たちは二十歳だし、結婚してもおかしくない歳だから、本当はそんなに驚く必要はないんですけどね。 あと、紫が外来人に負けました。妖怪の賢者って呼ばれてるくせにこてんぱんにされて、泣きべそかいてましたよ。○○さんに見せてあげたかったです。 新聞でも一面を飾っていたので、一緒に渡してあげたかったんですけど、紫が全部回収してしまったので、渡せませんでした。でも、その外来人と紫は今は仲良くやってますよ。 相手は友人としてだと思いますけど。 それと、アリスが子供を産みました。 その前にアリスは△△と結婚して、夫婦になったことを知りませんよね。○○さんがそちらに戻ったのが、三年前ですから、その後すぐに結婚したですよ。魔理沙がわんわん泣いて、すごかったんですよ。 私も泣きそうになりましたけど。 それで、アリスの子供はアリスにそっくりですごく可愛いですよ。最近、私の名前を憶えて、呼んでくれます。お菓子とか買ってあげたくなりますよ。まぁ、お金はありませんけどね。 子供たちの声が消えて、蝉時雨が彼の部屋に降る。 夏の熱気がやけに冷めているように○○には思えた。 それで私の近状です。 私はお見合いをすることになりました。 相手は良家の息子です。性格も見た目も申し分ありませんが、私はあまり嬉しくありません。お見合いを提案した紫が言うには、短命だから早く子供を作って欲しいということです。 私には人権はないのかと訴えたんですが、聞き耳を持ちません。 困った賢者です。やっぱり恋する乙女は盲目なんですね。 とにかくお見合いをすることが決まったんです。 そういえば、こうやって恋愛関係のお話をすることは、◎◎さんの一件以来ですね。 あの時は、結局フラれてしまいましたけど、あの時、○○さんは私のことを抱きしめてくれましたよね。 あの時、すごく嬉しかったんですよ。 味方が居てくれるって思って、とっても嬉しかったんです。 だから、感謝したくてこの手紙を書きました。 手紙は不自然にそこで終わっていた。 いや、終わった訳ではない。残り数行に文字の書いた跡が残っているのだ。 ならば、その数行に書いてあった文字を差出人は消したということである。 ○○は封筒の裏を見る。 そこには何も書いておらず、真っ白であった。 ――――卒爾に彼は立ち上がり、エアコンも窓もそのままにして、部屋を飛び出す。 扉を開くと、彼の視界に嘘みたいな青空が広がった。 「アイツ……」 彼は外付けの階段を駆け下り、アパート前のきつい上り坂になっている道へ出る。見回すが人はいない。 さらに彼は、体力が続く限り、街並みの影が垂れる道々を必死に駆け、そして、彼は長い上り坂の頂上でその足を止めることになった。体力が尽きたのであった。 「…はぁ、はぁ、はぁ」 大きく波打つ胸。無限にしたたるかと思える汗。荒い呼吸。酸素が脳まで回っていないのか、感覚がぼんやりとして、妙に頭が重かった。 彼は息を落ち着かせて、汗でしとどになった額を手の甲で拭き、頭をもたげた。 ……そこには見覚えのある夏の青空があった。 まるで海のような青で、まるで海のように広い。 そして、そこに浮かぶうず高い入道雲は、彼女が夢見た大きな旅客船のようであった。 おそらく、あの船は大きな汽笛と水飛沫をあげながら、こちらに向かってくるだろう。 その時に自分は何ができるのだろうか? 「…………」 彼女のすむ場所には海はない。 彼女は海を知らない。 だが、この空にある海はどこまでも繋がっているのだ。 ……大空の潮風はゆるやかに吹き渡り、木立はそよいだ。 ――――○○さん 突然、彼女の声が聞こえた気がして、彼は振り返った。 味方が居てくれるって思って、とっても嬉しかったんです。 だから、感謝したくてこの手紙を書きました。 だけど、私はダメです。 感謝したら終わってしまう気がしまうんです。 だから、ここに誓います。 博麗霊夢はずっと○○さんが好きです。 この後はあえて書きません。 皆さんが各々想像してみてください。 うpろだ0043 今日は晴れではなかった。 かといって、雨が降っている訳でもない。 分厚い雲に覆われた今日の空模様は、曇りだった。 春が過ぎて初夏に差し掛かろうというこの頃、それは同時に梅雨の季節でもある。 唐突に雨が降ることも珍しくはないし、明日は雨どころか数分後には雨ということもありうる話だ。 だから、この時期はあまり外に出る機会が少ない。 ただ気温が上がるだけならばまだマシだが、さらに湿度が上がることで蒸し暑さというものが生まれる。 いつもの渇いた暑さとは違う、体に纏わりつくかのようなあの暑さは、いつになっても慣れない。 それもあって、更に外に出ることを面倒くさがって出ることがなくなっていく。 自然と、家で一日を過ごすことはそうも珍しくもないのだ。 「暇ね」 「そうだね」 それと全く同じこと、同じ行動をとるのは俺に限った話ではない。 世界に俺一人しかいないのならば話は別だが、そうではないのだ。 同じ場所に住み、暮らしていればお互いに同じになることだってある。 テーブルの向かい側でだらけている巫女も、外に出ようとは思わない。 ………この時期に限らず、という後付けは俺の心の中に留めておこう。 「…………暇ね」 「…………そうだね」 同じ言葉を繰り返す霊夢に、俺も同じ言葉を返す。 だからどうしたというのか、他人の思考を読み取る能力もない俺に何を期待しているのか。 単に返してほしかっただけなのか、それは分からない。 少し色褪せた紙の上に書かれた活字の世界が、今の俺が見えるものだ。 寝転がって本を読んでいる今、霊夢がどんな顔をしているのかはよく見えない。 額面通りの言葉を受け取ったところで、何を考えているのかを知るにはあまりに足りなすぎた。 何もかもが真横になった世界で霊夢を見ようと遮る本を避けると、何かを漁る姿が見える。 ………一体何をしているのだろうかと思いつつ見ていれば、綿毛のついた一つの棒を取り出してこちらに歩み寄ってきた。 「ん」 俺の目の前で正座した次の行動は、自らの膝を叩いてのアピールだった。 数回同じことをした後に霊夢の顔を見れば、こちらをじっと見つめてきている。 霊夢が何を言いたいのか、何をしたいのかは、わざわざ悩んでまで考えることでもなかった。 「…………っと」 じゃあそれに従いますか、ということで立ちあがって霊夢のもとへと向かう。 数歩で届いたその場所にたどり着いて、もう一度寝転がる。 頭を霊夢の太ももへと乗せて、滑らない位置に固定する。 先ほどまで開いていた本は、とうの昔に閉じていた。 「あんたも飽きないわね、そんなに面白いの?」 「少なくとも何もしないよりは、遥かに面白いよ」 「………ふぅん」 返ってきた言葉はそれだけで、霊夢はそれ以上会話を繋げようとしなかった。 これから話しながら作業するわけにもいかないということなのか、あるいは単純に興味がないだけか。 そんなことを気にしてもいいのだが、今だけしか味わえないこの枕を堪能した方が有益だった。 そして、俺が霊夢の膝枕に夢中になっていると、霊夢は俺の耳を触り始めた。 "今からするわよ"というその開始の合図に、俺は少し身構える。 「力入れないで、やりにくいのよ」 「ごめん、どうも他人にやられるのは慣れてなくてね」 この年になって、そんなことを他人任せにやるなんてのは限られた条件をクリアしなくてはならない。 今までは自分でやる多数派だった、しかし最近になってやってもらう少数派に回った。 急激な変化についていけないでいる、というのが実情であり戸惑っている。 "中々慣れないな"と言葉を漏らした時に、"ずっと続けば、いつか慣れるんじゃない?"と霊夢はそう返してきた。 そうならば、いずれ当たり前のようになる日が来るんだろうとは思う。 が、しかしそれがいつになるのかは、全くもって想像もつかないけれど。 「じゃあ始めるわよ、手元が狂っても怒らないでね」 「霊夢なら大丈夫でしょ」 耳の穴の中に、ゆっくりと棒が侵入していく。 普段から何か入れているわけでもないので、内心あまり気分は良くない。 こんな状態でリラックスしろと言われても、逆に緊張するというのが本音ではある。 ただ、何度も繰り返したのが功を奏したのか、霊夢は注文してくることはなかった。 これも慣れがそうさせたのかな、と一人そんなことを思う。 何度も棒の出し入れを繰り返されるうちに、徐々に耳の通りが良くなってきている気がする。 自分では見ることが出来ないので、一体どれだけ積もりに積もった垢があるのかは知らない。 普段あまり手入れをすることもないから、見たらかなり酷いことになっているのだろう。 …………霊夢が一番最初に俺の耳の中を見た第一声は、"こんなので本当に聞こえてるの?"だった。 あれから綺麗にする機会は以前よりも増えているが、それでも霊夢曰く"まだまだ"だとか。 一体、俺の耳の穴はどうなっているのか。 一度見てみたいが、やっぱり見たくないような、そんな曖昧な気分だ。 「………相変わらず凄いわねぇ、どうしたらこうなるのかしら?」 「体質によって変わるみたいだよ、俺は多い方だったってこと」 「実に掃除の甲斐がある耳の穴ね」 「悪いね」 「いいのよ、私が好きでやってることだから」 肩を叩かれて、次は片方の耳だと無言でそう返ってきた。 寝返りを打てばいいだけだが、霊夢がやりにくそうに渋い顔をするからやらない。 わざわざ立ちあがって、逆側に霊夢の太ももへと頭を寝かせた。 「今更なんだけどさ、重くないの?」 「重いわよ」 「………よくやる気になるね」 「言ったでしょ?好きでやってるのよ」 なんでもないことだと、さらりと言ってのける霊夢。 顔は見えないけど、多分いつも通りの顔しているんだろうなと容易に想像がついた。 実に霊夢らしいというか、そういうところは全く変わり映えしないなぁと思う。 でも決して嫌いじゃない、むしろ俺にとっては好ましいことだった。 時に歯に着せない物言いは傷つけることもあるけど、裏表のないストレートな言葉は分かりやすくて有難い。 喜怒哀楽がはっきりしているからこそ、嬉しい時は嬉しいと言ってくれるから。 変に穿った見方をしなくてもいいし、ねじ曲がった解釈も必要ない。 そんなことで神経をすり減らすこともない、本心を出してもいいと思ったから。 …………………だからだろうな、とそう納得する。 「最初は紫に言われてやってみたけど、今は良かったと思ってるわ」 「でも本当は、入れ知恵だって気が付いてたんじゃないの?」 「………いいじゃない、やってみたかったのよ」 「………………そうか、じゃあ仕方ないね」 入れ知恵だとしても、騙されていると分かっていてもやりたいという気持ちを抑えきれなかったようだ。 憧れとか、希望とか夢とか、そういうものを抱いていたのだろうか。 もしそうだとしたならば、断ることなく受け入れたことは正解だったということになる。 後になっての答え合わせにマルを貰えたことには、間違えなくて良かったと振り返る。 そして霊夢に助言した紫さん、ありがとうございました。 今はいない彼女に向かって、心の中でそう呟く。 「……………………」 眼が動くギリギリまで眼球を動かしてみれば、視界の隅で頬を赤くする霊夢がいた。 その反応を見て、本当にやりたかったんだなということを再確認する。 恥じらいもあったんだろうけど、更にそれを上回るくらいだったということ。 そう、それだけのこと。 「………終わったら、人里にでも行ってみる?」 「甘いものでも食べたり、何か買い物でもしたりしてさ」 霊夢に提案を持ちかける。 あんなにも外に出る気が全くしなかったのに、今はもうそんなことはない。 いや逆にどこかに行きたくなった、何かしたくなった。 せずにはいられなくなった、それは唐突に。 同じだ、膝枕をしたくなった霊夢と同じだ。 「………うん」 「もう終わるから、準備して行きましょう」 了解の合図を受け取って、これから向かう場所へと思いを馳せる。 何をしようかなとか、何があるかなとか。 霊夢は笑ってくれるかなって、そんな姿を想像した。 霊夢と居候01(うpろだ0060) 年の瀬。一年か終わる日になっていた。 博麗神社も、珍しく忙しそうにしている。 ただ、忙しくしているのは、今年はただ霊夢だけではなかった。 ざっと音がして、神社の裏手に空からの来客があった。境内に降りなかったのは、屋台の資材が用意してあって危なかったからだった。 「よう、霊夢。珍しいな、こんなに神社が忙しそうなのは」 「魔理沙は暇そうね。手伝ってく?」 「謹んで遠慮しておくぜ」 降りてきた少女――霧雨魔理沙はそう言って、縁側に座っている博麗霊夢の隣に腰掛けた。そして、霊夢が眺めていた方に視線を向ける。 青年が一人、掃除をしていた。里からの手伝いとか、そういうものではない。今現在、博麗神社に居候している外から来た者だった。 神職の付ける装束を着て仕事をしている姿は、それなりに様になっていた。青年も魔理沙が着ていたことには気が付いていたようで、ぺこり、と頭を下げる。 そして、また青年は掃除の続きを始めた。他にも、神社の境内には新年を迎える用意がしてある。 「馴染んでるな、あいつ」 「そうね、便利よ。いろいろやってくれるし」 「正月の用意くらい自分でやれよ」 「さっきまではやってたの。後はやるからって言われたからね」 霊夢はそう言って、手元の茶を飲んだ。そして魔理沙も気がつく。部屋の中にいれば寒くないのに、わざわざ境内の見えるところで霊夢は茶を飲んでいるのだ。 「魔理沙も飲む?」 「ん、もらう。あいつの分はいいのか」 「終わったら入れてくるわ。冷めるもの」 魔理沙は野暮なことを――本人はそう思ったことを突っ込みはしなかった。そっか、とだけ言って、ずずと茶を啜るだけにとどめた。 霊夢は特に何も言わず境内を眺めている。相変わらず何を考えているのかよくわからない。何かミスでもしたときに指摘するつもりなのかも知れない。 しばらくそうしていた後、霊夢が席を立った。魔理沙は問おうとして、青年が掃除用具をまとめて片付けようとしていることに気が付く。 新しい茶を入れにいったのだろう、と推測して、青年が来るのを待つ。 「こん、にちは」 やってきた青年は、そう魔理沙に礼をした。よう、とだけ魔理沙は返した。そのやりとりの間に、霊夢が帰ってくる。 「お、待たせ、した」 青年は訥々とした様子で、霊夢に向かってそう口にした。少し吃るところがあり、口数は多くない。 「お疲れさま。お茶飲む?」 「いただき、ます」 「ちょっと熱いけど」 「さ、むかった、から、大丈夫」 霊夢の手から湯飲みを受け取り、青年も縁側に座った。ふう、と湯飲みの中身に息を吹きかける。 その様子に、ぱちぱちと目を瞬かせているのは魔理沙だった。その様子を不思議に思って、青年は首を傾げる。 どうしたのか、と聞いているのだと察した魔理沙は、ああいや、と少しだけ言葉を濁した後に応じた。 「……お前、結構喋るんだな」 こく、と青年は頷いた。ず、と茶を一口啜って、口を開く。開いた後に、少し躊躇いがちに言葉が出てきた。 彼は別に躊躇っているわけではなく、一音目が出難いのだった。 生まれつきにそういったものがあり、詰まった後でもするっと次の言葉が出てくれれば詰まらないのだが、再度詰まると本当に言葉が出なくなる。 障害、とまではいかないが、そういう体質なのだ、とは一度聞いた。だから、魔理沙もそんなに喋らないものだと思っていたのだ。 「……話し、たくないわけじゃ、なくて。言葉出すの苦手で」 「ああ、うん、わかった。大体わかった。無理するな」 こくりと頷いて、青年は茶をまた啜り、のんびりとした表情でほうと息をついた。 喋らないからと言って怖いと言うこともなく、こうしているとどこにでもいるような人物にしか見えない。 極端に言葉を出したがらない以外は、感情表現も豊かであるし、笑いも悲しみもする。気配りもするしきちんと働きもする。つまりは普通の人間であった。 「別にコミュニケーションとれないわけじゃないもの」 「うん、普通にどうやって意志疎通してるのか不思議だったけど、納得した」 魔理沙は頷いて、ほとんど冷めてしまった湯飲みの中に追加の分を注いだ。 青年がここに来て、まだ三ヶ月ほどであった。雪に道がほとんど閉ざされるまでは、ちょっとした手伝いや森近霖之助のところにも行っていたらしい。 ただそれでも、幻想郷に慣れるにはまだ時間が短すぎる。しばらく神社に住んでいるから、だいぶわかってきてはいるが、ここは少しばかり里とは違う。 まあ、心配してもどうしようもないことだ。否応なしに慣れねばならないものである。魔理沙はそう思って茶を啜る。 それからしばらく他愛もない話をした後、魔理沙は湯飲みを盆の上に置いた。 「じゃ、また後で来るぜ」 「はいはい」 「また、後ほど」 ひらりと手を振って、魔理沙は箒に乗ると空に駆け上がっていった。それを見送るように、青年はしばらくその後を見上げていた。 「どうしたの?」 「あ、いえ」 霊夢の問いに、彼は少しばかり照れたような顔をした。 「いつ、見ても、空を飛ぶのはいいなと」 「……そんなにいいものかしら」 首を傾げる霊夢に、青年はただうんうんと頷いただけだった。 もう少しで日が沈む、という時刻になって、神社に来客があった。社殿前を片付けていた青年が境内の方に出る。 上白沢慧音だった。彼も何度か会ったことがあったから、その姿は覚えていた。慧音は青年に気が付くと、軽く挨拶をしてくる。 「やあ、こんにちは」 「い、らっしゃい、ませ」 「……ああ、話せるのか」 慧音がやや驚いたような声を上げた。青年は少し考えて、そういえば言葉を直に交わすのは初めてだったと思い出す。 だから、軽く頷いて、苦笑気味に告げた。 「一、応。あまり、得意ではないです」 「うん、話せないと思ってたから、本当に指示を受けるだけのところの仕事を探したんだが……」 「いえ、助かります」 青年は大きく礼をした。話すのは苦手で、接客など以ての外だった。人付き合いは好きなのだが、それとこれとは別であった。友人として接するのと、商売として接するのは次元が全く違う。 ふと、友人なども慣れた相手になると、話す前に大体の予測を付けてくれるようになっていたことを思い出していた。不思議なものだが、そういう慣れというのも人間にはあるらしい。 もはやそんな相手も、外の世界には残っていないが。 「とりあえず、春先からの働き口はあったから、そこに優先的に入れるようにはしたよ」 「あ、りがとう、ございます」 訥とした口調で、彼は礼を言った。それに慧音が何か返す前に、奥から霊夢が出てきた。 「あれ、どうしたの、慧音」 「ああ、彼の仕事の話をしに。後でまたこちらにも顔を出すけれど」 霊夢は頷いて、彼の方をちらりと見た。彼はただ頷いた。そういうことだと言っていた。 「一旦また戻るの?」 「うん、年の瀬なのだけど、まだ少し」 「師走とはよく言ったものね」 「違いない。年を越してしまうかもしれないから先に。よいお年を」 「ええ、よいお年を」 「よい、お年を」 青年も最後だけ会話に加わった。テンポのよい会話には入り難い。ただ、聞く専門でいるのも嫌いではなかったから、その性格だけは救いであった。 慧音は軽く手を上げて、夕闇の迫る空へ浮かび上がっていった。青年と霊夢は並んでそれを見送った。 慧音を見送った後、居間に移って青年と霊夢は向かい合って茶を飲んでいた。 もうじき忙しくなるから、その前に一服しているのだった。しばらく無言で茶を飲んでいたが、不意に霊夢が口を開いた。 「春になったら、あんたはどうするの」 「働き、ます」 「そうじゃなくて」 霊夢は首を振った。青年にはいくつか選択肢がある。外の世界に帰ること。幻想郷に留まって里で暮らすこと。そして他にも。 そのうち、外の世界という線は、実は消えていた。 幻想の境を越えてしまったとき――紫に神隠しをされたわけでなく、偶発的な事故によってこちらに零れ落ちたとき、彼は向こうの時間軸と大きくずれてしまっていた。 帰っても、彼を知る者はなく、彼が帰る場所もない。 それを知ったときは流石にショックだったらしく、普段から話さない彼がさらに無口になって沈み込んでしまった。密かに泣いていたのかも知れない。 霊夢は慰めなかった。下手な慰めは逆効果なのを、本能に近い部分で知っていた。 だから淡々と日常の仕事を――幾分か軽めなものを――振った。彼も応じた。ただ働く方が楽なのだった。 結局、否応なしに彼は幻想郷で生きることになった。里には下りられなかった。 秋の終わり頃に起こった不意の大風でいくつか家屋が倒れており、外から来た新参者の住居に割く労力がなかった。 途方に暮れた彼に対し、状況が整うまでという話で霊夢は神社への居候を許した。そもそも最初からこのときに至るまでも居候していたから、別段変な話ではなかった。 春になるまでにはどうにかなるだろう、という里からの話にも、霊夢は「そう」と返しただけだった。そのときに彼の仕事についての斡旋の連絡も受けた。 それらについて彼は何を思ったのかは知れない。彼はそのことについて何も言わなかったし、今も言わない。 もっともその話のときに彼はそこに居らず、戻ってきた彼に霊夢が慧音との話を説明したのだった。そのとき彼は慧音に丁寧に礼をしただけだった。 ただ声が咄嗟に出なかったらしいが、それを見て慧音は彼が話せないものと勘違いしたらしい。それが幸いになったとも言える。 「春になったら、里に下りるのかって話」 「ああ」 彼はため息のような声を出した。少しだけ目を伏せて、だが何も言わなかった。言葉に迷っているのか、言わずにいたいのか、どうにも判然とはしなかった。 霊夢は促さなかった。それはただ彼自身が決めることであって、霊夢が何かを言うべきことではなかった。 それをわかっているのかいないのか、彼はぽつりと呟いた。 「霊夢、さんは」 どう思うのか。その言葉の先を悟った霊夢は、首を横に振った。 「あんたの好きにすればいいわ。私が決めることじゃないもの」 こくりと彼は頷いた。決断は自分ですべきものであった。誰にも出来ないことだった。 彼はなにも言わなかった。だから霊夢も何も言わなかった。無言のまま、しばらく二人は茶を啜っていた。 不意に来客の気配がした。どちらにとって奇貨になっていたのかはわからない。青年が先に視線を逸らして時計を確かめた。 もうそろそろ、屋台なども準備をする時間だ。魔理沙も戻ってきたのかもしれない。 「人、かな」 「どうかしら。人でない奴らも来るからね」 青年は笑って、準備の手伝いをすると言いおいて部屋を出た。霊夢も立ち上がった。 部屋を出て社殿の方に出てみれば、賑やかになってきている境内が見えた。 屋台もちらほらと出始めている。このまま、年明けまで騒ぎ明かすのだろう。 青年も手伝いに入っていた。屋台同士の間の確認や、資材を見て行っている。何か手伝えることはがあれば手伝ってくるのだろう。 それを見ながら、霊夢は息を吐いた。白い息が、少しの間だけ闇を漂って消えていった。 雪は深い。まだ春は遠い。 遠く除夜の鐘が聞こえてきた。命蓮寺の鐘だろうか。 一年が終わる。それはまた次の一年を生きるということ。 覚悟も達観も諦観もなくても、この世界で生きていかねばならない。 それは何ともまた残酷なものであり、幻想郷はそれら全てを受け入れるのだった。 今はただ、それだけだった。 霊夢と居候02(うpろだ0021,旧うpろだ0060続き) 冬の只中。あらゆるものが白く染まる季節だが、それでも生きていかねばならない。 青年は額の汗を拭いながら、雪かきを続けていた。 神社ではない。里での日雇いの仕事だった。今年はとかく雪が多いとかで、こうした日雇いの仕事も度々あるのであった。 神社に何もせず世話になっているのも気が引けるので、こうして日銭の稼ぎに出ていたりはする。 後少しというところで、休憩が告げられた。この分ならば日が落ちる前には神社に帰れそうだった。 休憩所で茶をもらい、それを啜っているといきなり背後から声をかけられた。 「よう」 「あ」 知り合いの姿に、青年は一言二言声を詰まらせた後、曖昧な笑みを浮かべて一礼した。 本当は飛び上がりそうな程驚いたのだが、どうにも鈍い所為でそういう反応になる。 かわりに、吃音の癖のあるためか、言葉は全く出てこなかった。 「ああ、無理はしなくていいぜ。驚かせたか」 「う、ん。大丈、夫。魔理沙、何か」 辛うじてそれだけを口にする。何か用があって話しかけたのか、と聞きたかったが、その後の言葉が出てこなかったのだった。 「別に用って程じゃなかったんだが、見かけたんでな。里にいるのは珍しいな」 「春まで、でも、日雇いくらいは」 「律儀な奴だなあ」 青年は、再び曖昧な表情で応じた。霊夢のところに居候していて、神社のことも手伝ってもいるが、さすがにそればかりというわけにはいかない。 春からは里に仕事を用意してもらっているが、だからといってそれまで無為徒食というわけにもいかないからだった。 魔理沙はそれに気が付いたのかどうか、話の方向を変えた。 「雪かき、危なくないのか」 「組作ってる、し。俺は、雪を運ぶのもやってる、から」 「ああ」 雪を捨てる場所までは当然のことながら距離がある。幾つか組を作ってのことだから作業は早いが、雪を運ぶ頻度もそれに応じて上がるだろう。 「大変だな」 「神社でも、やってるから。運動不足には、ならずにすむ」 今度はきちんと笑って、ずず、と茶を飲み干す。休憩が終わる号令が響いてきた。 「すまん、休憩の邪魔したか」 「いや、大丈夫。気分転換に、なった。後少しだし」 「じゃ、私はこれから神社に行くから、霊夢にそう遅くならないって伝えておく」 「ありがとう」 別にいい、というような仕草と共に、魔理沙は寒空に上っていく。 見送った後、青年は近くにおいてあったスコップを手にした。言ったからには、早めに終わらせたいところだった。 「というわけで、仕事してた」 「そう」 親友の報告に、霊夢は気のない声で応えた。ずず、と何を考えているかわからない顔で茶を啜っている。 魔理沙としても予想外の反応というわけではなかったので、炬燵に手足を突っ込んで温まることにした。 「あいつ働き者だなあ」 「そうね。単に居候してるだけなら追い出してるかも知れないけど」 「霊夢本当にやりそうだからなあ」 魔理沙はそう言いながら、茶が入った湯のみを炬燵から出した両手で包んだ。会話している間に霊夢が入れてくれていた。 その後一つ二つどうでもいい話をしていると、夕日の明かりが障子を叩いた。 「遅いな。割と早く上がるって言ってたんだが」 「雪道だからね。でももうそろそろじゃないかしら」 霊夢は茶のおかわりを自分の湯飲みに入れた。魔理沙も図々しく湯飲みを差し出す。差し出しながら、首を一つ傾げた。 「晩飯はどうするんだ?」 「帰ってから作るけど?」 「ああ、そうじゃなくて」 魔理沙が意外そうに言ったのを見て、霊夢が逆に不思議そうな表情をする。 「何か変? 帰ってからじゃないと冷めるでしょ」 「いやまあ、そうだが」 魔理沙が意外なのは霊夢がそこまでの気遣いをしてやっていることなのだが、直接口には出さない。 丁度そのとき、戸をノックする音がした。青年が帰ってきたのだというのは魔理沙にもすぐわかった。 霊夢は立ち上がると部屋を出ていった。出迎えるのは珍しくない。彼がとにかく喋らないため、実際に顔を合わせないと会話がしにくいのだ。 魔理沙は炬燵で手足を温めながら、部屋が寒くならないように丁寧に閉められた障子を通して聞こえてくる声に耳を傾けた。 「材料? もらったって? じゃあ、鍋にしましょ。あ、魔理沙も来てるから大丈夫」 霊夢の声だけが聞こえてくる。どうやら、今日の報酬には何か食料も含まれていたらしい。二人分の足音が近付いて、途中で止まった。 「ああ、湯に先に入ってきて。こっちは鍋の用意してるから」 「……本当に仲良いよなあ」 呆れたような魔理沙の声は小さくて、当の本人達の耳には届かなかった。 台所で魔理沙が食事の用意をしていると、針妙丸が姿を現した。 「こんばんは」 「よう」 「霊夢に誘われたから出てきたよ」 魔理沙は曖昧に頷いて、針妙丸に出汁の具合を見るように小さな器に分けて渡した。 「あ、おいし。いいんじゃない?」 「それじゃこんなものか」 満足そうに頷く魔理沙を見ながら器を置いて、針妙丸はきょろと周りを見回しながら尋ねる。 「霊夢は? 向こうにもいなかったけど」 「あいつを呼びに行ったよ」 「そっか」 針妙丸は相槌を打って、少しどこか呆れ気味のため息をつく。魔理沙はそれを見逃さなかった。 「どうなんだ、あいつら」 いろいろな意味を込めた言葉を口にしながら、鍋が冷めないように蓋をする。後はこれを運ぶだけで良い。 「仲良いよ。端から見てると焦れったいくらい」 「やっぱりそうか」 鍋の具合を見ながら、魔理沙はうんうんと頷く。 「あいつ、春になったら里で働くって言うが、ここから出て行くのかな」 その問いに、針妙丸はわからないというように首を傾げた。 「さあ、出て行くつもりなのか、そうでないのか」 「何か言ってないのか」 「霊夢は何も言わないし、あの人も何も言わないし」 「そっか」 魔理沙は曖昧に頷いた。特にそれ以上は突っ込まない。 霊夢とは長い付き合いだが、浮いた話は特になかった。だからこそ逆に突いてやるべきなのかもしれないが。 「あら、いいわね、お鍋って」 「うお、いきなり出てくるな」 空間が歪む嫌な音と共に、八雲紫が顔を出した。本来冬眠中のはずの彼女が出てきたことに、魔理沙は訝しむ。 「何だ、冬眠はやめたのか?」 「たまには起きることもありますわ。中休みみたいなものよ」 「そんなものか」 魔理沙は適当に受け流した。どうせきちんと理由を聞こうとしても答えないだろうことはわかっていた。 紫は曖昧な笑みのままその態度を受け入れて、ふと思い出したといった様子で尋ねる。 「霊夢は?」 「ここの居候を呼びに行ってるよ。ああ、でも遅いな」 実際はそれほど時間は経っていない。待っている時間は本人達が思っているよりも長く感じるものだった。 「見てきましょうか?」 「それで野暮になるのも、なあ」 魔理沙は曖昧な返しをした。実際にはその可能性は低いと思っていた。どうにも、もどかしい距離感なのだ。 「では、待つとしましょうか」 くすり、と紫は怪しげな笑みを浮かべて、良いお酒でも持ってきましょうか、と隙間の中に入っていった。 「もう出来るわよ。ご飯」 「あ、あ。ごめん、すぐに」 青年の部屋を訪ねて、霊夢はそう彼に告げた。薄い明かりだが、作業する分に支障はない。 外から月明かりが入ってきているのもある。雪に反射して、ほんのりと明るい。互いの表情を見るのに支障はない程度には明るかった。 「片付け?」 「服を、かたしてただけ、だから」 青年の言葉に嘘はなかった。洗濯するにも、冬は時期を見計らわないといけない。 「次の晴れには一気に洗濯かしら」 「うん、手伝、う」 「よろしくね」 そのときにはまたいろいろと冬の間の作業もしなければならないだろう。 雪かきもそうだが、また買い出しにもいかねばならない。まだ当分はそうした生活が続くはずだ。 冬が過ぎたら、もう少し過ごしやすくなるのだが。そうなったら。 どちらが先にその思いに至っていたのかはわからない。何も言わない。霊夢も彼も。どうするかさえも。 先に口を開いたのは霊夢だった。けれどもその内容は簡単なもので。 「さ、行きましょう」 「は、い」 応えて、青年は霊夢の方に身体を向けた。向けた瞬間、ぐらりとバランスを崩した。 畳の上には何もなかったはずなのに、何かに足を取られたような転び方だった。 そのまま倒れ込み――倒れ込むときに、霊夢を巻き込んでしまう。 「っ……!?」 青年も霊夢もかわせなかった。畳の上にそのまま倒れ込む。 柔らかい感触が手のひらに触れる。 捕まえてしまった腕は細かった。 触れてしまった身体が温かいのは、きっと暖かい部屋で温まっていたから。 視線が近い。いつも静かなその瞳が、僅かに驚いたように見えて―― そう思った瞬間、天地が逆転した。 投げられたのだと気が付いたのは、したたかに背中を壁に打ち付けた後だった。 上下ひっくり返ったままずり落ちる。重力に引かれるままに情けなく畳に転がった。 「……ごめん、つい」 「い、いや、こちらも悪、かっ」 言葉に詰まりながら、慌てて身体を起こして謝罪する。霊夢は何事もなかったかのように立ち上がって、ぱんぱんと手をはたいた。 「お鍋、そろそろ出来てるはずだから」 障子に手をかけて、霊夢はちらりとだけ振り返った。 「先に、行ってるわ」 「は、い」 こくりと頷き、青年は身を正して起きあがった。 起きあがった後、自分の手をしばらく見つめ、そして一つ小さく息を吐いた。 長くもない廊下を歩いている途中、霊夢は立ち止まって呟いた。小さいが、はっきりとした声で。 「紫でしょ、さっきの」 「あら、余計なお世話でした?」 空間の歪む音とともに、紫が隙間から上半身を出してくる。 「余計なお世話とかそう言うのではなくて。何故あの人に」 「あら、ちょっとした悪戯ですわ。妖怪はそうした悪戯をするものでしょう?」 「誤魔化さないで」 「誤魔化してないわ。悪戯を仕掛けたのは、何も彼に対してだけではないもの」 その言葉を聞いて、霊夢は静かに紫を見やった。瞳の光は鋭く射抜くかのようだったが。それに対して紫はあら怖いと言っただけだった。 「何が狙い? もう彼は幻想郷の住人よ。獲物にするには当たらないはずだけど」 「ええ、そうですわね。彼は我々の食事にはなりません。彼自身が危険なことをしない限りは」 「ならばどうして」 霊夢の言葉は静かに詰め寄るかのようだった。感情が含まれていない分、その言葉には凄みがあった。 紫はくすりと笑って、それがまるで稚気の現れだと言わんばかりに核心に触れてみせた。 「触れることも避けていたようだったから、少しお手伝いしたつもりだったのですけど」 「この場で退治されたいようね」 「あら、怖い。でも、嫌ではなかったのでしょう?」 「ゆか――――」 言い掛けた言葉と放たれた札は、虚空を貫いて行ってしまった。 紫が去った空間を睨みつけて、霊夢はそっと自分の身体を抱くように両腕を自分の肩に回した。 一つ大きくため息をついて、そして何事もなかったかのように歩みを進め、居間に戻る。 「おう、霊夢遅かったな。あいつは?」 「すぐ来るわ」 魔理沙の言葉にそう告げて、炬燵の中に足を入れる。炬燵の中は暖かかった。 卓の上にはすでに鍋が用意されている。 「ん。あ、紫がさっき来て酒持ってきて――というか今出してきたんだけどさ」 「そうそ、隙間の中から」 針妙丸が、小さな彼女用の器に酒を入れてもらっている。 霊夢は紫をちらりと見た。紫は涼しげな表情のまま、霊夢にも酒を勧める。 「あら、そんな顔しなくても霊夢の分もありますわ」 霊夢はそうじゃない、と言いたげであったが、特に何も言わずに自分の分のぐい呑みを差し出した。 間もなくして、遅くなりましたと辿々しく告げて青年が入ってきた。 「すまんな、先に食べてた」 「いや、遅れたのは、こっちだから」 言いながら、青年も炬燵の中に足を入れる。ほうと一つほっとしたようなため息をついた。 そうぬくぬくし始めてた青年の前に、霊夢は鍋の中身を適当によそって置いてやる。まだ十分に量はあるにはあったが、そうしたかったのだった。 「あ、りがとう、ございます」 「何だ、甲斐甲斐しいな、霊夢」 「ほっとくとあんたが全部食べるでしょうが」 軽口に軽口で返して、霊夢は自分の分もよそった。いただきます、と手を合わせた彼に、今度は紫から声がかけられる。 「貴方も如何?」 「あ、え、あ、いた、だきます」 酒を勧められて、青年は遠慮がちにぐい呑みを差し出す。とくとくと注がれたそれを手に一つ礼をして、口を付ける。 どうもこの青年は紫が苦手なのか、それとも慣れていないのか、妙に萎縮する。 当人曰く、他の妖怪よりも何だか怖い、くらいの感じ方らしいが。 「それにしても、寝てなくていいの、紫」 「たまに起きもしますわ。また寝ますけれど」 「ずっと寝てればいいのに」 相変わらずの言葉を告げた霊夢に、まあまあと適当な返しをしながら、紫は酒のおかわりを注いでくる。 「誤魔化されないから」 「あら、誤魔化されてくれてもいいのに」 霊夢と紫の応答に、青年は素直に首を傾げていた。こうした会話に、彼が口を挟むことはない。 不思議そうな顔をしていたものの、また鍋を食べ始める。空腹だったのか、すぐに空になってしまったそれを、今度は自分でよそっていた。 「また降り始めたな」 不意に魔理沙が呟いた。こもった空気を入れ換えるために障子を少しばかり開けていたのだった。 いつの間にか、雲が月を隠していた。静かに雪が降り始めている。 「あー、また冷えそうだねえ」 「あったかい、布、追加しようか」 針妙丸に向かって、青年が首を傾げた。 彼女が部屋にしているところも寒くなりすぎないように霊夢が配慮してやってはいるが、それでも寒いことはある。 「あ、それは助かるかなあ」 「うん、霊夢さん」 「いいわよ。押入かどこかに余ってたはずだからそこから持って行って」 じゃあ、後で取り出す、と青年は応じて、手元のぐい呑みをくいと傾けた。 「私の分の布団も頼む。どのみちこれでは足止めだからな」 「最初から泊まるつもりだったでしょう」 霊夢は呆れたように首を振った。まあなと魔理沙は笑う。 青年はその二人を見比べて、何度か口を開閉させた後ただ頷いた。そちらもそうする、という意思表示だった。 「次は春かしらね、私は」 紫は何気なくそう言って、彼のぐい呑みにもう一つ注いだ。青年は一礼してまたそれを口に運ぶ。 「貴方も里で働くのでしょう? ああ、安心して。余程自分から命を捨てようとしない限り大丈夫よ」 「感謝、します」 「礼は必要ないわ。それが決まりですもの。そして、春になったらどうするの?」 紫の問いに、興味深げな視線を向けたのは針妙丸と魔理沙だった。霊夢はちらとも見ずに酒を飲んでいる。 青年は口を開閉させて、けれども言葉がすっと出てこなかったのか、ぺこりと一つ頭を下げた。 「勘弁してほしい、というところかしら」 紫の言葉に、青年は何度も頷いた。仕方ないわね、というようにため息をついて、紫は態度を崩した。 「酔わせたらもう少しいろいろ聞けるかと思ったんだけど」 「そんな理由で酔わせるな」 「まあまあ霊夢、意外に面白いかもしれないぞ。ほら、もっと飲め」 魔理沙に薦められて、青年は困ったように霊夢に助けを求める視線を向けた。 「……後で、布団の用意を自分ですることになっても知らないわよ、魔理沙」 「…………この時期にごろ寝は怖いな」 魔理沙が薦めを緩めて、青年はほっと息を吐く。 「あり、がとう」 「どういたしまして」 霊夢は素っ気なくそう答えて、開いている障子の向こう側の景色に視線を移した。 外はまだ雪が深々と降り続いていた。 何もかもを埋めてしまうかのように、静かに降り続いていた。 うpろだ0045 「ふぁ~ぁ~」 縁側に寝そべりながら外の風景を眺める。 庭に植えられている桜も散り、新緑が芽生える初夏。 昼寝するには持ってこいの気候だ。 「このまま寝ちまおうかなあ……ふぁ」 溢れ出る欠伸を抑える事もせず、全身を弛緩させ、怠惰を貪る。 休日というのはこうでなくちゃな。 「食べた後すぐ寝っ転がると牛になるわよ」 居間の方から声が聞こえる。 首だけ振り向くと、お盆を手にした霊夢が呆れを抑えきれない表情でこちらへと向かって歩いていた。 霊夢と俺は夫婦という関係にある。 数年前、外の世界から幻想郷へ迷い込んだ俺は紆余曲折あって霊夢と結婚する事になった。 結婚後、俺は博麗神社へと住み込み、霊夢と生活を共にしている。 「はいお茶。飲むでしょ?」 急須を傾けてお茶をお椀へと注ぐ。 断りを入れながらも既にお茶を注いでいるのは、朝食後の一服が俺達の生活に組み込まれている為か。 こういった細かい所に、結婚生活の喜びを感じ、思わず頬が緩みそうになる。 「ありがと。頂きます」 「はい」 夫婦二人、肩を並べて縁側でお茶を啜る。 庭の風景を眺め、風が木々を揺らす音を聞きながら、静かな時間が流れる。 時折思いついたように、お互いが話したい事を話し、相手が頷いて。 話が終わるとまた静寂が訪れる。 言葉を交わさずとも満たされた気持ちになれるというのは、数年前の俺からしたら考えられない事だろう。 急須の中身が空になる頃、俺の隣に正座していた霊夢がおもむろに足を崩す。 所謂女の子座りというヤツだ。 霊夢は傍にあるお盆に載せてあった木箱を取り出す。 霊夢がこちらへ向き、自身の膝を両手でぽんぽんと叩く。 「今日もするんでしょ?」 「……おねがいします」 これも、俺達の生活習慣の一つなのだろう。 互いの仕事が休みの日、俺は霊夢に耳掃除をしてもらっている。 いつから始まったかは正確に覚えていないが、切欠は今でも覚えている。 結婚前、博麗神社に遊びにきていた俺は、居間にあった耳かき棒を借りて耳掃除をしていた。 幻想郷に耳かき文化がある事を知らなかった俺は、長い間耳掃除をさぼっていた。 たまたま見つけた耳かき棒を借りて、セルフ耳かきを行っていたが、 長期間放置していた為か、耳垢が外耳にこびり付き、上手く取れずにいた。 そこに霊夢が現れ、耳掃除をしてくれる事になった。 頭を振り回しながら耳かきしている俺を見て不安に思ったようだ。 その後、博麗神社に遊びに行ったら霊夢に耳をかいて貰うという事が恒例となり、 結婚後も続いている、という訳だ。 ちなみに、いつもして貰って悪いという事で、俺が霊夢の耳掃除をしてあげたいと提案したら鼻で笑われた。 急須の乗ったお盆を端へ避け、霊夢の太腿へ寝転がる。 霊夢の身体に対し、頭を垂直に向けて太腿へと乗せている為、逆さではあるが霊夢の顔を真正面から見る事になる。 幻想郷にきたばかりの頃は少女らしい、幼い顔つきをしていた彼女であったが、 今では女性らしい落ち着きを湛えた表情を見せる。 「何ボサッとしてんの? 右耳、向いて?」 「……おう」 見とれていた、なんてとてもではないが口には出せない。向こう一ヶ月はからかわれる事になるのが目に見えている。 思わず勢い良く顔を左側に向けてしまう。恥ずかしがっているのが丸分かりだが、仕方がない。 そんな事を気にした様子もなく、先程取り出した木箱の中から、竹製の耳かき棒、ちり紙を取り出す。 「じゃあ、始めるわよ。まずは外側からね」 ちり紙を使い、耳の外側部分を擦る。 「あんたお風呂の時耳洗ってないでしょ? 垢溜まってるわよ」 しょうがないわねー、と言いながらも、窪みの部分まで丁寧に擦り上げ、綺麗にしてくれる。 普段はだらけている印象が強いが、本気を出した彼女の仕事は誰よりも丁寧で繊細だ。 ただ、その本気が特定の分野のみでしか発揮しない事が何よりも問題である。 まあ、数少ない分野の内に耳掃除が含まれている事はありがたい所ではあるが。 そうこうしている内に外側の掃除が終わった様だ。 残りカスを細い指を使って優しく払ってくれる。 「じゃあ、耳かき棒入れるわよ。痛かったらちゃんと言いなさいよ?」 幻想郷における耳かきは、現代日本のそれと余り変わりはない。 先端は匙の様になっており、反対側には梵天もついている。 匙の部分が耳の穴の入口に触れる。 すーーーっ 表面をなぞる様に棒が走らされる。 入口付近の浅い部分を、円を描くようにかきあげる さりさりっ…すすーー 時折細かい耳垢を巻き込みながら、徐々に奥へ奥へと進入していく。 「どう? 痛くない?」 繊細な作業をしている所為か、声のトーンを落として囁く様に霊夢が尋ねてくる。 耳元を吐息が撫ぜて、こそばゆさに身が震えそうになる。 「……うん。大丈夫」 そんな様子を悟られたくなかったので、平静を装う様に反応してしまう。 「そう。じゃあ続けるね」 耳の穴の中に生える産毛を撫でながら、奥へと進んでいく。 つつーー…かりっ、かりっ 時折、薄く張り付いた耳垢を見つけては、匙を器用に使って剥がしていく。 「おっ、綺麗に取れたわね~」 一旦耳かき棒を取り出し、取れた獲物を掌に載せる。 「見たい?」 「遠慮しとくわ……」 「あっそう。中々良い作品なんだけど」 大人っぽい表情を見せるようになっても、こういう所はまだまだ子供っぽい。 まあ、そこもまた可愛い訳なんだが…… 取り出した耳垢をちり紙の上に乗せ、耳かきを再開する。 「ここ、溜まってるわね。そろそろ本気をだそうかしら」 再び耳の中に進入した匙が、皮膚に触れる かさっ…かりっ…かりかり 霊夢の言葉通り、本格的に耳垢をかき始めた様だ。 匙の動きに合わせ、耳の中から頭全体へと細かな振動が伝わってくる。 「……んっ」 心地の良さに、思わず声を漏らしてしまう。 「今の気持ち良かった?」 俺の反応に気を良くしたのか、霊夢が訊ねてくる。 「……おぅ」 声を漏らしてしまった恥ずかしさと、耳かきの気持ち良さで、つい反応がおろそかになってしまう。 「そう」 満足気な声。横を向いているので顔は見えないが、さぞ良い笑顔をしている事だろう。 かさ…かりっ、ぺりっ… 「んぁあ!?」 一際強い衝撃が脳髄に叩き込まれる。 どうやら大きな塊を一気に引き剥がしたらしい。 一瞬の痛みの後、途方もない快感が耳の中に広がる。 「大丈夫!? 痛かったの?」 霊夢が心配そうに声を掛けてくれる。 「大丈夫。 いきなりだったからびっくりしただけだよ」 強い刺激を脳に直接放り込まれ、声を抑える事ができなかった。 「続けても平気?」 「むしろお願いしたいかな……」 あの気持ち良さをまた体験したいが為、改めて霊夢に耳を差し出す。 ぐっ…ぐぐっ… ある程度耳垢を取り終えた所で、霊夢はかき方を変えてくる。 今度は耳の中をマッサージするように、壁に圧力を掛けながらスライドさせる。 ぐぐっ、かさかり…ぐぐー 耳内に少量残っている粉状の耳垢を、匙を使って器用に払い、また押し付ける様にマッサージを行う。 耳の中には無数のツボがあるという話を聞いた事があるが、あながち嘘ではないかも知れない。 「どう? ここ、気持ち良いでしょ?」 霊夢が耳の奥の壁に匙を押し付ける。 背筋を通って全身に快楽が広がっていく。 「うん……」 耳垢を取る時のような、鋭い刺激を伴う気持ち良さとは違う、 優しさを孕んだ、全身に染み渡るような気持ち良さ。 じわじわと快楽に侵食され、意識が落ちてくる。 眠くなってきた…… 「でしょ? あんた、いつもここ押すと気持ち良さそうに反応するのよね」 どうやら弱点を握られている様だ。 まあ、膝枕されて耳に棒を突っ込まれている時点で、生殺与奪の権利は彼女にあるのだが。 「……? どうしたの? 眠いの?」 「……うん」 彼女が何を言っているのかは理解できるが、自身の反応が鈍くなってきている。 「ちょっと、今日買出し行くんでしょ? お酒、今日の分ないわよ?」 「うん……」 段々自分がどう反応しているのか分からなくなる。彼女が何を言っているのかも聞こえなくなってきた。 「まっ……しょう……わね。あん……わたしが……」 「……くー」 彼女が散々文句を言っている所で、俺は意識を手放した。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「まーた寝ちゃったか」 片方を掃除し終えた所で、もう彼の意識は無かった。 耳かきをしてあげるといつもこうだ。 片耳を終えた頃には、大体寝てしまっている。 「よいしょ……っと」 横に向いたまま眠っている彼の顔を正面に向ける。 安らかな寝顔。子供みたい。 「よしよし」 くしゃり、と頭を撫でてやる。少し癖のある髪が、私の手に絡んで、解けていく。 髪、伸びてきたわね。次の休みに切ってやらないと。 「……んー」 頭を太腿に擦り付けられる。 彼の癖だ。枕の上でやっている所は見た事がないから、どうやら私の膝枕限定の様だ。 普段そのようには見えないが、性根は甘えたがりなんだろうか。 「……かわいいなあ」 ぐうたらで、お酒に目がなくて。 でも、私の事、大事にしてくれて。 そんな彼が、愛おしくて堪らない。 彼の頭を撫ぜながら、寝顔を見る。 結婚前から続けている習慣の一つだが、未だ飽きそうにない。 時間が許すなら、一日中だって見続けても良い。 まあ、その前に私の膝が限界を迎えるだろうけど…… 彼が寝付いてから結構な時間が経った。 私はまだ彼の頭を膝に乗せ、寝顔を見たり、頬を突っついたり、と幸せな時間を過ごしていた。 しかし、ここで一つの問題を思い出す。 「どうしよう。買い物行かないと今日分のお酒がないわ……」 それどころか、明日から食べる物もない。 今日は絶対に買出しに行かないとまずいんだけど…… 「……くかー」 起こせない。 こんな幸せそうな顔して眠っている旦那を、私は起こす事ができなかった。 何より、そんな旦那の顔をまだ見ていたいから、起こそうという気がまったく湧いてこない。 「こりゃあ、買い物は昼過ぎかなー」 今日も私は彼が自然に目を覚ますのを待つ。 「何で起こしてくれなかったのさ」 眠そうな眼を擦りながら、彼が私に問う。 「私も寝ちゃってたのよ。大体、あんたが寝るのが悪いんでしょう?」 「そうなんだけどさ……気持ち良過ぎてつい、なあ……」 段々声が尻すぼみになっていく。 このやり取りも、いつも同じ。 私達の大切な習慣だった。 私達はこれからも、数多くの習慣を積み重ねて、日々を生きていく。 夫婦の関係というものは、こうやって少しずつ形作って行くものなのだろう。 「さあ、急ぐわよ。あんたの好きな銘柄、売り切れるわよ?」 霊夢と居候03(うpろだ0056) 「お世話になりました」 ぺこ、と博麗神社の居間で頭を下げたのは少名針妙丸だった。 聞かされた二人の人間は、目を瞬かせて互いに視線を送る。 「出てくの?」 人間の片方、博麗霊夢が首を傾げる。針妙丸は頷いた。 「今すぐってわけじゃないけど。逆さ城もあのままにしておくわけにはいかないから」 私が管理しないとね、と言いながら、針妙丸は小さな椀の茶を空にした。 「お、かわり、いる?」 訥々とした語りの青年――針妙丸と同じく、この神社に居候している男が、そう急須を手にした。 やや吃音の気はあるものの、それ以外は普通の人間だ。 神社に居候しているがために、幻想郷に変な馴染み方をしてしまっているところはあるが。 「あ、いる。ありがと」 素直に頷いた針妙丸の椀に、新しい茶が注がれる。それを見ながら、ああ、と霊夢が頷いた。 「この前紫と話してたあれこれ?」 「そうそ。そろそろ小槌の魔力も回収できるし、ってね」 また茶を啜りながら、針妙丸はこくりと頷いた。彼女の手元には、打出の小槌がある。 一騒動を起こしたそれも、もう何事かを起こす様子はなさそうであった。 霊夢は何度か頷いて、非常に彼女らしい了解の言葉を告げた。 「まあ、勝手にしなさいな。それでも春まではいるんでしょ?」 「うん、ちょっと雪が緩んできてからの方が有り難いから、それからでいい?」 「いいわよ」 霊夢はこともなげに承諾した。そういう人物だとわかっている。 「じゃ、もう少しだけだけど、よろしくお願いします」 ぺこ、と針妙丸は頭を下げた。 その後、霊夢が茶の追加を入れにいったところで、針妙丸が青年に尋ねた。 「ねえ、貴方はどうするの?」 その問いに、青年は一つ首を傾げる。 「霊夢は今みたいに、『勝手にすればいい』としか言わないと思うけど。春になったらさ」 言わんとするところを察したのか、彼はこくりと頷いた。 「……そ、うとは、言われてる、から」 「うん」 口を開閉しながら言葉を出そうとするのを、針妙丸は急かさずに待った。急かすと逆に言葉が出てこないことを知っているからだった。 「……か、ってに、しようと、思ってる」 「……霊夢も霊夢なら貴方も貴方だね。はっきりさせた方がいいと思うけど」 呆れたような、けれども逃げを許さないような口調で、針妙丸は告げた。 「そ、うだね」 青年は、その厳しい言葉に笑みを浮かべた。ずるいことをしている自覚はあった。 針妙丸はそれを洞察したようだった。大仰にため息をつく。 「自覚があるならさらに性質が悪いね」 「う、ん。ずるい、ってのは、わかってる」 「人間っていうのは、こうもずるいのかな」 「……にん、げん、っていうより、俺が、だと思う、よ」 余計性質が悪い、と針妙丸は首を振った。けれども彼女はきちんと釘は差したし、差された方もそれを理解していた。 その、数日後のことであった。玄関先で声がするのが耳に入って、青年はそちらに足を向けた。 「ああ、いいところに」 「ど、うも」 上白沢慧音が、玄関で霊夢と会話していた。立ち話も、とは思ったが、霊夢が軽く首を横に振った。様子に気が付いた慧音が笑う。 「すぐに戻らねばならないから。今日は少しましだが、明日はまた雪が降りそうだから準備をしておかないと。ここは大丈夫か、霊夢?」 「おかげさまで。しばらく閉じこめられても大丈夫なようにはしてるわよ」 霊夢は苦笑気味に肩を竦めた。慧音からすれば、霊夢という存在は博麗の巫女であると同時に、里から離れて生きている少女でもあるのだろう。 妹紅が過保護だって言うのもわかるわ、と冗談混じりに応じて、霊夢は本題を促した。 「ああ、貴方のことなのだが、里の家の割り当てがそろそろ始まるんだ」 青年は頷いた。春になれば、本格的に彼も里での仕事が始まる。この世界に生きていくしかないと決めた以上、働かねば生きていけない。 幸い、働き口はもう決まっている。何度かもう顔合わせもしていたし、業務内容の確認もしていた。まだ始まるまではわからないが、第一印象は悪くなかった。 「それで、その、貴方の希望も聞いておこうと思って。すぐでなくてもいいが、数日中に連絡をくれると有り難い」 「わ、かり、ました」 やや歯切れの悪い慧音の言葉に、青年はそう応じて頭を下げた。 「うん、ああ、お願いするよ。霊夢、そういうことだから」 「ええ」 霊夢は表情のない声で応じた。慧音は少しばかり気がかりそうな表情をした後、ではまた、と挨拶をして帰って行った。 後には二人だけが残された。僅かな沈黙の後、先に口を開いたのは青年の方だった。 「……霊夢、さん」 「…………いつも言ってるでしょ。それに、わかってたことだし」 好きにすればいい、という言外の言葉を、霊夢は口にしなかった。青年も問い返さなかった。 だが、もうはぐらかす時間は終わりを告げ始めているのだと、それだけは確実だった。 その日の風呂上がり、寝衣代わりの甚平の上に書生羽織を羽織った姿で、青年は家の中を歩いていた。 人を探していた。部屋の中にいるかと思ったが、そこにはいなかった。針妙丸に聞いても知らなかった。 眠そうにしていたのを邪魔したのを謝罪した後、また探している。部屋にいないとなれば、後は。 「……さ、むい、のに」 小さい呟きが、我知らず漏れた。白い息が零れて消える。 ようやく見つけた姿は、凍えそうな程寒い縁側で悠然と湯飲みを傾けていた。 近寄りがたい雰囲気すら持っている少女に、青年は口元を一つ引き締めて近付いた。 「ひ、える、よ」 「少し上せたから」 「なお、さら」 青年は、やはり寝衣の上に半纏だけを着込んで座っている霊夢を見て眉をしかめた。 「お茶をもう一杯だけ。それでいいでしょ」 何を言っても聞かないだろうことを察して、青年は盆を挟んだ反対側に腰を下ろす。 話さねばならないことがあった。それで探していたのだが、見つければこんな寒いところにいたというわけだ。 早く部屋の中に戻って欲しいが、何か思うところがあるのだろうか。 湯飲みは二つ用意されていた。一つは霊夢が使っている。もう一つを勝手に使うことにして、急須から茶を注いだ。茶は少し温くなっていた。 しばらく、ただ茶を啜った。何から話し出せばいいか、青年は考えていた。言いたいことはたくさんあるのに、だからこそ言葉がなかなか出てこなかった。 言葉に詰まることに困ったことは多々あれど、こうした詰まり方は初めてだ、と目を細めて苦笑する。 「春になったら、里に降りるの」 口火を切ったことが霊夢であったことに、青年はわずかに驚いた。だが、表情には出さず、ただ言葉を返す。 「…………霊夢、さんは、俺に、勝手にしろ、っ、て」 「ええ、言ったわ。好きにすればいいとも思ってる」 霊夢はそう言いながら茶を啜った。声から感情は読み取れない。 読み取れないから、結局は自分から言わなければならないのだ。 「かっ、てに、しようと、思ってるけど」 「うん」 「……貴女の、許可、が、ないと、流石に」 「……それは」 霊夢は言い差して首を振った。 「はっきり言いなさい。曖昧な言い方で逃げるのはなしにして」 その言葉は、きつい弾劾のように見えて、事実は異なっていた。 少なくとも、青年はそう受け取った。避け続けていたことを告げなければならないと思った。 ずるい逃げ方をしていたツケが回ってきたのだ。 「……ここにいて、いいですか、霊夢さん」 青年の瞳も声も静かだった。その分、霊夢もまた逃げることは出来なかった。 「……ええ、好きにして」 霊夢の言葉を、青年は誤解しなかった。軽く首肯して、茶をまた啜った。だいぶ熱は取れていた。 こと、と音がした。霊夢が自分の湯飲みを置いた音だった。音は軽かった。 「……私の傍は、きっと面倒よ。妖怪は来るし、あれこれのことはあるし。ここは博麗だしね」 「……それでも」 それでも、と青年は繰り返した。ああ、やはり逃げることは出来ないのだ。 はあ、と一つ大きく息を吐く。白い息が、夜闇に溶けて消えた。 「……貴女に、惚れたから。好きです、霊夢さん」 言葉は突っかからなかった。彼にしては珍しいことだった。霊夢は、小さく息を吐いた。やはり白かった。 沈黙は長くは続かなかった。霊夢がその口唇をそっと開いて言葉を口にした。直接的な言葉ではなかった。 「貴方は」 「は、い」 「……魔理沙のことは呼び捨てで呼ぶのに、私にはそうしないのね」 青年は目を瞬かせた後、ゆったりとした笑みを浮かべた。 「……呼ん、でも、いいなら」 「……貴方が、そうしたいなら。好きにして」 少し目を伏せて応じた霊夢に、青年は頷いた。今回も、やはり青年は霊夢の言わんとすることを誤解しなかった。 手元の湯飲みを飲み干して盆に置く。とっくに空になっていた湯飲みの隣に、音を立てずに置いた。 立ち上がり、軽くなった盆を片手で持ち上げて、青年は霊夢に空いた方の手を差し出す。 「霊、夢。冷える、から。お茶も、なくなった」 「……ええ」 霊夢はその手を取って立ち上がった。手はひんやりと冷えていた。青年は眉を顰めた。 「やっ、ぱり、冷たい」 「……そうね」 「……暖めない、と」 「……うん」 霊夢は頷いた。青年は霊夢が立ち上がったのを見た後に一度手を離し、障子を開けて霊夢を促した。 大人しいままの霊夢が中に入った後、青年も後について入ると、後ろ手に障子を閉めた。障子の中で、影が少しだけ動いた。 外では、雪がまたちらつき始めている。 結局、翌日里に降りることは出来なかった。雪が強くなって外に出られなかったのだった。 そのさらに次の日になって、青年は慧音に神社に残る旨を告げるために里に出てきていた。霊夢も一緒に来ている。 「ああ、そうするのか」 慧音は諒解半分、納得半分のような頷きで返した。青年は申し訳なさそうな顔をして、もう一度詫びた。 「す、みま、せん。折角、いろいろ、してもらった、のに」 「いや大丈夫だよ。それならそれでまた割り当てもあるから」 宥めるように言って、慧音は付いてきている霊夢にも話を振った。 「霊夢もそれでいいんだな?」 「ええ。私の家だし、そこは承知してないとオーケー出さないわよ」 「ならいいんだが」 慧音は曖昧に頷いた。霊夢の態度の素っ気なさと、いつもと変わった様子のない青年から、それでいいのかどうかわからなかったのだ。 恋人同士にも見えない二人が、そうして大丈夫なのだろうかと。 だが、これ以上言葉を重ねるのはよくない気もしたし、野暮になるような気もした。どちらにしろ、確信が持てないままでいる。 「さ、買い出しに行くわよ」 「う、ん。では、先生、これで」 青年は頭を下げると、先にさっさと歩き出してしまった霊夢の後を追いかけ始めた。 「霊夢、速、い」 「貴方が遅いのが悪いの。また雪が降り出す前に帰りましょう?」 慧音は遠くなるそのやりとりを見て、ああ、と優しげに微笑う。 考えているほど心配する必要はないのかもしれない、と思ったのだった。 それが事実である、ということを正確に知るまでには、もう少し時間が必要ではあったが。 幾分か買い出しをし、その荷物を両手に抱えた状態で青年は霊夢に尋ねた。 「……いい、の、か」 「何が?」 「その、っ、と」 言葉を選ぶように、同時に何かが突っかかったように口を開閉しながら、青年は時間をかけて問いを口にした。 「……一緒、に、歩いていると、そういう関係に、見られる、と、思う」 青年が霊夢のところに居候しているのは周知の事実だが、二人で里を歩いたことはない。 しかも、割と近しい距離で歩いている。そういう間柄と他人に邪推させるには十分だった。 青年は、それによる霊夢の評判を気にかけたのだった。青年が素性のよくわからない外来人であることに間違いはない。 だが、霊夢の返答は涼しいものだった。 「貴方は嫌?」 「そうでは、ない、けど」 「ならいいじゃない。別に嘘を吐いているわけでもないわ」 どうせ春になって貴方が降りてこなかったらわかることでしょ、と霊夢はこともなげに告げる。白い息が風に乗って消えていった。 「早いか遅いかだけよ、大したことじゃないわ」 「……ん」 彼は頷いた。そう、自分は霊夢の傍にあると決めたのだから、それでいいのかも知れない。 不意に、霊夢が片手を伸ばした。首を傾げていると、片方の手の荷物を奪われた。 「あ」 「さっさと帰りましょ。陽が落ちるのも早いわ」 重ねられた手に、青年は頷いた。今日の手はどちらも冷えていた。 「はや、く、帰って、炬燵と、火鉢に、火を」 「ええ」 霊夢は微笑んで同意を示した。陽が傾く前の里を、二人でそうして歩いていく。 雪解けはまだ遠い。 けれども、蕾が綻ぶように開き始めた想いは、一足先に春を迎えるのだろう。 この先に、何が待っているのかはまだわからないとしても。 それでも、今はただ、この想いをただ大事に咲かせよう。 35スレ目 322 323 325 322 恋をしていままでどうやって飛んでたかわかんなくなって焦る霊夢さん 323 322 最近幻想郷に迷い込んだ○○のことが気になって仕方がない霊夢さん なぜか飛べないことに気付く 霊夢「な、何で.........!?」 脳内(も、もしかして体重が増えたとか!? いや、このごろお金ないしそれなのに ○○との食事は無理してしっかりおかず作るから自分だけの食事は野草を食べる 始末だからそんなことはないはず! だったら何で!? 自分では飛ぼうと しているのに、体は全く浮かない...はっ!) 霊夢「まさか!!」 数日前 ○○「そういえば、霊夢の能力って飛ぶことだったけ?」 霊夢「...なによ? 地味だって言いたいの? 別にいいのよ能力なんて。 それに、私はそれ以上に強そうな能力もちでも普通に勝てるしね」 ○○「さすがは博麗の巫女だな。でも、少し寂しくもなるなぁ」 霊夢「えっ...ど、どういうこと!?」 ○○「いやさ、霊夢って移動するときはほぼ確実に飛んで移動するだろ?」 霊夢「そうだけど......なんか関係あるの、それ?」 ○○「俺って一般人だから空飛べないし、霊夢の移動は空だろ? そうなるとさ、なんか、霊夢が俺よりずっと遠い所にいちゃうような気がして...」 霊夢「なによそれ? 別にそんな遠くまで行かないし、私だって、歩きの移動もあるわよ」 ○○「......そうだよな、うん。悪い、今のはただの独り言だ。忘れてくれ」 霊夢「はいはい」 そして現在 脳内(ま、まさか○○のあの言葉!? じゃあなんで? 忘れろって言ったかから 忘れたはずなのに...そもそもこのこと覚えてた時点で忘れてないじゃない! じゃあもしかして、○○がああ言ったから、私は○○と歩きたいから...) ......意識しないで、飛ぶことを拒否してるの......!? 再び 脳内(何で何で!? 飛ぶのと○○と歩くのは別でしょ! それが何で飛びたくないに つながるのよ! そ、そりゃ、○○とそんなことはしたいとは思うわよ? でも、何で...ああもう! 何でばっかりじゃない! ううー...どうすれば...?) 1.思い切って○○に相談する 2.他の幻想メンバーに相談する 3.解決できない。現実は非常である 石は投げないでください。 325 322 ぼかぁそっからの覚醒イベントみたいなのとか好きだけどね 恋してうまく能力使えない~時に異変が起こって ボスに苦戦してそのせいで○○が危なくなって そうして初めて自分の恋慕の気持ちを認めてからの 霊夢「『幻想浪漫飛行』博麗霊夢!!」 って名乗り口上からの クッソ強なってて無双する展開 35スレ目 345 (35スレ目の 343に対して) 魔理沙「おおっ、私だ!私が出てるぜ!」 文「あやや、押さないで下さいよ。よく見えない。」 香霖「ふむ、僕も出るのか。熱意が伝わってくるね。」 阿求「私の出番、セーブ係くらいなんでしょうねえ」 朱鷺「出番あるだけいいじゃない」 正体不明「お嬢さん方、くよくよしてても始まりませんぜ。『待てば海路の日和あり』と言うじゃあありやせんか。 なあに、この旦那なら末は太宰か芥川、名文の限りであっしらを活写してくれますぜ。 かあーっ、しみるねえ。」 ルナサ「……あなた誰」 霊夢「……」 魔理沙「霊夢は嬉しくないのか?お前が主人公っぽいぜ。このこのー。」 霊夢「回りくどいのよ。こんなもの作らなくても、私は…」 魔理沙「おおっ?」 霊夢「何でもない。ところで、いつ始まるの、これ。」 魔理沙「ボタン押さないとダメだぜ。」 霊夢「そうなの。ふうん、けっこうおもしろいわね。あ、私。 …え、何、これ。こんな話なの?ふーん…」 魔理沙「お、怒ってるのか?その、あいつも悪気があったわけじゃないと思うぜ…。」 霊夢「いい。」 魔理沙「はあ?」 霊夢「いいじゃない!あいつとイチャイチャできるなんてッ!このゲーム最高! ねえ、ここからどうやって先行くの?」 魔理沙「試作だからそこまでだぜ。続きは作ってもらわないと」 霊夢「作ってもらえばいいのね!」 魔理沙「おーい、帰ってこーい。」 20分後、神社に拉致られてカンヅメにされる○○の姿があったとさ。 35スレ目 386 霊夢「また会えるから、絶対」 霊夢「だから、さよならなんて言わないわ」 霊夢「またね!!」 35スレ目 414 皆の前で堂々とチョコを渡して外堀を埋めにかかる霊夢さん 避難所 57 霊夢「彼、一度寝るとなにやっても起きないわよ」 魔理沙「『なにやっても』ってなにやったのぜ?」 霊夢「…………………」 魔理沙「どうしたの?」 避難所 141 魔理沙「あけましておめでタイガー!!」ガオー 霊夢「はいはいタイガータイガー。タイガーアンドバニー」 霊夢「ねぇ、正月ぐらい自分の家でゆっくりしたら?」 魔理沙「だって……ひとりで寂しい…」 霊夢「かわいい」 魔理沙「霊夢正月予定あるの?」 霊夢「明日○○さんちの実家いくぐらい」 魔理沙「そうなんだじゃあ今日お昼からさ…」 魔理沙「……なんで霊夢が○○の実家に行くの…?」 霊夢「……」 魔理沙「…なんで…?」 避難所 182 ゴォォォ「雪」 早苗「すごい降ってる」 霊夢「こんな降るとは思わなかった。困ったわね」 早苗「泊まってってください」 霊夢「いいの?」 早苗「いいよ」 ピロピロピローンピロピロピローロー『オフロガ・ワキマシタ』 霊夢「!」 早苗「あ、お風呂沸きましたね。一番どうぞ」 霊夢「流石に家の人差し置いて一番はやめとくわ。最後に入らせてもらわね」 諏訪子「うぃ~あがったぞ~」ホカホカ 早苗「霊夢さーんもうみんな入ったんでどうぞ~」 霊夢「はーい」 早苗「あっ上がる時追い焚きだけ消しといてください」 霊夢「はーい」 テレビ「この辺がめっちゃ雪降っててぇマジ寒くてぇ明日はぁ」 早苗「…明日も降るんだ…」 『オイダキヲチュウシシマシタ』ピローン 早苗「…水道凍るかも…」 霊夢「お風呂ありがとう」ホカホカ 早苗「あっごめんなさい使い方わかりました?」 霊夢「あぁうん○○さんちのと一緒だったし」 早苗「そろそろ寝ますか?」 霊夢「うん」 早苗「おやすみなさーい」カチッ 霊夢「おやすみ」 霊夢「…zzz…」 早苗「…」 早苗「………」 霊夢(○○さんちのと一緒だったし) 早苗「……………………………………」 避難所 186 霊夢「ねぇ魔理沙アンタさァ」 魔理沙「うん?」 霊夢「チョコ…作ったことある?」 魔理沙「!!」 魔理沙「あ、あるのぜチョコぐらい…」 霊夢「じゃ、じゃあさ…作り方…教えてくンない?」 魔理沙「いいのぜ」 魔理沙「まず魔法陣を描いてだな」カリカリ 霊夢「魔法陣????」 魔理沙「中央に材料を置いて…」 霊夢「ねぇ魔理沙あの」 魔理沙「チョコデペクトルパトローナームッ!!」ビビビ ボボボンボコッボコボコッゴポォ チョコ「シテ…コロ…シテ…」ピクピク 魔理沙「魔法陣ちょっと間違えちゃったかなタハハw」 霊夢「作るってそういう意味じゃなくてね?」 魔理沙「バレンタインチョコ!?!?」 霊夢「うん」 魔理沙「そんなものを作るってことはまさか…!!」 霊夢「……!」 魔理沙「…私は混ぜる惚れ薬を作ればいいのか…?」 霊夢「いらないわよそんなもん!!」 魔理沙「魔(法少)女に相談するってそういうことじゃん!?」 霊夢「そうなの!?」 アリス「そうわよ」 パチェ「そうわよ」 魔理沙「惚れ薬いらないってことはサ」 霊夢「なによ」 魔理沙「相手はもう霊夢に惚れてるのか?」 霊夢「……………………………そ、ういうことじゃ…なくてぇ…」 魔理沙「だったら入れたほうがイージャン」 霊夢「…そういうのこれからなんだからさぁ…」 避難所 509 咲夜「これ、美鈴が里帰りした時のお土産」 霊夢「ありがと。ちょうどウチも珍しいお菓子あるから食べてきなさいよ」 咲夜「アザーッス」 咲夜「これ、おいしいわね」モグモグ 霊夢「でしょ?でもね、賞味期限短いのにいっぱいあるから…いくつか持って帰ってよ」 咲夜「悪いわね」 咲夜「あっ霊夢も『ディア風呂4』やってるの?」 霊夢「うん」 咲夜「パチュリー様もハマってるんだけどさぁ妹様がゲームしすぎの時怒るに怒れなくてさ」 霊夢「『パチェなんか1日中やってるじゃん』って言うんでしょ」 咲夜「そうそう」ワハハ スマホ『prrrrprrrr』 霊夢「あっ電話ちょっとごめんね」 咲夜「うん」 霊夢「もしもしー?〇〇さん?どうしたの家電からなんて」 咲夜「……」モグモグ 霊夢「えっ…スマホ忘れてないかって?」 咲夜「……」オチャズズズ 霊夢「昨日お土産持ってきた時は持ってたよね?」 咲夜「……、……」グビ 霊夢「ねぇ咲夜、アンタ〇〇さんの番号知ってるよね?ちょっと鳴らしてみてくんない?」 咲夜「えっ??あっ、うん。いいけど…」タプタプ \prrrr/\prrrr/ 咲夜「小さいけど聞こえるわね」 霊夢「ちょっと鳴らしてついてきてくれる?」 咲夜「あっちの部屋から聞こえるかも」 霊夢「寝室か」 咲夜「しんッ」 霊夢「押入れからかすかに聞こえる。ふとん畳む時に、巻き込んでたのかも」スボッモゾモゾ 咲夜「“ふとん”」 霊夢「あったあった」スポッ 咲夜「?……?……??」 霊夢「あっ〇〇さんスマホ、あったよ。うん、いつか取りくる?うん、うん、わかった。うんじゃねー」 咲夜「……」 霊夢「すぐ見つかったわありがと。あ、お茶おかわりいる?」 咲夜「ハイオナシャス…」 咲夜「……」 パチェ「咲夜?」 咲夜「ハイッ」ビクッ パチェ「どうしたの?なんか具合悪い?」 咲夜「い、いえちょっと、ちょっと考え事を…」 パチェ「そう、ならいいけど…それでね、あなたが出かける前に頼めばよかったんだけど魔理沙がスマホを忘れていってね?」 咲夜「!!!!!!!!!!!!!!!!」 パチェ「まぁ家に届けてやる義理もないし預かっといてくれないかしら……ってどうしたの」 咲夜「いえっ別にっあのっなにもっ」 パチェ「……ねぇ、ほんとに大丈夫?疲れてるんじゃない?」 咲夜「だいだい大丈夫デス!!」 咲夜「あ、あの…ところで、その、参考にお聞きしたいのですが…」 パチェ「なに?」 咲夜「ど、どこにあったんです…?…スマホ」 パチェ「……えっ?」 咲夜「いえほら!!魔理沙言いそうじゃないですか!!!『どこにあったんだぜ』とか聞きそうじゃないですか!?」 パチェ「そ、そうかしら」 咲夜「絶対聞きますよ絶対魔理沙はそういうやつです必ず聞きます!!!!!!」グワワッ パチェ「なになになにどうしたのどうしたのこわいこわい」 パチェ「ベッドの上」 咲夜「ベッッッッ!?」 パチェ「ねぇどう思う?いきなりアポ無しで来たかと思えば夜通しゲームしようとかいいだしといてもう眠いから寝るわって他人のベッド占領してるやつ」 咲夜「げーむ」 パチェ「ゲーム」 咲夜「…」 パチェ「……スペルトゥーン3」 咲夜「ですよネェ!!!友達がきた夜はオールゲームですよネェ!!そうですよネェ!!オ゛ォ゛~!!」ホッ パチェ「咲夜!?ねぇ咲夜あなたほんとに大丈夫!?」 咲夜「よかっタァ~…私はてっきり弾幕ごっこかと…あ~でもこれじゃ私がむっつり邪推したみたいで…」フゥー パチェ「どうしたのマジで…」 咲夜「あれっちょっと待って霊夢んちのゲーム機って居間に」 避難所 511 ザァァァ「雨」 コインランドリー『アライモノタスカル』 乾燥機「ゴウンゴウン」 霊夢「…」 乾燥機「ゴウンゴウン」 霊夢「…」 乾燥機「ゴウンゴウン」 霊夢「…」 ウィン「魔理沙」自動ドア 霊夢「あっ」 魔理沙「霊夢ぜ」 霊夢「アンタも乾かしに来たの?」 魔理沙「うん」 霊夢「めっちゃ雨降ってるよね、濡れなかった?」 魔理沙「全部避けたのぜ」 乾燥機「ゴウンゴウン」 魔理沙「なんか毎年雨降る時期あるよな」 霊夢「お洗濯困るからやめてほしいよね」 魔理沙「ねー」 霊夢「ねー」 乾燥機「ピーピロピロピロリー」 霊夢「あっ、ウチの終わったわ」 魔理沙「いーなー」 霊夢「よいしょ」ガポッ 魔理沙「霊夢」 霊夢「なに?」 魔理沙「そのシャツデカくない??」 霊夢「え?そう?普通じゃない?」 魔理沙「そうかな…そうかも…」 霊夢「?…変なの」 魔理沙「霊夢」 霊夢「なに?」 魔理沙「その…パンツ?…男もんじゃない?」 霊夢「え?それがどうかしたの?」 魔理沙「えっ?いや、その…」 霊夢「?」 霊夢「なに勘違いしてるのかわかんないけど○○さんの洗濯物よ」 魔理沙「そ、そうなんだ。てっきり霊夢がそういうの履いてるのかと思ってビビっちゃって」 霊夢「私が履くわけないじゃない」 魔理沙「そうだよなシャツもデカすぎるもんな」 霊夢「シャツはたまに着」 魔理沙「へっ?」 霊夢「━━━━、ウチの、終わったし、そろそろ、帰る、わね、じゃあ、また」 魔理沙「お、おう。またな」 雨「ザァァァ」 魔理沙「…」 乾燥機「ゴウンゴウン」 魔理沙「……」 乾燥機「ゴウンゴウン」 魔理沙「………」 乾燥機「ゴウンゴウン」 魔理沙「…………」 魔理沙(なんで霊夢が○○の洗濯物乾かしてんだぜ…??) 避難所 515 霊夢「ねぇ紫、アンタさ」 紫「なぁに」 霊夢「……やっぱなんでもない」 紫「なんでもないんだ。ふーん」 霊夢「…」 紫「…」 霊夢「アノサァ」 紫「うん」 霊夢「………………男の人と、喧嘩、したこと……ある?」 紫「……あるわよ」 霊夢「ど、どぅだった…?」 紫「こう見えて私、負けたことないわ。全員ワンパンよワンパン」シュッシュッ 霊夢「そういう喧嘩じゃなくて」 紫「そりゃ霊夢に勝てる男なんているわけないものね」 霊夢「どういう意味よ」 紫「それで喧嘩っていうのは、つまり『そういう話』でしょ?」 霊夢「……」 紫「あるわよ。あるわ、喧嘩ぐらい…私がまだ大学生だった時に……」 霊夢「……なんで喧嘩したの…?」 紫「よくある、プレゼントよ。誕生日プレゼント。なんというか、彼が悪かったわけじゃなかったわ。思ってたようなロマンチックなプレゼントをもらえなくて、私が拗ねたのよ。なによエッグスチーマーってマジで、確かにゆで卵好きって言ったけどあれってあの人の手料理に対する褒め言葉であってさぁ」 霊夢「……」 紫「ねぇわかる!?家にあげたのよ!?女の子の一人暮らしの部屋に男の子を呼ぶってね!そりゃあ色々覚悟したうえで…いや別に期待してたとかそういうことじゃないけど…!でもっ……誕生日よ!?わかる!?ムードとか!」 霊夢「う、うん。うん。その……あれだよね……?て、手を繋いだりとか…?」 紫「そうそうそうそう手を繋いだりとかッ…ってコラーッ!純度ーッ!」 霊夢「……それで、どうやって……仲直りしたの?」 紫「聞きたいー?聞きたいー?」 霊夢「……キキタイデス……」 紫「…珍しく彼の方から誘ってくれて。そのデートで…リボン、選んでくれたの」 紫「ほんとはそのことにも思うところはあったわよ…どうせ蓮子のアドバイスだったろうし…でもね…」 紫「私だって仲直りするタイミング探してたもの…許すとか許さないとかじゃないわ、それで喧嘩は“終わり”」 紫の、こういう話し方が……苦手だった。 急に声が柔らかくなった、口元はほのかに笑っているけれど嬉しそうとも楽しそうともいえないような、優しくて、寂しそうな顔。 視線を落とす、紫がつけているリボン。私の視線に気づくと紫はおかしそうにわらった 「これじゃないわよ。さすがにもう、なくしちゃったわ」 これじゃない じゃあどこへ行ったの?どこへなくしたの? じゃあなぜそんなにそのリボンを優しく撫でるの? 記憶に、心に、自分の中にまだ残ってて、隙間に落としたみたいにもう取れなくなってしまう。この隙間の先にあるはずの見えないものにずっと心を囚われていく 母も、そういう人だった。 母が父のことについて語ってくれたことはついぞなかった 父のことをたずねると、決まって『どんな人だと思う?』と問いかけてやっと絞り出したみたいにほんの少しだけ笑うだけだった 私は父について何も、知らない 父と母がどんな出会いをし、どんな逢瀬を重ね、そしてなぜ母や私のそばにいなかったのか、何も知らない 紫「で、“噂のあの人”となんかあったわけ?」 不思議で、不思議でならない 私は“喧嘩”した程度の、この張り裂けそうな胸の痛みに耐えられない。癒すすべを知らない なら、なら 母の痛みはどれほどのものだったのか 紫の痛みはどれほどのものなのか それを抱えて生きていくことを、強さと呼ぶのか、弱さと呼ぶのか 私にはわかるべくもない だから、その痛みを知る者に…教えを請うしかないのだ 私は、ゆっくりと話し始めた 話を続ける自分の声がしだいに弱々しくふるえていくのに戸惑ったが 紫が優しい声で相槌をうつと少しだけ、ほんの少しだけ、一歩とも言えないような情けない前進をすることができたのだ 避難所 635 紅魔館 フラン「咲夜ー」 咲夜「はーい?」 フラン「魔理沙がきたー」 咲夜「えぇ…やだなこんな時間に」 魔理沙「よう」 咲夜「何?」 魔理沙「晩御飯ごちそうになりにきたのぜ」 咲夜「いきなりくるな」 咲夜「いつも思うんだけどさ、アンタさ、アポ取るって概念ないワケ?」 魔理沙「いきなり電話するの失礼だろ」 フラン「電話する前に電話してほしいよね」 魔理沙「友だちのよしみで頼むぜ」 咲夜「私たち友だちだったの?」 魔理沙「(`;ω;´)」 フラン「友だちのよしみっていうならさ霊夢のとこいけばいーじゃん」 魔理沙「そうそうさっき霊夢に会ったんだよ。スーパーでさ、結構買ってて」 咲夜「うん」 魔理沙「晩御飯なんにするのって聞いたら鍋やるっていうからさ、私も誘ってくれるのかなって」 咲夜「なんで誘われる前提なんや」 魔理沙「〇〇んちで鍋だから来るなってさ」 咲夜「━━━━━━━━」 フラン「仲いいね」 魔理沙「仲いいよな」 咲夜「〇〇さんちで鍋?」 魔理沙「うん」 咲夜「霊夢が材料買っていく?」 魔理沙「モツ鍋って言ってたな」 咲夜「二人で鍋?」 魔理沙「二人じめはよくないのぜ」 フラン「よくないよね」 咲夜「ほかになにか言ってなかった?」 魔理沙「え?」 咲夜「なんか言ってなかった?」 魔理沙「な、なんかって?」 咲夜「なんか言ってたでしょ!!」 魔理沙「は、はい」 フラン「急にどうした」 魔理沙「なんだっけ…キムチも買ってたと思う…」 咲夜「キムチは…関係なさそうね…」 魔理沙「霊夢辛いの苦手じゃなかったかって聞いたら〇〇がよく食うって…」 咲夜「…!」 魔理沙「そういえば見たことないリボンしてたかも…」 咲夜「……!!」 魔理沙「心なしかちょっとオシャレしてた気がするぜ…」 咲夜「………!!!」 魔理沙「あ、霊夢に借りてた漫画返そうと思い立ってさ夜にでも返しに行くぜって言ったのぜ。思い出した時にやんないとまた忘れるからな」 フラン「漫画は返すのにパチェの本は返さないのか…」 魔理沙「そしたら『今日は帰らないから来週あたりまた来なさいよ』って」 咲夜「かえらない」 咲夜「かえ」 咲夜「『帰らない』」 魔理沙「泊まるんじゃないかな」 咲夜「『泊まる』」 フラン「仲いいね」 魔理沙「仲いいよな」 咲夜「えっ、待って、じゃあその、今夜あれなの、二人は、弾幕ごっこを、いやでもそうと決まったわけじゃ」 すっかり夏の装いを解いた風が吹くその日、十六夜咲夜は、眠れない夜を過ごすのであった━━━━。 避難所 637 鈴仙「こんにちはー」 フラン「咲夜ー置き薬の人来たよ~」 咲夜「はーい」 鈴仙「頭痛薬全部なくなってるね。補充しとくけど多めにしといたほうがいい?」 咲夜「パチュリー様がよく使うので」 鈴仙「通院するよう言ってネ」 咲夜「出不精でほんとごめんなさい」 フラン「貧弱」 咲夜「はい紅茶」 鈴仙「ありがとぉ~もう最近寒くてさぁ助かるゥ~」 鈴仙「もうあっという間に師走だよぉ早いねぇ」 フラン「もうすぐクリスマスだよ!!」 鈴仙「そうだねクリスマスだねーサンタさんになにお願いしたの?」 フラン「ちいかわの光るやつ!!!これ!!!」スマホスッ 鈴仙「ルームライトかぁかわいいなぁー。私はねーこのちいかわクッションお願いしたんだー」 咲夜「あんた意外とかわいい趣味してるのね」 鈴仙「えーそういう咲夜こそなにお願いしたのー?」 咲夜「ひろがるスカイプリキュアのフィギュアセット…」 鈴仙「うーんかわいい」 鈴仙「ちいかわほんと人気なんだよ?」 咲夜「お嬢様もハマってるのよね」 鈴仙「霊夢さんもサンタさんにちいかわのグッズ頼んだって言ってたし」 咲夜「あのコこういうの欲しがるのね」 鈴仙「ペアのマグって言ってた。ちょっと待って今画像出すから」 咲夜「『ペア』」 咲夜「ペア??」 鈴仙「ん?うん。あー画像出てきたほらこれこれ」 咲夜「マグってマグカップ??マグネットじゃなくて?」 鈴仙「えっなに?」 咲夜「ペアって2つって意味よね???」 鈴仙「ちいかわとハチワレの二種類出てるんだからどっちも欲しいでしょ」 フラン「揃えたいよね」 鈴仙「ねー」 咲夜「そうかな…そうかも…」 フラン「でも仲良しの人と一緒に使えたら嬉しいかもね」 鈴仙「ね」 咲夜「『一緒に使う』」 咲夜「他になにか言ってなかった?」 鈴仙「えっ?そういえばクリスマス◯◯さんとケーキとかチキン食べるって言ってた」 咲夜「クリスマスに男と」 フラン「仲いいね」 鈴仙「仲いいよね」 鈴仙「あとなんか…サンタさんが来る時間のこと気にしてたかも…」 咲夜「サンタさんが来る時間?」 鈴仙「私も詳しくないからさーサンタさんに問い合わせたほうがいいかもってしか言えなくてー」 フラン「寝てる間だから深夜じゃないの?」 鈴仙「ね、だってクリスマスだよ?サンタさんが来るような時間に起きてる人なんていないからわかんないよね」 フラン「ね」 鈴仙「ねー」 咲夜「━━━━」 クリスマスに男を家に呼んでる+サンタの来訪時間を気にする=??? 咲夜「ウワーッ!!アァァァァァ!!」 避難所 801 霊夢さん。 ねぇ霊夢さん。 あのさ霊夢さん。 あなたが私の名前を呼ぶとこを 寝る前に思い出すの 私もそんなふうにあなたの名前を呼べたらなら 一番短い願いと祈りの言葉にする 避難所 932 咲夜「ヨーッス」 霊夢「押忍」 咲夜「これこないだもらったお菓子のお礼」 霊夢「ありがと、お茶でも飲んでく?」 咲夜「カルピス」 咲夜「あら、なにこれ車のパンフレット」 霊夢「うん」 咲夜「あなた車でも買うの?てか免許持ってるの?」 霊夢「違うわよ、◯◯さんが車買い換える予定だから」 咲夜「ふーん」 咲夜「え?なんで◯◯さんが車買い換えるからここにパンフレットがあるの?」 霊夢「なんでって…」 霊夢「『霊夢さんも一応選んでいいよ』って」 咲夜「……なんで人の車選んでいいの…?」 霊夢「……仲いいから?」 咲夜「じゃあ霊夢が車買う時魔理沙に選ばせてもいいの!?」 霊夢「魔理沙とは別に仲良くないしアンタも魔理沙には選ばせないでしょ?」 咲夜「うん」 霊夢「でも私車に詳しくないしさーどういうの選んだらいいとかわからなくてさ」 咲夜「せやね」 霊夢「やっぱいっぱい乗れるように大きい車がいいのかな」 咲夜「いっ」 咲夜「いっぱいってなに」 霊夢「え?」 咲夜「なんか乗る人増える予定があるみたいじゃん!!」 霊夢「そらどっか出かける時いろんな人乗せたりするでしょ…こないだの異変もみんな◯◯さんの車で送ってもらったじゃん」 咲夜「そうだっけ…そうだったかも…」
https://w.atwiki.jp/pcwars/pages/45.html
無印版 DX版 属性 飛行 種族 人 価格 10000P 移動力 5 射程 1 攻撃力 6 防御力 4 最大SP 60 備考 占領力10 占領力10、妖怪攻+50%、鬼攻+50%弾幕に対する攻防ペナルティなし 生産可能ショーグン:レミリア、パチュリー、咲夜、霊夢、魔理沙、アリス、チルノ、 美鈴、萃香、文、橙、藍、紫、フランドール、香霖 東方projectの主人公。永夜抄では4面ボスも務めた。 移動力5で飛行属性の占領力持ちは内政面で非常に使い勝手がいい。公式説明の言葉を借りるなら「素敵」。 単体で水の向こうの平地に結界が設置できることがどれだけの価値を持つかは元ネタのプレイヤーならよくわかるはずだ。 ただし戦闘能力はかなり低いため、単独で飛び地に結界や魔法陣を張りに行くのは少々厳しい。 ある程度の強さの飛行ユニットを護衛につけるのが理想となるが、そうすると実際の運用ではかなりコストが上がってしまうことに。 効果的に運用するためには収入が十分に確保できた上での中盤以降となるだろう。 DX版では、妖怪退治の第一人者ということもあり特効が付いた。 とはいえ、攻撃力の低さから防御が6以上あるレミリアと紫相手にはショーグンやスペカの恩恵がないと特効が無意味である。 また、フランドール程ではないが弾幕相手への攻撃もそれなりにこなせる。 弾幕弱点もなく額面以上の防御力を発揮するため、中盤以降に霊夢の大量生産から強引に占領活動できる。 なお、毛玉の処理はお手の物で、防御4でほぼノーダメ、攻撃9で瀕死(ショーグン補正+10%ならほぼ一撃粉砕)となる。 キャンペーン25面では中盤の主力としてお世話になるだろう。
https://w.atwiki.jp/touhousszunzun/pages/14.html
主人公組、博麗霊夢のSSを投稿してください
https://w.atwiki.jp/th_izime/pages/99.html
ご覧になりたいスレをお選びください。 霊夢受け:1スレ目 霊夢受け:2スレ目 霊夢受け:3スレ目 霊夢受け:4スレ目 霊夢受け:8スレ目 霊夢受け:10スレ目 霊夢受け:15スレ目 霊夢受け:36スレ目
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/473.html
霊夢3 384 「・・・・・・ぅん?」 「おはよう、○○」 「ああ…おはよう、霊夢」 「○○ってホントに朝は弱いのね。正月だからって寝過ぎはよくないわよ」 「いやぁすまん。早起きってのはどうも苦手で…」 「そういえば霖之助さんの所で読んだ本に、朝早起きが出来ない人っていうのは血行が悪い、 って書いてあったわよ」 「へぇ、そーなのか。・・・・・・だからって霊夢…」 「電気アンマはやめてくれよ・・・・・・」 朝の血行(一部)良好 博麗神社の元旦はとても静かだ。普通の神社で見かける人ごみや四方八方から投げられるお賽銭やそれを狙う賽銭泥棒 なんてのは霊夢にしてみたら幻でしかない。もしかしたら霊夢の幻想が現実世界で具現化しているのではないかと思って しまうほどである。そんな中、俺と霊夢は… 「やっぱり正月の朝はお雑煮よねぇ」 「こたつに入りながら喰う雑煮は黄金の組み合わせだよな。これで鶏肉がはいってりゃ文句無しなんだが…」 「文句があるなら食べなくていいのよ(怒」 普通に朝食をとっていた。 「幻想郷で過ごす初めての正月がこんなにもダラけたもんだとはなぁ。(ゲップ)」 「あら、これが普通よ。それとも私と過ごす正月はそんなに退屈?」 「滅相も無い」 俺がこの幻想郷に迷い込んで初めて会ったのがこのぐうたら巫女、霊夢だった。 深い森の中で危うく妖怪の餌になる寸前に助けられたのだ。 その後帰る当ての無い俺に霊夢は人間の里なら自分を保護してくれるだろうと教えてくれたが 助けてくれた恩ぐらいは返したいと言う俺に霊夢は 「じゃあウチの家の手伝いでもしてもらおうかしら」と行った。 そんなんお安い御用だっつ~の、とそのときの俺はやる気マンマン男、略してマン男だった。 が、しかし。 初の宴会手伝い、妖怪だらけの面子に終始ビビリまくる。興味本位で剥かれそうになるので全力で逃亡。 洗濯物を取り込んでいるところをパパラッチ天狗に隠し撮りされ、新聞に『下着ドロ、白昼堂々の犯行!!』と書かれる。 霊夢やその他の幻想郷住民から半殺しに会う。全治一ヶ月 二回目の宴会手伝い、流石に周りの面子にも慣れてきたので親睦を深めようと試みる。ちっこい鬼の女の子に力試しと して腕相撲を申し込まれる。全力を出すも見事に完敗、そして脱臼。全治五日 ここで生き抜くには力が必要だと思い白黒魔砲使い魔理沙から弾幕ごっこを学ぼうとする。勉強するより体で感じた方が 飲み込みも早いだろうと言われ初っ端からまさかの実戦投入。アステロイドベルト(Luna)を時間一杯避け続けろと言われ るが開始十秒で被弾。魔理沙の持っていたポ○の油で事なきを得る。 三回目の宴会手伝い、おもちゃ扱いされることも無くなりほぼ全員と交流をもてるようになる。突然幻想郷のえらい方で ある紫さんにお酒を勧められる。断るわけにはいかないので一杯頂く。しかし、飲んだ酒は『ニコラシカ』だったので 失神しそうになる。なんとか踏ん張ってみたものの健闘虚しく倒れてしまい、しかも運悪く霊夢の上に倒れこんでしま った。その後どうなったか覚えていないが、気づいた時には永遠亭の診療室の中だった。全治三ヶ月 「いやぁ、よく今まで生き延びれたよな、ホントに」 今までの事を振り返ってみたら不意に涙がこぼれた。 「全くだわ。どんだけあたしに迷惑かけてきたと思ってるのよ」 「そう言われてもなぁ…。でも家の事や宴会の手伝いなんかは一生懸命やったつもりだよ」 「それはあるはね。おかげで私の心にも少しはゆとりってものができたもんだわ」 「それ以上ゆとりを持ってどーすんだ…」 霊夢の言葉を聞いてふと考えた。 俺はまだ霊夢に全ての恩を返せてないのかもしれない。と、言うより助けてもらった後の方が迷惑かけた量が半端じゃな いだろう。そう思ったら何かせずにはいられない。 「なぁ、霊夢」 「んっ…何?」 「俺に何かしてもらいたいことって、ないか?」 「…えっ?」 霊夢は少し驚いた顔をした。 「俺は霊夢に助けられてその恩を返すためにここでお世話になってる訳だろ?でも実際は恩返しするどころか迷惑かけてる ことのが多い。だから少しでも多く霊夢のためになることがしたいんだ」 「・・・・・・」 俺が自分の気持ちを伝えると霊夢はうつむいてしまった。 「あれ、霊夢?どうした?」 呼びかけに答えない。 (あっれ~、何かまずいこと言っちまったか?それともまるで役に立たないダメ男、略してマダ男がなにでかい口きいてん だよ!なんて怒ってんのか?やべぇよ新年早々永遠亭でご厄介なんて洒落になんねぇぞオイィィィ…) 頭の中で様々なBADエンディングを思い浮かべていると霊夢が不意に口を開けた。 「・・・・・・何でも・・・・してくれるの?」 いつもの霊夢の口調ではない。 「えっ…?あ ああ、何でもしてやるよ」 心なしか少し顔が紅くなっている。 「えっとね・・・・・実はさっきから・・・・・お願いしたいことが・・・・・あってね・・・」 今の霊夢からは普段では想像できないほどの恥ずかしがってるオーラが出ている。そんな霊夢を目の前にした○○は (ちょっ…なんだこの空気?霊夢もありえないぐらいモジモジしてるし…。も、もしかして霊夢…俺と××したいとか言う じゃ…。いや、××だけでなくもっとディープな△△や目も当てられない様な☆☆なんかも…挙句の果てには二人揃って X・Y・↓・↑なんて決めてみたり!?ウッヒョホーイ!こんな異郷で正月の昼間からハッスルできるなんて!夢なら覚めんといてー!!) 一瞬にして頭の中が春一色になってしまった。妄想が音速の速さでひろがっていく○○に霊夢は言葉を続けた。 「・・・・じゃあ・・・・おねがいしても・・・・いい?」 「お、おおおおオッケイぃい!何でもよござんすよ!」 満面の笑みで霊夢の願いが告げられた。 「境内のお掃除、よろしくね」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「あ~~~~~、さぶい~~~~~」 霊夢からの死の宣告をしっかりと受け止め、○○は雪の積もった境内を黙々と掃除していた。 「はぁ…期待を大きくしちまった分現実を受け止めるのが重くなっちゃったなぁ。ってか霊夢もなんであんな思わせぶりな 表情するんだよ…」 多少の愚痴を吐きつつも自分で言い出したことなので○○は手を止めるはけにはいかなかった。かじかんだ手さすりながら掃除していると遠くの方から何か飛んできた。 「おぉ~、年明けからしっかりと雑用してるなんて偉いもんだな」 「そりゃどうも。初詣だったらそこの賽銭箱に…」 「私がそんな金持ってる様に見えるか?」 「…見えないな」 今年一番の参拝客(?)、霧雨魔理沙は新年の挨拶に来たのだが、当の霊夢はこたつの中で熟睡していたので 掃除中の俺の話し相手になってくれた。(もちろん掃除は手伝わない) 「それにしても…」 「ん?何だ?」 「良くもまぁこんな家事手伝いを続けてるよなぁ。嫌になったりしないのか?」 魔理沙が呆れ口調で尋ねてきた。 「んな訳ないだろ。俺は好きで今の事を続けてるんだからな」 「なるほどな、真性のマゾヒストってヤツか」 「断じて違う!」 「ジョークだぜ、ジョークw」 こんな会話を続けながら掃除も半分は終わってきた。だいぶ疲れもでてきたので少し休むことにした。その休憩中に ○○は魔理沙にある事を尋ねた。 「なぁ魔理沙、一つ訊いてもいいか?」 「私のプライベートなことについては一つも教えられないぜ」 「そんなこと訊かねえよ…。・・・・霊夢って、俺のことをどう思ってんのかな?」 「ハァ?」 「あ、いや、そーゆう意味じゃなくって…。俺って霊夢の役に立ってるのかなって思って…」 「お~お~、そっちか。・・・・ヌフフ・・・・なるほどねぇ」 「な、なんだよ?なるほどって…」 「いやぁなに、こっちの話だ。まぁ率直に言うとお前が霊夢の役に立ってるかどうかなんて知らんよ」 「…そっか」 魔理沙の口からは気の利いた言葉など微塵も出ず、○○は落ち込むしかなかった。 「オイオイ、何を柄にも無く落ち込んでるんだ?」 「いやぁ、俺だってナイーブな一面もあるんだよ…」 「何言ってんだか。・・・・ん、そーいえば…」 「何だ!?霊夢が何か言ってたのか?」 つい声を荒げてしまい魔理沙も少し驚いてしまった。 「おおぅっと、まぁ落ち着けって。別に何か言っていたわけではないさ。ただ…」 「ただ?」 「少しだけ、変わった気がするな」 変わった?あの霊夢が? 「俺からしてみれば幻想郷の住人はみんな変わってると思うんだが」 「私は普通だぜ、ってそういう意味じゃない。○○が来てから霊夢の性格は変わったと思うんだ」 「へぇ。どんな風に?」 「今まで霊夢は周りの奴に対してもの凄く無関心だったんだ。それが最近じゃお前に対しては何かと口を挟むようになった」 「それは俺がへまなことばっかしてるからだろ」 「単にそれだけじゃない気もするがな」 「どういうことだよ、それ?」 「要するにだな、お前の存在が霊夢にとってマイナスなわけじゃない、ってことだな」 「・・・・・そっか・・・」 どこをどう要したのかわからないが、それを聞いて○○は少し安心した。 「さてと、私はそろそろ帰るぜ」 「ん、霊夢に会わなくていいのか?」 「私が挨拶に来たことを言っといてくれればいいさ」 「おう、わかった。伝えておくよ」 そのまま魔理沙は俺に背を向け、片手をヒラヒラ振って少し日の落ち始めた空を音も無く飛んでいった。 「さてと、残りを片付けっかな」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 日が全て落ちる前にやっと境内全体の掃除が終わった。 「くっはぁ~、やっと終わったぁ…」 この境内では雪かきから始まり濡れた落ち葉をかき集めるという作業がとても重労働に思えた。 「こんな地味に疲れることを霊夢はずっと続けてきたのか…。ほんと、霊夢には頭が上がんないよなぁ」 あまりにも周りが静かなのでついつい独り言を始めてしまった。 「しかもこの境内をずっと一人でだもんな。こんなのしょっちゅうやってたら発狂するよな、俺だったら」 自分で言ったことに笑っている内に一つだけ気づいたことがあった。 「・・・・・ずっと・・・・・一人で?」 少し前に魔理沙から聞いたことがあった。自分と霊夢は昔からの付き合いではなく知り合ったのもここ何年か前なのだと。 魔理沙に限った話じゃない。今の宴会に集まる人たちだってほとんどがそうだ。 「俺がここに来るずっと前から、霊夢は一人でここで生活してて、妖怪退治にいって、冬になったらこんな風に雪かき して…、何年も続けてきたんだろうな…」 そう考えたら少し胸が苦しくなった。 「・・・・もっと頑張らないとな」 「何を頑張るの?」 「ぬおぁっ!」 ちょっとした決意表明の直後、背後から聞こえた声におもわずみょんな悲鳴を上げてしまった。 「れ、霊夢?いつからそこに?」 「『こんな風に雪かきして…』からだけど」 「そ、そっか…。すぐに声かけてくれればいいのに」 「だって、ブツブツ独り言いってるもんだから、さすがに躊躇しちゃったわよ」 「あぁ、それもそっか…ごめん」 「別に謝らなくても…。まぁいいわ、お掃除お疲れ様。お風呂沸いてるわよ」 「うん、わかった…」 そう返事すると霊夢は「体冷えきっちゃうわよ」と言って家の中に入ろうとした。 「・・・・・なぁ、霊夢」 霊夢は歩みを止め振り返った。 「ん、なあに?」 「今まで俺は霊夢に色々と迷惑かけたり、その度に助けられてきた。たぶん、というか確実にこれからも色々と霊夢の手を 焼かせるようなこともあると思う。…でも」 霊夢は何も言わずに立っている。 「いつか・・・・いつか霊夢を心から支えられる男になりたいって、決めたんだ。 だから・・・・・今年も・・・・・世話になってもいいか?」 自分の今の気持ちを伝い終えた。お世辞にも良い言葉だとは言えないだろうし、他人からしてみればとても安っぽい言葉かも しれない。だけど、これが今の自分の本当の気持ち。 「・・・・・・・霊夢?」 「・・・・・・・・・・・・フフ」 少し間を空けてから不意に霊夢は笑い出した。ギャグを言ったつもりじゃないのだが… 「なっ…何で笑うんだよ!」 あんな事を言った後に笑いが起こると流石に恥ずかしくなってきた。 「あ、ごめんなさいね。新年の挨拶にしては凄く真剣な感じがしたもんだから、ついね」 「…そーですか」 一気に体から力が抜けていくのがわかった。 「あぁ~、ま~そーいうわけだから。んじゃあ俺は風呂に入らせてもらうよ」 そう言って霊夢の横を通り過ぎ母屋に向かおうとした。 「一つだけ・・・・訂正さしてくれない?」 後ろから霊夢の声がした。振り返ってみるとそこにいる霊夢の顔が 今まで見たことの無い、とても優しく、人懐っこい笑顔をしていた。 「『今年も』じゃなくて・・・・・『これからもずっと』よ」 後書き===================================================================================================== ども、328でっす。石は投げないで下さい… 今までは皆さんの勇姿を遠くから見ていただけでした。 しかし!多くのすばらしい作品をみるたびに自分の妄想が膨らんできてしまい、 やっとこさ吐き出す決心がつき、今回は投稿させてもらいました。 初めてSSを書いたもんですからおかしい部分も多々あると思いますが… いやぁ37氏や363氏の様に甘さ全開には書けませんでした! 甘さ控えめな上に微妙なネタを盛り込んでしまい、なんともしょっぱいものになってしまいました。 このSSを見てほくそ笑んでくれたら幸いです… おまけシナリオ============================================================================================= 「う~寒い。早く暖まらんとな」 震える体を抑えて風呂場へと向かう。 「ほら、風邪ひかないうちに早く入っちゃいなさいよ」 「はいはい。…何か霊夢ってお母さんみたいだよな」 そう言うと霊夢の顔が少し紅くなった。 「な、何変なこと言ってんのよ…」 「いやぁさ、子供の頃にも母親から同じようなこと言われた気がするんだよ。 今日みたいに家の周りが雪でいっぱいで、子供にしたら最高に遊べる環境だったんだよ。」 霊夢の表情もすぐに元に戻って、俺の話を静かに聴いてくれている。 「夕方遅くまで友達と遊んで家に帰るとさ、母親が今みたいに風呂沸かしてくれてるんだよ。 そういえば子供の頃は母親と一緒に風呂入ってたな。いや、ホント子供の頃だけだぞ。 で、俺も背中とか流してもらったけど、あれはよかったな。人に背中を流してもらうのってなんかスゴク気持ちもんだと 思うんだよ。霊夢もそう思わないか?」 そう言って振り返ると霊夢はいつもより少し真剣な顔をしていた。 「アレ?…霊夢?」 「・・・・・・・・・・・わかったわ」 一言そう言うと霊夢は家の奥に歩いていった。 「え、何だ?…わかったって…何を?」 カッポ――――ン そんな音が今にも聞こえてきそうだ。○○は湯船に肩まで浸かって考えていた。 「むぅ~~~、霊夢のやつ、何がわかったていうんだよ?いきなり俺が母親の話を始めたから俺をマザコンだと思ったのか? いやいや、そうだとしたらまずいぞ…何がまずいか自分でもわかんねぇけど」 などと自問自答していると戸口の方から声が聞こえた。 「○○ー、湯加減どう?」 「おーう、バッチグ~だぞ」 「そう?それは良かったわ。・・・・・じゃあ、入るわよ」 「どーぞー・・・・・・・ってオイ、入るって…」 と、ツッコミをいれようと戸口の方に顔を向けた。 カララッ 乾いた音と共に戸口が開き、湯煙の向こうに霊夢の姿がぼんやりと見えた。その霊夢の姿は… 「れ、っれれれれっれりえれっれ・・・・れいみゅ?」 「何?どうかした?」 バ ス タ オ ル 一丁! 「ちょっ…おまっ……何してんの!?」 「何って…背中流してあげようと思ったんだけど」 「えっ?・・・・あっ!わかったって、そっち!?いや、でも、あれは、こーゆーいみでいったわけじゃねぇんだげど…」 「何ワケのわかんないこと言ってんのよ?…ほら、はやくしなさいよ」 「え、ちょ、ちょっと待っ…」 今、俺はとんでもない状況に陥っている ある意味生命の危機 しかし 人生で初の女の子との入浴イベント 天国か地獄かを決める唯一の鍵は 俺の理性 「どお?背中痛くない?力強すぎたりしないかな?」 「いえっ丁度いいっす…」 「でもやっぱ男の人の背中って大きいわよね。洗い甲斐があるってもんだわ」 「そ…そうかな?」 頭の中に浮かんでくる卑猥な考えを押さえつけるのに必死で、霊夢の言葉に相槌を打つのはやっとのことだった。 (やばいぞやばいぞやばいぞ…。今まで生きてきてこんなにおいしいイベントは初めてだ…。だがもしここで自分の 欲望にかられたら、それこそ幻想郷住人からは女の敵とみなされLWの雨あられ、死んだところで三途の川はあの 巨乳死神に渡してもらえないだろうし、裁判長にはラストジャッジメントで消し炭に…チクショーこんな所で輪廻 の環からはずれてたまるかっつ~の!でもどうせなら死ぬ前に間近に霊夢のバスタオル姿を脳裏に焼き付けてやろ うじゃないか!いよっしゃ~見るぞ、見てやるぞ!ビビッタリなんかするもんか!) チラッ ←ビビリ 「・・・・・・・・・・」 初めて見る霊夢の素肌は、外で見た雪よりも一層白くて、スラッと伸びる手や足はいつも見せる力強い弾幕ごっこ をやってのけている姿からはとても想像できないほど華奢なものだった。 (そして、このバスタオルの下には、まだ俺の知らないもう一つの幻想郷が…) 「・・・・・・・・あっ!ちょっと○○!」 「えっ?あぁっ!!ごめんなさい!別にそういう意味で言ってみたわけじゃn」 「何ワケわかんないこと言ってるのよ!?それよりも鼻血出てるじゃない!」 「え?あ、ホントだ…」 漫画のキャラかよ…俺… 「一体どうしたのよ!?もしかしてのぼせたんじゃ!?」 (いや、ほとんどアンタの所為だよ…) 「と、とにかく止血しないと…。ティッシュ取って来るわ!」 そういって霊夢は戸口から出ようとした。 「い、いや大丈夫だよ、すぐに止まるから」 「そんな事言ったって…」 俺が呼び止めて霊夢が振り返った瞬間、霊夢の体に巻いてあった一枚に結界が… 「あっ」 「!!!!!!!!!!!(絶句)」 落ちた 「? アレ?」 気づくと霊夢は少し恥ずかしそうな顔をして突っ立っていた。格好はチューブトップに短パンという今までに見たことの 無い服装で。 「何だよ、ちゃんと服着てたんじゃないか。なんでそんな紛らわしいことを…?」 そういうと霊夢は顔を真っ赤にして 「なっ!何でって…! 男の人の前でチューブトップに短パンなんて恥ずかしいでしょ!?」 (そーゆー問題じゃねぇだろ…。やっぱ変わってるわ、この巫女。ってか何であんな服もってるんだよ…) おまけ後書き================================================================================================= 正直に言います。今回はこれが書きたかったんです…本編はコレに繋げるための前フリでした(爆 ちなみに元ネタは某家庭教師マンガからもってきました。 394 「……まあ、なんだ」 某月某日、博麗神社。 「俺が悪かった。だからそんな虚ろ、というかウロな目で俺を見ないでくれ」 久しぶりに呼び出しがかかり外の世界……というか俺の故郷に帰っていたのだが。 帰ってきて出迎えてくれたのはいい感じに出汁が取れそうなくらいに干からびた人間だった。(東方寄集録・紅、もしくは白参照) 場所と服から霊夢だという事は間違いないが…… 「とりあえず飯だな。幸いにも向こうに行ったときに食料はたっぷりと……」 ふと気づく。……先に出汁をとったほうがいいんじゃないか? もとい。先に水につけて戻しておいたほうがいいんじゃないか? * 少女吸水中…… * 「……ぷはあ、生き返ったー」 「そろそろ人間超えてきたんじゃないかお前」 とりあえず風呂桶に霊夢出汁のコンソメスープを作り、そしてそれは彼女自身に吸収されていった。 で、今は外見年齢に相応しい水も滴るいい少女になっていたり。 「とりあえず体拭け体」 「もったいないからイヤ」 もったいないって、それ曲がりなりにも風呂の水だぞ? 「風呂水でも飲めるものなら飲むの。……ちゃんと煮沸消毒はするけど」 自分でも言ったことが少々アレだと気づき、後付でフォローする。 「あー、とりあえず飯食うか。今日は俺が買ってきたから」 まあ、俺も腹は減ってるし。とりあえず体を乾かさないと…… 「霊夢?」 「何よ」 「悪いが、味を見させてくれ。」 レロレロレロレロ ひあーん…… 「……何考えてるのよこの変態は」 「いや、悪かった。いっぺんやってみたくてな」 完全に怒った霊夢と頭にアミュレットだの針だのが刺さっている俺。 ……ちなみに、『人間には害はない』らしい。痛いが。 「にしてもこれおいしいわね。手が汚れるけど」 「ああ。とはいえ食いすぎると胃がもたれるがな」 今俺たちが食っているのは某爺がトレードマークのファーストフード。 あいつが見たら卒倒するかな?こんな光景…… 「かわいそうね、ミスティアも」 「いやそれ言うなって」 なんとなく食えなくなるんだよそう言われると。 「なら私が貰うわね。どうせ久しぶりのごはんなんだし」 とか言って全ての肉をかっぱらわれた。 「……まったく。まあ俺にはこれがあるから」 そう言って取り出すは某チキンカツサンド。これはうまい。 包みを開け、一口。 「ぬふぅ」 なんともまあいやな顔になったろう。それほどにうまいのだ。 「(某ピエロの店)は安さで勝負してるけどやっぱりこれもうまいんだよなぁ」 でも金がないときは(某ピエロの店)に行くが。 「ねえ、(某ピエロの店)って何?」 「外の世界の食堂みたいなもん。地方では(某ッピ)とか(某ピエ)とか略されてるけど」 たしか(某ピエ)が関西だったな。 「じゃあさ、今度外に出たら(某ピエロの店)の物買って来てよ。食べてみたいから」 「ん」 とりあえず次に出るときには乾燥させないようにしよう。そうでなきゃこっちの心臓が持たない。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 469 境内に響く声、思ったより早くばれてしまったようだ。落ち葉を掃いていたが 久々にいい天気で暖かかったので縁側で仰向けに寝転がって日向ぼっこしていた。 声がした方を見やると目の前には盆を持った霊夢が。そして自分の目の前に 盆が置かれる。覗き込むとそこには茶の入って湯気の立っている湯のみが二つ。 「お、サンキュ・・・」 お茶に手を伸ばしたそのとき、微かに視界が薄暗くなると同時に 腹の上に強い衝撃。反射的に息がむせて握った湯飲みから茶がはねる。 目を茶から離すと腹の上に霊夢が腰掛けていた。 「もう、早いところ落ち葉集めてくれないと焼き芋できないじゃないの」 「ぐっ…いまの不意打ちはちょっと効いたぞ」 いくら小柄な女の子とて完全に予想外の不意打ちで無防備だっただけにかなり効いた。 「あんたがサボってるのが悪いのよ」 「やってくれるな、こうなったら…仕返しだっ!」 「ちょ、何するの…キャハハハハやめてくすぐったい!」 仕返しに両手を伸ばして霊夢の腹や腋をくすぐってみる。 霊夢がそんな無防備な巫女服なのがいけないんだ。反応が なかなか面白いのでこちょこちょをエスカレートさせてしまう。 「キャハちょっと、いいかげんにしないと!」 不意に両腕の力が抜ける。だらしなく床に落ちる自分の両腕。 驚いて見ると自分の胸の上に符を貼りつけている霊夢の姿。 「あー、ずるいぞスペルカードとか」 「はぁはぁ…こ、これであんたは動けないわ。お仕置きし放題ね」 もがくにもまるで四肢の運動神経が切り離されたかのように両腕・両脚が 反応してくれない。首から上は動くようだがこれだけではどうしようもない。 「観念しなさい。さぁどうしてあげようかしら」 「・・・やさしくしてね・・・」 「…やっぱやめとくわ。気持ち悪い」 幻想郷にはスペルカードとか弾幕とかあって、さらには体術もそこそこ出来る みたいなので外界由来の自分がまともに勝負できるとしたら話術くらいである。 もっとも、話術も正直互角なのかかなり不安ではあるが。 「そういえばあんたがここに迷い込んできたのもこんな天気のいい日だったわね」 「そうだったか?」 「元の世界にはもう帰らないの?」 「霊夢が俺の上に座ってる限りは帰『れ』ないな」 そう言うと無言で腰をどかす霊夢。 「おっと、そんなに帰って欲しいのかい?」 「だってあんた苦しそうだったし」 「お、俺はこの位平気だぜ」 「ふーん、じゃあ・・・」 霊夢は立ち上がると何を思ったか俺の腹の上を跨ぐように足を置き 「これでも平気かしら?せーの・・・」 「ちょ!待った待ったストップ!尻餅はやめてくれ死んじゃう!」 「平気って言ったのはどこの誰かしら?」 「いや、尻餅はかまわんがせめて最期に中を拝みたいから腹じゃなくて顔の上に」 「むしろその減らず口を封じるために顔の上ね」 霊夢はそう言うと俺の上からどいて縁側の縁に腰掛ける。 「…寝ながらお茶なんて行儀悪いわよ?」 「あぁ、そうだな」 自分も霊夢の言葉を受けて湯のみを取り霊夢の隣に腰掛ける。 気づけば胸の上に置かれていた符は既に時間切れで蒸発していた。 「お前思ったより重かったな」 「失礼ね」 「でも、ちょっと安心したぜ」 「?」 「本当は霊夢なんて幻か何かなんじゃないかとか一時期思ってたんだ」 「なんでよ」 「ほら、霊夢っていつもふよふよ飛んでたりなんか何考えてるかよく分からない時あるし、 でも、霊夢の重みでなんていうか改めて存在感を確認できたような気がするよ」 「またひどい言われようね、私ならほらちゃんとここにいるじゃないの」 「俺が幻に惑わされてるわけでなく、霊夢が確かにこの目の前に居るって判った 今だからこそ言えるけどさ、俺は霊夢が好きだからいつまでもずっとここにいてもいいか?」 「・・・うん、私もちょっと好きかも。最初は魔理沙や紫とかと同じようにしか思ってなかったけど こうやってずっと一緒してるとやっぱどうしても意識するようになっちゃって」 「それはきっと俺と霊夢の間に出会った最初の日から見えない運命の紅い糸で結ばれていたからだよ」 「「・・・・・・」」 「・・・なんてな、ちょっとクサかったか」 「相当クサかったわ」 「お前俺の上座ったとき屁こいたろ」 「その余計な一言が自分の寿命縮めるのよ」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 541 最近○○と一緒にいる時間が少ない気がする。 朝早くから出かけてしまい、昼ご飯のときに一度だけ戻ったら後は夜まで鉄砲玉。 何をしてるのか聞いても「悪い、今急いでるから」とか言って取り合ってくれない。 掃除中の神社の境内が広く感じた 文が、アリスと一緒に人里で買い物をしている○○を見たって言ってた。 気になる。けど聞くのが何か怖い。 とりあえず文を“説得”して、記事にするのはやめさせた。 疑いたくないのに不安が募る。 ○○とけんかした。アリスとのことを問い詰めたから。 ○○は一瞬言葉に詰まった後、ごまかそうとした。 だから怒って追求したら、「言えないものは言えないんだ」って逆に怒られた。 神社の境内がとても広く感じた。 その日の夜、「これやる」といって○○が包みを二つくれた。 中にはそれぞれクッキーと、不恰好なリボンが入っていた。 赤い布地に白いレース、素人丸出しの不揃いっぷりだった。 ○○の指には絆創膏がいっぱい。今まで気付かなかった。 不意にアリスといた理由がわかった。 何か言おうとしたとき、○○が「ごめん」と一言だけ。 なんだか涙が止まらなくて、あわてる○○の顔がおかしくて、 だから涙が止まった後も、ちょっとだけ嘘泣きを続けた。 ○○はその間、私をぎゅっと抱いてくれていた。 「まったく、わざわざ何日も家庭教師をしてあげて、お礼がクッキー一袋? 割に合わないわよ、もう」 そう言いながら、アリスは道具と本を片付ける。表紙には、「レースの編み方入門」とかかれていた。 周りには、アリスが作ったにしてはあまりに不恰好な、レースの飾りが散らばっている。 「デモガンバッテタァヨ? アリス」 「ガンバッテター」 「そりゃあね、でも片付けぐらいちゃんとしていきなさいよ、いくら日付が変わりそうだからって…ねぇ?」 「ソゥダネェ」 「カエルマデガエンソクー」 「遠足とは違うけど…まあそういうことね。全く、生徒が先生に片付けさせるなんて」 そういいつつも、片付け続けるアリスの表情は、あんまり怒っているようには見えない。 「ま、頑張ってたし、このくらいは見逃してやるか、次は無いけど」 「ツギハァナイー」 「ナイー」 楽しげに復唱する人形達の姿にクスリと笑うアリス。 そうして片づけが終わる頃、非常識な来客が現れた。 「ようアリス、邪魔するぜー」 「ァ、マリサダー」 「マリサー」 「邪魔するぜー、じゃない! 藪から棒になによ魔理沙!」 「いや、実験にちょっと失敗してな? ほとぼりが冷めるまでうちに戻れないんだ。つー訳で泊めてくれ」 「と、泊めてくれって、あんたねぇ!」 「マリサ、ォトマリィ?」 「オトマリダネー」 突然の展開に混乱するアリス。だが、その顔こそ赤くなってはいるが、あまり嫌そうでもないように見える。 「お、クッキーか? 丁度小腹がすいてたところだ、どれ一つ」 「あ、こら!」 「ふむ、なかなか。作り方変えたか? 味がちょっと違う気がするが。市販?」 「べ、別にいいでしょそんなこと!」 「そうだな、ま、アリスも一枚食べてみろ、いけるぜ。その間に私が紅茶を入れてきてやろう、今日は特別だぜ?」 「あ、あのね」 「何、気にするな、泊めてもらうんだしこれくらいはするさ」 「勝手に話を進めない! って言うかそれ秘蔵のお茶っ葉! こらー!」 「かたい事言うなって」 「も~~~!」 「「ティーパーティー♪」」 その後、しばし真夜中のお茶会。 その中でアリスは、ブツブツいいながらも……その顔はどこか、楽しそうだった。 次の日、魔理沙が来て、「何だ? そのひしゃげたリボンは」とか言ってきた。 カチンときたのでぶっとばした。 いいのよ、これはこれで。 だって、それでも一生懸命に作ってくれたって事だから。 あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ホワイトデーネタのつもりでやってみました。 いつものに似た新しいリボンを作ってプレゼント。 ……霊夢のリボンって赤地に白いひらひらの縁取りでよかったですよね?。 ~チラシの裏~ 原稿用紙の書き方を久々にもう一度見返してみて、自分の書き方が大体間違ってなさそうなことに安心したのも束の間、 前回流し読みしたときには気付かなかった項目が一つ。 「…(三点リーダ)」は2個1セットが基本だったとは……。 今までふつーに1個1セットで済ませてました。orz ~ここまで~ それ以前にまず霊夢が霊夢じゃねぇ……orz ─────────────────────────────────────────────────────────── 3スレ目 398 二人きりになったとたんに霊夢にごろごろ甘えられたい。 ごろごろ ごろー 普段のそっけない態度と打って変わって ごろごろ ごろー ─────────────────────────────────────────────────────────── 3スレ目 400 「部屋片付けに来てあげた……わよ」 休息日の昼下がり、呼び鈴が鳴ったので玄関の戸を開けると、霊夢が立っていた。 先日酒の席で「散らかり放題の僕の部屋を片付けてやる」と意気込んでいたが、 本当に来るとは思わなかった。 「はいはいどいてどいて」 突然部屋から引きずり出され、布団と一緒に縁側に放り出された。 ――な、なんか凄いやる気を感じるんだけど。 「とっとと済ませれば後が楽なのよ」 ガンガンとまとめられるゴミ。みるみるうちに部屋が片付いていく。 僕はその間に布団を干し、叩く。 「はい、お終いっ」 振り向くと霊夢は玄関から出て行こうとしていた。 声をかける間もなく霊夢は玄関から出て行った。 ――……………ええ?もう帰んの!? 綺麗になった部屋で寝転び、嵐のように来て嵐のように帰っていった 霊夢の事を考えていると、玄関がガラガラと開いた。 「なぁーにシケた顔してるのよ」 霊夢がいろいろと食材を持って上がってきた。 ――あれ、帰ったんじゃ……? 「夕食くらい面倒みるわよ。不満なら帰るけど」 エプロンを身につけ、台所に向かう霊夢。 文句なんかあるわけがない。 ――僕も手伝うよ! 「楽しみに待ってて、と言いたいところだけど、二人でやれば二倍美味しいものができるかもね」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「霊夢、好きだぞ」 「あぁそう? それはどうも、私もあんたのことは嫌いじゃないわ」 と、真顔で言っても全く照れない霊夢が俺のジャスティス 3スレ目 579 ─────────────────────────────────────────────────────────── 3スレ目 841 いかん、霊夢分が不足してきた。 空飛ぶ不思議な巫女 「私ね、空が飛べるの」 「ハァ?」 「信用してないようね。ちょっとやってみるから見てなさい、ほらっ」 宙に浮く霊夢 「…!?@\★◆∀ΖΘνF91」 「あら、驚いて声も出なくなっちゃった?ちなみに素敵なお賽銭箱はそこよ」 「…ぱ、ぱんつはいてない」 「☆◎#※∇∵ÅД%!?」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 4スレ目 51 なぁ霊夢。 「何よ。」 いや、何よて。幾ら傘が一つしか無いからってくっ付きすぎだろ。 「いいじゃない、減るもんでもなし。」 いやほら、俺男だしあまりくっ付かれるとムラッとくるっつーか過ちを犯しちゃいそうになるっつーか…。 「○○になら…」 ん? 「○○になら…その…私は後悔…しな…ぃ…。」 霊夢…、本当に俺なんかでいいのか? 「……。(こくり)」 (省略されました・・初夜を読むにはエイジスプロテクターからデストローイ、デストローイ) ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/gununu/pages/991.html
ゆっくり霊夢〔ゆっくりれいむ〕 作品名:ゆっくりしていってね! 作者名:二代目まとめあき 投稿日:2008年3月22日 画像情報:640×480px サイズ:100,994 byte ジャンル:人外,ぐぬぬじゃねえ キャラ情報 このぐぬコラについて コメント 名前 コメント 登録タグ 2008年3月22日 ぐぬぬじゃねえ ゆっくりしていってね! 二代目まとめあき 人外 個別ゆ
https://w.atwiki.jp/viptoho/pages/30.html
『霊夢厨』 霊夢一筋な東方厨。VIP東方で『霊夢厨』と言えば概ね彼の事を指す。 霊夢が好きな厨は他にもいるのだが、彼らはスレに頻出するわけではないので あまり話題に挙がらず、相対的に霊夢好きのなかでもよく現れて目立つ彼の事を 主に混沌板他のヲチ的なスレの住民が『(あの)霊夢厨がさ~』と話題に挙げるようになり いつの間にか、それがそのまま定着した。 しかし、霊夢厨についての話題は、概ね博麗霊太による私怨がらみ(霊夢は自分のものだ、とか) だったりするので、ババを引かされた感も拭えない。 霊夢のことを『霊夢さん』と呼ぶことから、『霊夢さんの人』とも。 ■レスの特徴 レスは丁寧語で行い、おおむね三行前後の文に落ち着ける。 博麗神社での出来事を中心に、霊夢との悠々とした日常を描く内容が主。 幻想入りしているらしく、霊夢と博麗神社の屋根の下、共に睦まじく暮らしている(という設定)。 あまりウケを狙った文は書かず、たまにギャグを言うときも、のほほんとした雰囲気は変わらない。 『バリゾーゴン』などどこか使うネタが古臭く、キレた事も言わず、常々柔和で落ち着いた風であるので どことなく隠遁したジジイみたいな印象がある。 その雰囲気から意外に思われがちだが、一人称は『俺』。 文章には気を遣っているようで、作法も修めているので読みやすい。 『つくり』について言えば、現行の常連の中では最も洗練されていると言えるだろう、 その情味豊かな内容には、時にそれを讃する声もあがる。 文章の玄妙さが突出しているためだろう、定型に依存せず、奇もてらわず、飽くまで正統の純愛路線を 文章力のみでゆき、それでしっかり認知もされているのは、この霊夢厨くらいなものである。 二人で夜の空に飛び立ちたい東方キャラ 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/06(金) 21 59 22.85 ID WIAvL7kJP ちょっと夜空を見上げたら、また随分と明るい夜だと思いませんか霊夢さん 十五夜は明日ですけど、今宵の月も綺麗ですよ…… 皓々たる月明かりが降り注ぐ縁側に並んで座り、手を繋ぎながら、意識を飛び立たせましょうか 果てしなく広い、星空へと その文章作法であるが、一般の人がわざわざこれを守ってレスを書くことはあまり無い(2ch、特に三行以上の 文を読むことが出来ないVIPPER相手に句読点を使ったり文が嵩張るこれら作法を用いる者は稀である)ので 実はどっかでSSでも書いてるんじゃないかと思われるが、末尾Pなので別スレ(及びPC)でどんな書き込みを しているかはまったく謎。 レスの中において目立った特徴としては、やたらと酒を呑んでいることが挙げられる。 霊夢と一緒に、ほぼ毎日呑んでいる。そろそろ肝臓の残機が尽きるのではなかろうか。 酒はサゲにも用いられる事が多く、大体二人で寄り添って、幻想郷の風雅とスレタイを肴に 杯を傾けあう、というパターンが多い。酒ではなくお茶のときもあるが、別の時間帯に呑んでたりするので 結局は変わらない。休肝日って知ってるのかな。 今夜は冷えるから一緒に暖まりたい東方キャラ 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/31(土) 21 50 26.12 ID dYI37aBSP ようやく春らしくなってきたものの、まだ北風の吹く夜は冷えますね霊夢さん コタツで肩を寄せ合いながら、ゆったり温まるのが一番です お茶でも飲みます? お酒でもいいですけど、たまには休肝日も必要ってコトで 知ってたようです。 ほかには「霊夢さんマジ女神」という定型も持ち、エロスレや微妙に霊夢のイメージと合わないスレ あるいはただ嫁を挙げるだけのような長文を書く取っ掛かりのないスレではこの文句を持ち出し お茶を濁すことがままある。 ■住民との関係 同じ霊夢好きという事で、ときおり博麗霊太から陰湿な絡まれ方をしている。 他の霊夢厨からは変な絡まれ方をしないのだが、どうやら霊太には相当気に入られたらしく レイタがホモ疑惑をかけられている事もあって、いつか霊夢厨の貞操が危機に晒されるのではと心配する声もある。 しかし、なにかにつけ霊太に煽られ迷惑を被っている霊夢厨であるが、彼の文章力やキャラクターを誰より称えてくれるのも 霊太であったりする。また、霊夢厨の方も霊太をまったく無視しているわけではなく、どうやら彼がVIPに建てるスレも チェックしているようで、たまに彼のスレへ現れて反応・会話をしたりすることがある。 更に親切なことに『霊夢厨が社会人or大学院生であること、東京工業大学を卒業したこと』などをわざわざ 教えてやってもいる。接触するたび深い関係になっていく二人であるが…… いつかお互いの住所とか教えあうレベルにまでハッテンしてしまわぬ事を願うばかりである。 とはいえ、別に霊太からという場合に限らず、他の住民から(普通に)話しかけられたときは丁寧に応じるし 自分から他の人のレスに対して反応を示すこともある。それも、真面目な話ばかりでなく、ちょっとくだけた、 ボケたレスを投げることも少なくないので、堅苦しかったり取っつきづらい人物では決してない。 ■出現頻度 早朝と夕方六時以降から深夜までを主な出現枠とするが、スレが建ってさえいれば、平日の昼とかにも 現れてたりする。ちゃんと働いているらしいので、どうやら暇な時間を多くとれる職種のようだ。 自身でキャラスレを建てる事もある。あまりVIPにスレが建たない時に腰を上げる事が多い。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/471.html
霊夢1 1スレ目 7 霊夢へ 「博麗流陰陽術を、俺に継がせてくれ!!」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 76 そうだ霊夢。 僕の体は完璧だけど一つだけ出来過ぎている部分がある。 それを君の足りない部分に合わせようじゃないか。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 107-110 セミの声がだいぶ少なくなった夏の終わり。 僕は博麗神社の境内に足を運んでいた。 今年の夏は本当に忙しかった。 紅魔館経営の海の家でチャーハンや焼きそばを美鈴さんと作るかたわらで、海水浴の監視員も兼業していた。 体が二つあっても足りないくらいのてんやわんや。 となりの角の生えた女の子は酒ばっかり飲んでいてちっとも仕事をしない視姦員と化していて、おぼれたり流されたりした人を助けるのは全部僕の役目だった。 夜雀の子を助けたこともあったし、迷子の式の主を一緒に探してあげたこともあった。 本当に忙しかった。でも、ばっちり働いたかいはあった。 ポケットをなでると、ぎっしりと詰まった財布の感触。 レミリアお嬢様の機嫌もよくて、咲夜さんからボーナスまでもらったからだ。予想以上の報酬に心なしか足取りも軽くなる。 風鈴の鳴る鳥居をくぐると、懐かしい紅白が目に飛び込んできた。 「あら、帰ってきてたの」 竹箒片手に出迎えてくれたのは、この神社の巫女、博麗霊夢だった。 「ついさっきね。霊夢は? この夏はどうしてた?」 「私はずっとここにいたわ。巫女が神社を留守にしていられないもの。よほどの異変がない限りはね」 「そうなんだ。海はきれいだったよ。人もすごく多かったし」 「そうかもね。あなた、日に焼けて真っ黒よ。見違えるくらい」 何がおかしいのか、霊夢はくすくす笑いながら竹箒を使って境内を掃いていく。ゆっくりゆっくり、丁寧に丁寧に。 僕の前を通って、神社の向こうへと歩きながら掃いていく。 夏の終わりという季節がそうさせたのか、そんな彼女を見て一抹の寂しさを感じた。 「つまらなくない? ずっと神社にいて」 春夏秋冬変わらずにずっと博麗の巫女であり続ける霊夢。何をするわけでもなく、ただ変わらずにそこにあり続ける少女。僕のように幻想郷の外から来た人間からすれば、気の遠くなりそうな生き方だ。 「別に。そういうこと、あまり考えたこともないし」 霊夢は竹箒を動かす手を休めることなく、そう答える。声からは、霊夢が何を考えているのか分からない。達観しているのか、どうでもいいのか。 「夏だけでも休みを取ったら。魔理沙やアリスと一緒にどこかに出かけてもいいのに」 「魔理沙は魔法の研究。アリスは人形作り。二人ともやることがいっぱいよ。そういうの、あまり誘うものじゃないわ」 そんなものだろうか。 ふと、霊夢がこちらを見た。 「それにね。秋になればお月見よ。また宴会で忙しくなるわ。主に片付けでね」 ああ、そうだ。この神社ほど、月が綺麗に見える場所はないものだ。 「そのときはまた手伝うよ。洗い物なら、実家が食堂だったから慣れてるし」 「はぁ、ほんと、あなたみたいな心がけの人が少しくらい妖怪の中にもいればいいのに。みんな騒いだら騒ぎっぱなし。散らかしたら散らかしっぱなしだもの」 「仕方ないさ。妖怪ってのは戯れるものだからね」 「ええ、だから私たち人間が苦労するのよ」 「まったくだね」 そんな他愛もない会話に興じているうちに、やがてミンミンゼミは鳴くのをやめ、ひぐらしのなく頃になっていた。 「それで、今日はどういう用事だったの?」 竹箒を片付け、神社の脇にある手水鉢で手を洗いながら霊夢が尋ねる。 「ん~? 参拝、かな」 わざと、気のない返事をしてみせる。案の定、 「そう、なら、素敵な――――」 「お賽銭箱はここよってことだろ。分かってるって」 僕は余裕たっぷりにポケットから財布を取り出し左右に振ってみせる。 心地よい重みが手に伝わってくる。 「今年はがんばって働いたかいがあってね。かなり懐が潤っているんだ」 財布のお札を入れるとこに手を入れると、霊夢がぐぐっと身を乗り出してきた。 なんだ、まさかそんなに困窮していたのかな? 「だからね、今回は大盤振る舞いってやつさ。ほら」 中から取り出したのは一万円札。これを賽銭箱に入れるような奇特な人はめったにおるまい。 驚け巫女よ! 僕の信心に驚くのだ。 「えっ…………!」 とたん、霊夢の顔色が変わった。あれ、思っていたのと違う驚き方だ。 「そ、そんなにたくさん…………なの?」 「そうだけど。あっ、賽銭の上限って決まっていたっけ?」 「そんなことないけど……」 おかしいな。当初の予定だと、それだけあれば一ヶ月は食べていけるわよ、という喜びで満ちた驚きで迎えられるはずだった。 でも、目の前の霊夢の反応は違う。 なんだろう。困っているような、どぎまぎしているような、よく分からない。 「とにかく。はい、奉納」 「あっ…………」 僕が指を離すと、一万円札はひらひらと賽銭箱の隙間に吸い込まれていった。 一部始終を食い入るように見つめている霊夢。 顔はなぜか、お酒を飲んだときのように赤くなっていた。 それなぜなのか、今の僕には分からなかった。 「おーい霊夢。スイカが手に入ったからおすそわけー」 次の日の夜。僕はもう一度博麗神社を訪れていた。 今回は参拝じゃなくておすそわけだ。神社の裏手に回って玄関で霊夢を呼ぶ。 「こんばんはー。おすそわけだぞー」 返事はない。出かけてしまったんだろうか。 「おーい。いるかー」 「…………いるわよ」 何回目かでようやく返事があった。消え入るように小さな声でかすかに。 「スイカだよスイカ。妖夢がくれたんだ~」 「……あがって…………」 また、かすかに聞こえる霊夢の声。どうしたんだろう。出てこられないのかな。 風邪を引いたとか。 「じゃ、失礼して」 言われたとおりに靴を脱いで家の中へ。台所とかをのぞいたけれども、霊夢の姿はない。 「霊夢―、どこにいるんだよー」 「…………こっち」 声のするほうにとりあえず進んでみる。縁側を通って和室の前で足を止めた。 どうやら、ここにいるらしい。ああ、こりゃ本当に風邪を引いたんだな。 大丈夫だろうか。 「ほら霊夢、夏の終わりでもまだスイカが…………」 何気なくあけたふすまの先に見えた光景。 その意外さに、一瞬僕の体は凍った。持っていたスイカを床に落としそうになる。 和室の中央に敷かれたのは、誰も横になっていない布団。 なぜに、枕が二つ並んでいるんでしょうね? そして、なぜに枕元にティッシュの箱があるんでしょうね? 掛け軸に書かれた「御無体」って何? そして何よりも………… 「遅かったじゃ……ないのよ」 布団のすぐ横に、寝巻き姿で正座しているのは、 「霊夢……これは、いったい何事…………?」 どこから見ても、正真正銘博麗の巫女である博麗霊夢だった。 なぜ? どうして? そんな疑問が、顔を真っ赤にしてもじもじしている霊夢を前にして浮かんでは消えていく。 「おさいせん…………」 「は?」 「だから、あなたが納めたお賽銭…………」 「ああ、一万円。それが何?」 「だから、神社の変な決まりなの。その……一万円だと…………これ」 もじもじしたまま、視線だけを横に向ける霊夢。 そこにあるのは、紛れもない二人用に敷かれた布団。 これ……といわれても思いつくのは一つしかないけれど、まさか添い寝ってことじゃなくてこれはそのまさかで………… 「ええと…………ふ、ふつつかだけれども、よ、よろしく…………お願い」 その、恥ずかしげに発せられた言葉。 普段一度も見たこととのない霊夢の照れた寝巻き姿。 吸い寄せられるようにして、僕は部屋の中へと一歩を踏み出していた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 387 ある日の晩、○○は神社の縁側に腰掛け、星を見上げては呆けていた。 霊夢は入浴中、彼女の長風呂は幻想郷でも有名なほどの長さだ。入浴待ちってのもあるが、 この退屈な時間を活用してそろそろやっておかなければならないことがある。 そして子の刻になる頃、西から東からアリス、魔理沙、パチュリーの3人がやって来た。 ○「やあ、本当に時間通りに来てくれたね」 ア「何?今日はあなたが宴会の幹事になるのかしら?」 パ「そういえば霊夢は?」 ○「霊夢は入浴中。宴会も悪くないが今日はもっと大事な用件だからパスだ。 実は…その、これから付き合いたい人を決めようと思ってね」 それを聞き3人の目の色が変わる。 ○「たった今から椅子取りゲームの要領で僕の膝の上を占領できた子と付き合おうと思う」 パ「思ったより簡単なのね」 ○「あぁ手っ取り早くて分かりやすいだろ。さぁもう勝負は始まってる、かかってこい」 ○○がひときわ強く声を上げると合図されたかのように彼の元に突っ込んでいく3人。 ○「おー、こりゃ魔理沙が一番早いか…っておい待てちょっとそれ軌道がおかしくnプギャ!」 魔「…あのなぁ、なんだよこの決め方。私は何となくむかついたぜ」 ○「ムギュ・・・」 魔理沙のヒップアタックをもろに受け仰向けに倒れた○○の顔の上を一人占領し毒づく魔理沙。 魔「…あとお前らももうちょっと怒れよこいつに」 顔を上げると膝の上でおしくらまんじゅうしてるアリパチェ。 霊「あー、襖壊したわね!○○さん後で体で弁償ね」 ○「ムグ…モゴコラどけ魔理沙…あぁ霊夢、実はお前が好きだ付き合ってくれないk」 魔「但し魔砲は尻から出るスパーク!!!」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 527-529 527 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/12(水) 17 40 29 [ ulkobMvM ] 霊夢に殴られたい 528 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/12(水) 18 27 59 [ Njbym132 ] /\/ i 「` ´ ヽ i ノ_,ル,_ 〉 ! l !‘д‘ノリ パーン ⊂彡☆))Д´)← 527 529 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/13(木) 01 46 51 [ 4avbXSBY ] 527 いいなぁ… ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 640 目を覚ますと、倉庫のような場所に居た。 古びれた旧時代の倉庫のようだ。そこは薄暗く、辺りには この倉庫の持ち主の、私物らしきものが置かれている。 風鈴や、団扇、過ぎし夏を思い出させるものばかりだ。 「…ここ、何処だ?」 まず最初に思った事はそれだった。 別に、この倉庫は俺が知っている場所のはずはない。 あの場所から俺は逃げていた。 逃げて逃げ続けて、どこかを通った覚えがある。 まぁ、そんな瑣末な事はどうでもいいだろう…。 とにかく、俺は逃げたのだ。 「出るか…」 いつまでもこんな倉庫に居てもしょうがない。 閉めきった倉庫は埃だらけで、息をするのも億劫だった。 「…っ」 思い切って戸を開けた。 開けた途端、さんさんと出ている日光を身体に浴びる。 天気は晴れ、山や森、川が見える。 「さて、どう言う事なんだろうな」 今あることは疑問しかないが、何となく、すぐに解決できるような予感がした。 周囲を見渡しても、何かあるわけではない。 いや…何も無いからこそ、おかしかった。 俺が今まで居た場所はビルがあり、車があり、無意味に多い人々が辺りを歩き回っている。 そんな場所だったはずだ。 ところが、ここはどうだろう? まるでどこかの片田舎のように、山に囲まれて、川があり、見たことのない自然が 繁栄している。 「…何だ、あれは?」 もう、驚きたくもなかった。 遠くを、見たことのない生物が飛んでいた。 生物というよりは、妖怪といった感じだが。 再び周囲を見回してみると、赤い鳥居に目が行った。 …どうやらここは、一応神社らしい。 「はぁ…」 神社の境内に回ってみると、縁側でお茶を飲む巫女が居た。 その巫女装束は、普通の神社とはまた違うものだった。 「すいません」 「はい?」 思い切って訪ねることにした。 ここが何処なのか、何故俺はここに居るのか。 他にも色々。 まぁ一人の巫女にわかるようなら苦労はないんだけど…。 「ここは、どこですか?」 「あぁ、あなた迷い人ね? ここは幻想郷の博麗神社」 いきなり訳の分からない単語を言われた。幻想郷?博麗神社? 「あんたは…?」 「私は博麗神社の巫女、博麗霊夢」 霊夢、その言葉に奇妙な感じを覚える。 「まぁ、迷い人なら、ここから外に出せばいいのよね。結界の修復は面倒だけど 仕方ないか」 呆れ気味に言う巫女――霊夢は俺の手を取ろうとしたが、俺は無意識の内に 手を引っ込めていた。 「…どうしたの?」 「あ、いや…」 そうだ。 俺は逃げていたんだ。 だから、誰の目の当たらなそうな場所に居るしかない。 ここは、そういう意味でも絶好の逃げ場所だろう。 「…とまぁ、そういう訳なんだけど、分かった?」 俺は一通りこの幻想郷についての説明を受けていた。 ここは隔離した世界とでも言うらしい。 妖怪が居る世界という説明で何となく納得できた。 「一つ質問があるんだけど」 「なに?」 「俺がここから出て行ったら、もうここには来れないのか?」 「結界の修復をするしねぇ、無理とは言わないけど、難しくなると思うわ」 …嫌だな。 せっかく、見つけたんだ。あんな世界には戻りたくない。 虚構に彩られた世界。 何が正しくて、何が正しくないのか、そんな曖昧な世界には…戻りたくない。 それに…彼女――霊夢の事も妙に気になっていた。 何故気になるのかも分からない。しかし、気になるのだ。 「あー、倉庫でよければ貸すけど?」 「あぁ、借りるよ」 ここに知り合いなんて居るはずもない。 塒があるだけでもありがたい。 今の俺には、ここを調べるという事だけが、一番重要なことだった。 人間の手が入っていない、素晴らしくも物足りない世界。 方向感覚にだけは自信があるので、夜まで俺は歩き続ける事にした。 霊夢は変な奴だ。 …変な奴とまで言うと語弊があるが、ともかく俺のであった人間の中では 比較的変わった奴の部類に入る。 だが、どことなく懐かしい気がするのも事実だ。 もしかしたら、何処かで会ったのかもしれない。 「それはないな…」 霊夢はこの幻想郷に居るのだ。 彼女が向こうに行ったなんてことはありえない。 「あら、それはどうかしら?」 夕闇に染まり始めた時、その声は響いた。 目の前に現れたのは、一人の女性。 傘を手に持つ姿は、一見して見惚れるくらい美しかった。 だがその女性が放っている奇妙な空気、とでも呼ぶべきか それだけは人間にあるまじき気配だった。 「もしかしたら会った事があるのかもしれないし、ないのかもしれない」 「いつの間に…それよりも…どういうことだ!?」 「まぁそんな事はどうでもいいわ。あなたは気付いていない」 俺が…一体何に気付いていないと言うんだ? 女性は軽く頭を振ると、俺に向かって微笑する。 「輪廻する想いは別れ、巡り、そして再び出会うの…霊夢とあなたもそんな 切れることのない縁で結ばれている」 「あんたは…一体何なんだ?」 問いに対して、女性は何も答えない。 漆黒に彩られた夜が降りて、森に住まう妖怪達がざわめき立つ。 「…いない?」 ほんの少し目を逸らした隙に、女性は居なくなっていた。 彼女は…一体何者なんだろう? 「あぁ、それ紫よ」 「…紫?」 霊夢の話によると、強力な妖怪らしい。 普段からあんな風に掴み所がなく、言う事が大体、胡散臭いらしい。 「真に受けちゃダメよ」 「…あぁ」 もっとも、あまり意味が分からなかったけど… その日、倉庫で見た夢は暗い夢だった。 一人の男が居る、女性が居る。 感覚的に何故かはっきりと分かる。 あの男は…恐らく『俺』で女性の方はきっと『霊夢』なんだと。 『もうすぐ、お別れね』 『そうなるな。…お前は一緒に来ないのか?』 『私には…幻想郷に居るっていう義務があるから』 そんな義務…捨ててしまえ。 男は人間の住まう世界に帰らなければならなかった。 最愛の博麗の巫女を置いて。 『だが、再び会える日がくる』 『それは何時かしらね?』 『例え、俺が死んだとしても、お前とは…必ず会える…再び…会える事を ――俺は願う』 ブツン まるで、出来の悪い映像が切れたような音が鳴った。 起きてみると、寝汗しかかいていない。 今のは、きっと前世の記憶とかいう感じの夢だろう。 まだ日も出ているわけではない。 頭が痛い。 魂から沸き起こるような奇妙な想い。 前世の俺が叶えることができなかった博麗の巫女への想い。 「…しょうがないな。伝えてやるよ」 まだ寝かけている頭を無理に覚醒させながら、俺は起き上がり 現在の博麗の巫女の元へ向かった。 「…起きているか?博麗の巫女」 境内の方にに向かってみると月下に佇む一人の巫女が居た。 その雰囲気は日の出ていた時の霊夢とは、また違った雰囲気をもっていた。 『待っていたわ』 はっきりと夜に響く声で彼女は言った。 「…伝えなければならないことがある」 俺の言葉じゃない。 『あの男』の言葉だ。何が起きても、もう不思議とは思えない。 今はただ、『この男』に『俺』という器を貸してやるということだけだ。 『私も伝えなければならないことがある』 「それは互いに奇遇だな」 本当はわかっているのだろう。 不敵な笑みが自然とこぼれる。 『会って言わなければならなかった』 「…俺もだ。だが、生きて会うことは出来なかった」 だから、輪廻なんていうものに頼ってしまった。 会える保障なんてないはずなのに、それに頼る。 それだけの想いが…あったのだろう。 博麗の巫女はくすくすと笑いながら、呟く。 『会えて、良かった』 「また…共に――」 自然と抱き合うような形になっていた。 彼女の想いと、温もりが俺の方にも感覚的に伝わってくる。 すぅっ、と体が一瞬だけ、軽くなった。 「…で、離れないの?」 「気付いてたなら、言えば良いだろ」 『男』と『博麗の巫女』の想いが離れて行っても、俺達は 抱き合ったままだった。 もしかしたら、こういうのが自然だったのかもしれない。 「…薄々とは気付いてたの。色々とね」 「俺は、夢に見て気付いた」 「輪廻してからの、この想いも…未だあなたに向けられているのね」 「それは、俺が想われているって事か?」 霊夢は顔を赤くしながら、黙ってそっぽを向く。 月光に照らされた顔は、夢に見たものとも、先ほどの彼女の顔とも 違っていた。 「…仲良いじゃない」 「「うわっ!?」」 急にかけられた声に俺達は一瞬で離れた。 妖怪さん――八雲紫が何処からともなく現れたのだ。 「あんた、一体どこから来るのよ!」 「そこの異次元から」 霊夢の言葉にあっけらかんと答える紫さん。 「まぁ、一部始終は見させてもらったわ」 「…紫、もしかしてあんた知ってたの?」 「知らなかったら、そこの子に教えないわよ」 そう言って俺を指差す。 どうやら、最初からお見通しだったというわけらしい。 俺が輪廻した者だという事。博麗の巫女の想いを受け取るべき 存在を、身に宿す者という事を。 「ま、とりあえず、一件落着でしょう。貴方達、この際だから許嫁にでもなったら?」 「許嫁!?」 「って、何でそこまで話が飛躍するの!?」 「言ったでしょう。想いは別れ、巡り…そして再び出会う。 別れる事となって後悔したくないなら、早い内にくっついた方がいいのよ」 確かに正論ではある。 だが、それはお互い想い合っていればの話だ。 今日出会ったばかりの俺と霊夢に言うのは無理がある。 「…別に、いいんだけど」 「は?」 俺は耳を疑った。霊夢がそんなことを? 「博麗の巫女の想いは…未だ残っているの。あなたを想う気持ちが…」 それはつまり… 「あら、貴方は感じないのかしら?あの男が残した『想い』を」 …目を閉じると、暗闇の向こうに、一人の少女が立っていた。 俺は、彼女――霊夢が愛しいと想う。 出会った時や時間なんて関係ないものだ。 前世の『俺』が言う。 「あぁ…俺って、霊夢が好きなのか」 過去の二人が巡った時間、それを俺達は引き継いだ。 互いをこんなにも想っている。 「…一応、前世の想いなんてのがあるけどさ… 俺はお前が好きだ」 月光に照らされる少女の髪が、ふわりと揺れた。 後書きという遺書。 訳ワカメでした。 ノリに任せて書いていたら、いつの間にか妖精さんが書いてくれました。 冗談ですが。 えっと、前世ネタなんで、感覚で愛を感じろ…でしょうか? ギャグは一切無しで頑張ったんですけどね… とりあえず、リクエストしてくれた方には本気で申し訳ないくらいです。 この場で、588の方に全力で謝罪しておきます。 ごめんなさい。俺はあんたの期待を裏切った。 …いや、期待されていないかもしれませんが。 ひとまず、期待してくれた方には感謝を、そして俺は地獄行く。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 856 降り始めた雪は、朝になる頃には一面の雪景色を予感させた 「ご馳走様。…随分暖かくなった」 「こういう日はこれが一番よ」 霊夢が作ってくれた夕食は、野菜を煮た汁に酒粕を溶いたものだった 「ふー。腹一杯だ…」 「寒いからって食べ過ぎじゃないの」 「腹ごなしでもすっか。外行こうぜ」 「…はぁ?」 雪で白みつつある神社の階段を静かに降りる 身を切るような寒さだが、冬の冷たい空気は何とも心地よい 「なぁ霊夢、冬の夜って特別な気がしないか?」 「寒いから嫌よ」 . . .... .. Λ_Λ . . . . / 彡ミ゛ヽ;)ー、 . . . / / ヽ、ヽ、 i . . . . / /;; 弾 ヽ ヽ l . . . .  ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ 終わっちゃうだろそれじゃ… き、気を取り直して続きだ 冬の夜が好きだと、霊夢に話してみるが上手く表現出来ないものだ 霊夢はマフラーで口を覆い、更に両手で抑える 俺との身長差から、上目遣いになる。なんとも言えず可愛い 「あなた、私には見えない何かが見えてるのかしら」 「そうか?」 「でもわかるわ。特別に感じる季節があるのは自然の事よね」 少しの間、沈黙が続く 「実は、この散歩は口実に過ぎなかったんだ」 「え…?」霊夢は訝しげにこちらを見る 今日という日を選んだのも、冬が特別なものなのだから 霊夢の肩を引き寄せ、背中に腕を回し、その小さな身体を抱いた 「あ……」驚いたようだが、抵抗は無い 「好きだよ、霊夢…」 返答は無かったが、霊夢も腕を背中に回してくる。 それだけで十分すぎる返事だ 例え言葉が無くても、受け入れられたという満足感で旨が一杯になる 寒さで乾いた唇を湿らせ、優しくゆっくりと唇を重ねる 彼女の小さな唇も乾いてはいなかった びょう、と風が吹くと互いを抱く力は強くなった。寒いはずなのにかえって暖かい 冷たい空気も、降りしきる雪も、今では心地よい祝福の言葉 備考:絵板2342の霊夢かわいいよ! ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 896 「お待たせ。もう準備は済んだのかしら?」 ぽっかりと空間に穴が空き、スキマ妖怪こと─八雲紫がにゅっと顔を出す。全く心臓に悪いものだ 俺が幻想郷を去るにあたり、外界との境を隔てている結界の破壊や修復が可能な彼女の力は必要不可欠だ 「ああ、全部済んでいる」 「最後にもう一度だけ…後悔しないわね?」紫はじっと俺の方を見る 「ああ」一瞬だけ、俺の心に何かが引っかかるような感じがした 「…そう。わかったわ」 最後の決断。もう後戻りはできない その時、霊夢が何かを抱えながら廊下を歩いてきた 「…これ、後で食べて」 霊夢が差し出したのはどう見ても弁当らしき代物。 「…人里までどれぐらいあるのかわからないし、途中で疲れても知らないわよ」 「霊夢…」霊夢の心づかいに、ドキっと心臓が鳴る ──この世界に流れ着き、いきなり妖怪に襲撃を受けた時も ──大怪我をした俺に、神社の部屋を貸してくれたのも ──怪我が治るまで何もすることが出来ない俺の面倒を見てくれたのも 楽園の素敵な巫女こと博麗霊夢。彼女はいつだって、俺のそばにいた… そして俺は、何一つ報いることが出来無かった 「本当に俺…何て言ったらいいか」 「…何回言わせるのかしら。私のことなんて気にしなくていいの」少々素っ気無い返事 「本当に…ありがとう。霊夢」霊夢に向かって深く頭を下げる。この程度の礼もできないようでは恥としかいいようがない 「…ううん、どういたしまして」霊夢は小さく頷いた 「元気でね」 「君こそ」 別れの挨拶としては、余りにも簡単なものだった (…霊夢) (何よ) (いつものあなたはどこに行っちゃったのかしら?) (…) (あなたはいつだって、思い立てばすぐに行動してたのに) (…これは私の都合だけじゃないでしょ) (夢と伝統を保守する巫女。あなたはいつだって正しいのだから) (…) (…ありがと、紫) 神社の鳥居をくぐると、奇妙な感覚が俺を包んだ。これが結界を抜けるといことなのだろうか 後は振り返らずに、俺はどんどん歩みを進める。 辺鄙な山奥とはいえ、ここは元の世界なのだ。もう振り向いたって仕方が無い 「…待って」少しだけ聞こえた、聞こえるはずの無い声 俺は驚き、思わず後ろを振り返る 「…霊夢! どうして」 霊夢は何も言わずに、俺に抱きついてくる 突然のことで思わずもんどりうって盛大に尻餅をつく 霊夢は俺に覆い被さるようにしたまま、顔を近づけると唇を重ねてきた その時見てしまった。霊夢の頬が涙で濡れているのを─ 「私…あなたと一緒に…いたい…」泣き声になりながらも、はっきりと告げてくる 「引き止めちゃ…いけないのに…でも…好きなの…離れたく…ないの」 俺は立ち上がると、霊夢の細い身体をしっかりと抱く。今度は俺から優しくキスをする 「戻ろうか」 霊夢はこくりと頷いた 夢と伝統を保守する巫女は、伝統を捨てて夢を追った 夢を捨てかけた俺は、現実を捨てて夢を取り戻した これからは、どんな夢が待っているのだろうか 人は、夢を見ることができる。夢を手に入れることもできる 最早恋と言う夢では無く、愛という現実のものなのだ ─────────────────────────────────────────────────────────── 2スレ目 8 「霊夢、君の心を俺という金で売ってくれないか?」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 2スレ目 17 俺「あー……熱いお茶がしみるなあ」 霊「んー……熱いお茶がしみるわね」 ずず……。 俺「なあ」 霊「なに」 ずずず。 俺「結婚してくれ」 霊「ああいいわよ」 ずずずず……。 俺「そっか。んじゃそういうことで」 霊「ん。 ……お煎餅、食べる?」 俺「貰う」 霊「ほら。口開けなさい」 俺「あーん?」 ぱりっ。 霊「湿気てない?」 俺「お前のお肌くらいには張りがあるよ」 霊「そ。私も食べよ」 俺「食え食え」 ぱりぱり。 霊「……んー。これからもよろしくね」 俺「……んー? ああ。よろしくな」 霊夢はこれくらいまったりと適当にするのが似合うと思った、晩秋の日。 あ、石投げないで! ─────────────────────────────────────────────────────────── 2スレ目 65 珍しく紫さんが神社に遊びにきた。 紫さんはおそらく幻想郷一なんじゃないかと思うほど美しい。 その美しさについ見とれてしまう。ドカッ そのたびに霊夢にぶん殴られるが、それでも(ドスッ 結局その日は10回くらい殴られてしまった。 …全く、橙と遊んでやってるときも殴ってくるから教育に悪いんじゃないかと思ってしまうが。 (「おねぇちゃん、○○痛そうだよ?」「橙、気にしなくてもいいのようふふ」「ヒィィ」) 紫さんが帰った後、二人で石段に腰掛ける。これもいつものことだ。 「ねぇ」 「ん?」 「私のこと、本当に好きなの?」 「ああ」 「貴方の紫に対する視線からすると、どうもそのようには見えないけど」 「いや、あれは違うんだ・・・。美しいものにはつい目が逝ってしまうんだ。だから、sの、あれd 「結局、紫の方がいいんでしょ?」 「いや、俺は霊夢、お前が好きだぜ」 「信用しにくいんだけど」 「いいか、紫さんなんてな、ただ美人なだけなんだ。 内面は腹黒いし、式をこき使う冷酷な奴だし、 年増だし、無駄に睡眠取ってるし、足は臭いし・・・(やべ言い過ぎt(ry 「そうなの?」 「そうさ。お前の方が良いに決まってる」 「本当に本当なの?」 「ああ」 「良かった~。」 そういうと霊夢は俺に抱きついてきた。 よし、今だ、この際にキスを・・・。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・ |┃三 , -.―――--.、 |┃三 ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ |┃ .i;}' "ミ;;;; } |┃ |} ,,..、_、 , _,,,..|;;; | |┃ ≡ |} ,_tュ,〈 ヒ''tュ_ i;;;;| |┃ | ー' | ` - ト'{ |┃ .「| イ_i _ 、 }〉} _________ |┃三 `{| _;;iill|||;|||llii;;, 、 .!-' /話は聞かせてもらったぞ! |┃ | ='" | <貴様ら二人ともスキマ送りだ! |┃ i゙ 、_ ゙,,, ,, ' { \ |┃ 丿\  ̄ ̄ _,,-"ヽ \ |┃ ≡'" ̄ヽ \、_;;,..-" _ ,i`ー-  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |┃ ヽ、oヽ/ \ /o/ | ちょちょちょ、ま、待て、やめ、助けt、うぎゃぁぁぁぁぁぁっぁ --- 博麗霊夢と○○、八雲紫に宣戦布告 ――スキマ妖怪、二人に過酷な報復措置―― (3面に関連記事) ○日、博麗霊夢と○○はスキマ妖怪の八雲紫に対し、宣戦布告を行った。 八雲紫は式を伴って博麗神社を訪れ、博麗霊夢、○○と遊んでいたが、 夕方、帰った後に事件は発生した模様。 八雲紫は変える振りをして二人の様子を探っていたが、 ○○と巫女はそれに気づかず雑談を始め、 逆鱗に触れるようなことを逝ってしまったらしい。 その内容は具体的には「足が臭い」とか「足が臭い」とか「足が臭い」といった 八雲紫に対する悪口が主である。 このスキマ妖怪の足が臭いのは周知の事実であるが、 事実であるがゆえに逆鱗に触れた模様だ。 マヨヒガ在住のRさんは「足が臭くて臭くて・・・。とても寝れたもんではない。 私だけなら我慢するが、橙の教育に悪いのではないかと思っている」と語る。 重ねて言うが、このスキマ妖怪の足が臭いのは周知の事実である。 が、タブーであるようだ。 実際のところ、これを書いている筆者の背後にも殺意が感じらr・・・ 「文。」ビクッ 「あなたもスキマ送りにした方がよさそうね。事実なら書いてもいいって訳ではないのよ」 ひぇぇぇぇぇ --- ゆかりん☆しんぶん 危険分子を派手に始末 ――ゆかりん、スキマ送りの刑で秩序の回復を検討―― 次の日、配られたのはそんな見出しの新聞だった。 ----------------------------------- あとがき ----------------------------------- いつもはプロポスレを読むだけで楽しんでいたのですが、 妄想は止められず、今回初めてSSを書いてみました。 始めは、 霊夢との愛を確認→その際に紫を悪く言ってしまい、スキマ送り という感じで書くつもりでいたのですが、 次第に尾ひれがつき、結局訳の分からん話になってしまいました。 書きたいものを書きたいように書くというのは難しいと改めて実感。 人に見せられるレベルのSSを書けるようになるまでは精進あるのみですね。 つまらない物でしたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 2スレ目 502 霊夢の上手な口説き方 まず、札束を二組用意する。 金額は多いほど、成功率が高いぞ。 次に、いつものように掃除を怠けている霊夢が挨拶してくる前に、その札束を見せる。 呆然としている霊夢の前を悠々と歩き、素敵なお賽銭箱の前へ。 「こっちの札束は、賽銭だ」 そういいながら、片方の札束をお賽銭箱へ投下。 札束は吸い込まれるようにお賽銭箱の中へ。 そして、そのまま霊夢の元へ行き、彼女の目を見つめる。 「そして、こっちは俺と霊夢の結婚資金だ」 こうして、感極まった霊夢が抱きついてきたらプロポーズ成功。 夢想封印が飛んできたら失p(夢想封印 ─────────────────────────────────────────────────────────── 2スレ目 811 今日もここ博麗神社では何時ものように宴会が繰り広げられていた。 夕日が己が赤で境内を染めていたころ開かれていたこの会も、今では満月が幻想郷全体を照らすがごとく、天蓋の頂点に位置している。 「―…綺麗ね」 「ん?」 騒ぐ皆を尻目にポツリと零すように、僕の傍らで座っている霊夢は呟いた。 彼女が指しているのが月の光眩い夜空か、 それとも、囲炉裏の火が本日の宴会の客人たちをまるで影絵のように照らしている様なのかは僕には解らない。 「今日、みんなに私達のことを全部話すのね…」 僕と霊夢が宴会に直接参加していないで、片隅で寄せ合って座っているのは、 今日の宴会の真の目的たる、ここに居る全員に二人の関係を告白する為の心の準備でもあったから。 すると、霊夢は僕に身を預けてきたので、手をぎゅっと握り締めてあげたら、 彼女は全信頼を預けるかのように身を完全にもたらせてくれた。 「…もう少し……このまま…ね?」 言った彼女の表情までは見て取れなかったが、その声には若干の怯えが在ったのかも知れない。 博麗の巫女を奪うことが幻想郷のバランスをいかほど崩すかは僕の知り得た事ではないけれど、 胸の中の愛しい人を守るためなら、僕はこの命までも投げ出そうと心に誓った。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 111 散歩から戻ってきた俺を待っていたのは、目に涙を浮かべた霊夢だった。 彼女の手には、ぼろいルーズリーフのノート。 「霊……夢?」 縁側に座って俯いていた彼女は、俺の方を向いた。 「ごめん……この日記、読んだ」 突然この幻想郷に迷い込み、妖怪に襲われて死にかけていた、 そんな俺を助けてくれたのが霊夢だった。 それだけでなく、元の世界に戻れるまでこの博麗神社に泊めてくれている。 霊夢には、どれだけ感謝してもお礼をしても足りない。 元々武術も習っていないし運動音痴な俺に、 この幻想郷で出来る事は少なかった。 掃除や洗濯等の家事を手伝っているが、 それでも一日の大半は時間を持て余していた。 そんな日常の中で、数少ない楽しみが日記だった。 (見た限り)平和な日々の中の、些細な変化を書き留めるのが楽しかった。 白黒の魔砲使いとの会話。 時々天狗の娘が運んでくる新聞。 幻想郷で迎えた新年。 毎日の出来事を、事細かに書き記していた。 そんな日記が、毎日内容が同じようなものになっている。 霊夢。 俺の命の恩人。 いつからか、俺は彼女に恋心を覚えていた。 日々募る彼女への想い。 今では、寝ても醒めても彼女の事が頭から離れなかった。 そして、日記もここ1、2週間は彼女一色だった。 「えっと……もしかして全部?」 こくりと頷く霊夢。 昨日の夕方に書いた日記。 告白の台詞の候補を書き連ね、 あれがいいこれがいいと考えを巡らせ、 いつ告白したらいいかと考え、 そんな事をしているうちに日が暮れて。 そんな内容の日記。 そこまでも全部、霊夢に読まれてしまった。 独り言だからこそ成り立っていた日記。 それを全部、盗み聞きされてしまい。 ――王様の耳はロバの耳―― 「……私の事、あんな風に思ってくれてたんだ」 霊夢が若干上ずった声で言う。 ――ロバの耳の王様は、 最後には笑われる覚悟で耳を民に晒した―― 「今更遠回しな台詞なんてもういいな。 霊夢…………君が好きだ」 ――しかし、民は王様を笑う事無く―― 「元の世界に……戻りたくないの?」 「それは、多少は戻りたいとは思う。 突然いなくなって、親も心配してるだろうし。 でも、今は君が何より大事だ」 ――逆に、勇気を出して欠点を打ち明けた王様を称えた―― 「……あなたって、本当に親不孝者ね。 でも、あなたに好きって言われて……嬉しかった」 霊夢の目から涙が零れ落ちる。 「春になったら、元の世界に戻りなさい。 親を悲しませたら、駄目。 ……でも、必ず戻ってきて」 「わかった、ありがとう……霊夢」 俺は、霊夢を強く抱きしめた―― 霊夢に告白してから数週間。 春妖精が遠くの空を飛び回っている。 今日、俺は元の世界に戻る。 目の前には、スキマ妖怪の紫と、顔を伏せた霊夢がいる。 「それじゃ、元の世界への道を開くわ」 そう言って紫は目の前の空間に裂け目を作った。 「……………………」 霊夢は俯いて黙ったままだ。 「それじゃ……また」 俺は霊夢の前に立って、静かに言う。 すると、霊夢は顔を上げて俺の方を向き、 ちゅっ 「……………………」 「早く…………戻ってきてよ」 「……わかった」 そして、俺は空間の裂け目へと入っていった…… 「ふふっ、お熱いこと」 その様子を、横から紫が微笑みながら見ていた。 彼が自分の世界へ戻ってから、丁度5年。 今日は、いつもの春と何か違う。 おそらく、きっと―――― 「ただいま」 声の方を向くと、そこには私の望んだ人がいた。 「遅いわよ」 終わり ――後書き―― えー、初SSです。 思いついたままに書いたら、こんな感じになりました。 話の展開が出鱈目だし。 持ち出した設定、全部使えてないし。 えーと、お目汚し失礼しました。 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/hgks/pages/12.html
ゲームの画像を載せる場所です モンスターハンターの画像 モンスターハンターの画像はここにお願いします その他のゲームの画像 それ以外はこちらへ
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/489.html
霊夢19 12スレ目 130 「とりあえず、風邪薬と熱さまし渡しておくわね。風邪薬は毎食後、熱さましは熱が40度を越えたら使いなさい」 「ああ、わかった」 俺は永琳から薬を受け取った。 まぁ、具合が悪いのは俺じゃないんだが。 「しかし、今年の風邪はたちが悪いな」 「ええ、うちもついにウドンゲとてゐが二人とも倒れちゃって、姫と二人で朝から永遠亭みんなの看病で大忙しよ」 「……珍しい、あの姫様が」 そう、今この幻想郷では風邪が猛威を振るっているのだ。 なにしろ、人、妖怪問わず感染し、40度を超える高熱を発し数日寝込むくらい急速に悪化する。 しかも感染力が非常に高く発病に1日かからないので幻想郷全域に広まるのにさほど時間はかからなかった。 聞いた話によると輝夜、永琳以外に発病していないのは俺だけらしい。 ……誰だ幻想郷一の⑨っていったやつは…… 「さて、私はこれから紅魔館に行ってくるわね。あそこはもう誰も動くことができないみたいだから」 「うわ、咲夜やフランまでダウンしちゃったのか……」 「ふふ、それにしても彼女はいいわね。つきっきりで面倒みてくれる人がいて」 そう、この風邪は幻想郷全域に広まった。ここ博麗神社も例外ではなく…… 「まぁ、あなたがいれば大丈夫でしょうが、とにかく水分、栄養、休息、そして病人へのいたわりが大切よ。 最後のところは心配いらないでしょうけど」 「ああ、まかせておいてくれ」 「じゃ、なにかあったらすぐに知らせなさい。かけつけるから」 「わかった。ありがとう永琳」 「それじゃお大事に」 そう言い残し、彼女は次の診察に向かっていった。 「ふぅ、あの調子じゃ休む暇もないんだろうなぁ…… さておかゆでもつくるとしますか」 ――――青年料理中―――― 「ウルトラ上手に出来ましたっと」 俺は出来上がった特製おかゆを小さな土鍋に移し 彼女の寝ている部屋へと急ぐ。 「おーい、霊夢ー。起きてるかー? 飯食べられそうかー?」 「うー、あんまり食べたくないー」 襖を開けるとそこには布団に入って真っ赤な顔で唸っている少女がいた。 彼女がこの博麗神社の素敵な巫女、博麗霊夢である。 ってなんで俺説明口調なんだ? 「だめ。ちゃんと食べないと直らないぞ。ほら、起こしてやるからしっかり食べな」 「うん、わかった」 彼女の上半身を起こしておかゆの入った土鍋と蓮華を渡す。 うーん、しかし風邪をひいている姿の霊夢はどこか引かれるものがあるな。 潤んだ瞳、ほつれた髪、うっすら汗の浮かんだうなじ…… それに普段凛とした雰囲気のある彼女がなにか年相応の少女みたいになっているところなんかなんとも…… はっ、いかんいかん。病人相手になにを考えている、俺は。 考えを払拭させるべく俺はたわいもない世間話をもちかける。 「そういや、おかゆの材料買うために里まで行ってきたついでに香霖堂覘いてみたけど霖之助さんもまだ治ってないみたいだったよ」 フラフラしながら店に出てきたときにはさすがに驚いたが。 「へぇ、そうなんだ。ねぇ、外の世界でもこんな風邪ってよくあったりするの?」 「うーん、そうだなぁ……もし例をあげるならインフルエンザかな?でも今はワクチンであらかじめ予防したり タミフルっていうインフルエンザ用の薬も出てるし、ここまで一気に広まったりはしないかな」 余談だが俺はインフルエンザにかかってもあの薬は飲まん。まだ永琳の正体不明の薬を飲んだ方がマシだ。 いや、どっこいどっこいか? 「あ、あと帰りに自分の氷頭に乗っけてウンウン唸ってるチルノ見たときは笑っちまったよ」 「なにやってるのかしらね、あの妖精は……」 っと、食べ終わったみたいだし、あとは薬を飲ませて休ませないとな。 「ほれ、風邪薬と水。それ飲んだらまたゆっくり眠りな」 「うん、ありがと。……んっ、あのさ一つお願いがあるんだけど……」 「うん?いいぞ、俺ができる範囲ならな」 「えーとね、おでこに手をあててほしい」 「あいよ、了解」 そういい俺は霊夢の額に手を乗せる。やっぱり熱があるせいだろう。手のひらがあっという間に熱くなる。 「えへへー、冷たくていいきもち」 むー、かわいいなぁ。いつもはそっけないし、素直じゃないことも多いし、いっそこのままずっと風邪でいてほしいと思う俺は不純ですか? 「もういいか?じゃ食器洗ってくるからいいこで寝てるんだぞ」 「いわれなくてもわかってるわよ。おやすみ」 さて、洗いものが終わったら掃除を始めようか。 夜中になって霊夢の症状は悪化した。 「はぁ、はぁ……」 「まずいな、41度7分もある」 呼吸をするだけでも苦しそうで意識も朦朧としている姿はとても痛々しくて見ていられない。 こんなとき何の力にもなれない自分がとても妬ましい。 「あ、そうだ。永琳から貰った薬に解熱剤があったな」 そうそう、たしかこの袋の中に…… そして袋の中から出てきた薬は―― ――――どう見ても座薬です。本当にありがとうございました。 「……うんっ!!わかっていたさ!!こうなる事ぐらい!!わかっていたけどさぁ!!」 たしかに俺と霊夢はもうタダならぬ関係ですよ? 体のどこに黒子があるかも全て記憶してますよ? でもこれはないでしょう!?飲み薬とかあるはずだよねぇ!? はっ!?こうやって俺が取り乱すことさえ計算済みっ!?えーりんおそるべしっ!! 「うううぅ……」 「はっ――」 霊夢の苦しげなうめき声で俺の頭は急激に冷えていく。 そうだ、俺がバカなこと考えているときも霊夢は苦しんでいるんだ。 なにもやましいことじゃない。心を落ち着かせて薬を使わなくては。 「――心頭滅却、明鏡止水、体は剣でできている」 よし、覚悟完了。 俺は布団をどかし、霊夢の寝間着の裾を捲り上げる。 ――ああ、霊夢の足シミ一つなくて本当に綺麗だぁ…… ってまた変な妄想してるっ!?ダメだダメだ。 気を取り直し、下着に手をかけ…… 「ねぇねぇ、霊夢が風邪で倒れたって聞いて様子見にきたんだけ、ど……」 なんで、いつもジャストなタイミングで出てくるんですか?ゆかりサン?…… 「あらあら、お邪魔だったみたいねぇ?それじゃごゆっくり~」 「まってぇーーーー!このまま放置していかないでぇーーーー!!」 その後どうしたかっていうと永琳を呼んできてもらい男の俺には出来ないこと(着替えや体の汗拭きなど)をやってもらい 今は三人で一息ついているところだ。 ちなみになぜ彼女が平気なのかというと病人と健康の境界をいじったからだそうだ。 ……もはやなにもいうまい。 「にしてもやることがなくてそわそわしているところなんかすごくかわいかったわぁ。 うちまで攫っていっていじめたおしたいくらい」 「あら、奇遇ね。私も実験にも愛玩用にも使えるこんなかわいいモルモット、霊夢に内緒で持って帰ろうかと思ったわ」 この二人笑ってはいるけど目がマジです。 「やぁねぇうそよ、うそ。本気にしないの」 「そうよ、人の男に手を出すほど飢えてないわよ」 ……幻想郷には嘘つきしかいないのだろうか? 「さてそれじゃ私はおいとまするけどあなたも早めに休みなさい。看病は意外に疲れるのよ」 「ああ、じゃ最後に霊夢の顔みてから休むって……なにさ?」 「やぁねぇ、ここまで見せつけてくれるなんて。甘すぎて砂糖吐きそうよ」 「ええ、私たちのこといきおくれの年増って見てるに違いないわ。イケない薬注入してやろうかしら?」 「……アンタら、とっとと帰ってくれ」 「はいはい、それじゃまた様子見にくるわね」 「本当に早めに休みなさいよ」 幻想郷の少女臭コンビは最後まで騒々しく帰っていった。 はぁ、なんかどっと疲れた。霊夢の顔見たらすぐに布団に入ろう……。 「いよぅ、調子はどうだい?」 「うん、熱さましが効いてるからそんなに辛くないかな」 たしかにさっきよりかは少しは顔色もいいみたいだ。 「ねぇ、寝る前に最後にお願いしていい?」 「なに?のど渇いた?水?」 「あのね……キス、して?」 布団から半分顔を出して潤んだ瞳で上目遣いをしている霊夢はとてつもなく可愛い。 ヤラれた。どうしてこう不意打ちがうまいんだろう?頭の中が沸騰状態でグラングランだ。 「もしかして、イヤ……だった……?」 俺の沈黙を否定と受け取ったみたいだ。 「いやいや!!そんなことない!それじゃいくぞ……」 「うん―――んっ」 ただ唇が触れ合うだけの軽いキス。 「……これでいいか?」 「だめ……たりない……もっと強いのをちょうだい……あっ」 さっきよりも強く、求めるようなキス。 「んぅ……んっ…ちゅっ……ふ……ぁっ……」 俺と霊夢の離した唇の間に銀糸が渡る。 「…………」 「……ありがと。元気出てきたよ。すぐにでも元気になりそう」 「それはよかった」 「うん。疲れたでしょう?もう休んで。○○が倒れたら私……イヤだよ……」 「ああ、すぐに眠るよ。それじゃもう行くよ」 「おやすみなさい」 目を閉じた霊夢はすぐに眠ってしまった。 おやすみ、いい夢を…… そして翌日みごとに風邪をひいた⑨がここにいるのでした。 「うー、頭痛いー気持ち悪いー目が回るー」 「もぅ、文句言ってないで静かに寝ていなさい」 昨日とはうってかわって立場が逆になってしまった。 って何で布団捲り上げて寝間着の裾持ってるんですか? 「ん~?さっき紫に聞いたんだけど私に座薬使おうとしたんですって?」 「あっあれは不可抗力でっ」 「うん、わかってるけど女の子にそんなことしようとするのはちょっと許せないかな~って」 うひゃあ、笑っているのにとんでもなく怖いー! 「だからってこんなことしなくてもっ、マジやーめーてー」 「ほら動かないの」 「ちょっ、おまっ、アッ――!」 「……本当に入れられるかと思った」 「冗談だって、私だって変な気があったわけじゃないってわかってるし……」 「うー、なんか悪化しそう……」 「じゃ、風邪がすぐ治るようにいいものあげるから目閉じなさい」 「うぃ」 なんだろう?って考えてたら唇にやわらかいものが。 これって……やっぱりアレ? 目を顔を赤らめた霊夢が見えた。 「これが一番の特効薬でしょ?早く風邪治してね」 そういって霊夢は部屋から出て行った。 「……更に熱が出そうだ」 さて元気の素は貰ったんだし、さっさと風邪を治すとしますか。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 138修正版 「それじゃあ行って来るな」 「……行ってらっしゃい、はやく帰ってきてね」 「そんな寂しそうな顔をするなよ、すぐに帰ってくるから、な?」 寂しそうに俯く霊夢に後ろ髪を引かれながらも俺は出掛ける準備をした 「……ねえ、○○」 「ん?なんd、んぅ!?」 ピチュ クチュリ 霊夢に呼び止れて振り向いた瞬間キスをされた 不意打ち状態だったので何の抵抗も無く俺は霊夢の舌を受け入れた 「んっ!ぁ…ふ……あっ」 クチュクチュ 霊夢のやわらかい唇の感触と甘い吐息を味わうだけで 俺の脳髄に快楽の電流が走り霊夢しか目に移らなくなる このまま快楽に流されそうになるのを必死に押し止めて霊夢を引き剥がす 「はぁ、はぁ…これで満足か?霊夢」 「はぁ…ふぁ…はぁっ……うん、行ってらっしゃい」 「ああ、行ってくるよ」 霊夢は俺と離れようとするとすごく嫌がる そして先ほどのようにキスをせがんで俺を放さないようにする それが例え里に買い物をしに行くわずかな時間でもだ 「分かってるんだけどな……」 どうも俺は霊夢のことになると甘くなってしまう それが依存的なものでお互いにとって悪いことだと理解はしてるr 「理解をしているなら何故貴方は霊夢から離れようとしないの?」 ゾクッ!! 「!!!???」 突然気配の無い虚空から声が聞こえたと思ったら、周囲が目玉の付いた奇妙な空間に変わった それと同時に圧倒的な妖気がその空間中に充満したそして俺はその妖気の持ち主を知っている 「紫か!!」 俺が叫ぶと空間に裂け目ができそこから麗しい妙齢の女性が出てきた 「御機嫌よう○○」 彼女こそ他の妖怪とは違う一人一種の妖怪にして 幻想郷の頂点に君臨する境界を操る妖怪八雲紫 「……一体何の様だ」 「何の用?分かってるくせに、私が貴方と会って話すことなんて霊夢との事以外になにかあるの?」 やはりか、紫は俺に会う度に霊夢から離れろと言い続けていたからな 「何度も言うようだけど俺は霊夢から離れるつもりは無い」 「ええ、知ってるわよ、だから今までどおり忠告じゃなくて」 「ん?、っが!!??」 ギリィッ!! 「実力行使で行くことにしたわ」 「がっぁ!?」 ギリギリ!! 突然首を掴まれ軽々と宙に吊り上げられた 見た目は女でもそこは妖怪、人間一人持ち上げるのなんて造作も無いだろう 「でも私は優しいから選択肢をあげる 1:このまま死ぬか 2:私が記憶の境界を弄って霊夢の記憶を忘れる 3:霊夢から離れる」 どれでもいいけどわざわざ私を動かしたのだから1がいいわね」 「ふざ、けるな…ふざけるな!!!」 「あら、どれも選ばないつもり?折角選択肢を用意してあげたのに」 つまんないと言いたげな顔で俺を吊り上げたまま見上げてくる紫 その顔を見ていると俺の胸の中に言いようのない怒りが沸々と沸いて来た 「当たり前だ!!!俺が選ぶ選択肢は1,2,3のどれでもない 4:俺はこの窮地を脱し霊夢と添い遂げる 以外は考えられないんだよ!!!」 「そう、そんなに死にたいわけね」 ブォン!! ドサッ!! 「くっ!げほっげほっ!!…はぁはぁはぁ」 「元気がいいのは結構なことだけど、貴方程度じゃ、私に勝つどころか掠り傷すらつけられないわよ」 そんなの最初から分かてる、何も力の無い俺が紫と戦ったところで勝ち目なんか万に一つどころか億に一つもないだろう 今だってあのまま首を絞めていたら俺の命の火は消えていた 周囲の妖気も一向に減るどころかますます増え、俺の場所だけ重力が増したかのように重圧をかける 「じゃあそろそろ眠くなってきたし幕引きといこうかしら、貴方の死をもって」 「幕引きにはまだ早いぜ!!」 威勢よく吼えたものの正直八方塞だ それでも例え勝機が無かろうとも俺は負けるわけにはいかない 「誓ったんだよ俺は、霊夢を守るって! 霊夢が弱くなったのならその分俺が強くなって霊夢を支えてやるんだってな!!」 どこまでできるか分からないがこのまま何もせず、むざむざと殺されるよりかはましだ 「……そう、これだけ力の差があっても貴方は諦めないのね………… でも残念だけど今の貴方程度の力じゃ、霊夢を守ることなんて夢のまた夢 そして、夢はいつか覚めるものよ」 「だったら夢を現実にするまでだ!!!」 一直線に紫のほうへ疾走する、しかし 「でも残念、貴方は夢を見ることも現実に戻ることもないわ」 紫の手が俺の視界を奪い、程なく俺の意識は闇に沈んだ 「 ○! き !! い! !!」 声、声が聞こえる何を言っているかわからないけど俺を呼ぶ女の子の声が ……そうだこの声は霊夢の声だ、例え地獄に堕ちようとも絶対に聞き間違えることは無い 「 ○!起き !!お い!目を して!!」 霊夢の声が聞こえるごとに俺の意識が蘇っていく 「っ…霊、夢?」 「○○!!起きたのね!!」 「あ、ああ俺は一体」 「紫が連れてきたのよ、森で倒れてたって…」 「紫が?」 俺を殺そうとしたくせに殺さずにあまつさえ霊夢の所に運んできた? 何を考えてるんだあのスキマ妖怪 「本当に、本当に何も無くてよかった、紫も『直ぐに目を覚ますから安心しなさい』って言ってたけど でも目を開けない○○を見てると不安で、もしかしてもう二度と私に笑いかけてくれないんじゃないかと思うと怖くて それで、それで……」 ギュゥ 「大丈夫、俺は生きてるしちゃんと霊夢の側にいるから」 両手を抱きしめ震える霊夢を俺は静かに、力強く抱きしめた そしてそこから霊夢の体の振るえを感じ、どれだけ霊夢が不安だったかが分かった 「ごめんな、霊夢」 「うぅ、良かった、○○が無事でよかった…うわぁーーーーーん!!」 大声で泣く霊夢に俺はただ無言で抱きしめるしかなかった 「ん…すぅすぅ」 俺のことを心配した心労と大泣きした所為か今はぐっすりと眠っている おかげで何故紫が俺を生かしたかゆっくりと考えられる あの時紫は確かに俺を殺す気でいた、それがどうして俺を殺さなかったのか 誰かが助けに入った? それは無い、スキマ空間に干渉できる能力を持った奴は俺の記憶じゃいないし(いたとしても霊夢ぐらいだ 霊夢が言ったことが確かなら紫自身が俺を神社まで連れてきたんだ 「まあいいさ、こうして霊夢と一緒にいられるんだから」 紫に何があって心変わりしたかは分からないが生かしてくれたというのならそのまま生きてやる 「強く…ならなくちゃな」 今回みたいに霊夢を心配させない為に、俺はもっともっと強くならなくちゃいけない 力だけじゃない、心身ともに、霊夢の心と体を守れるぐらいに 「んぅ、どうしたの?○○」 「いや、なんでもないさ、もう少し寝てろ」 「側に居てくれる?」 「ああ、霊夢が目を覚ますまで側に居るよ」 再び寝る霊夢の頭を撫でながら想う 願わくば、この瞬間を永遠に 「紫様、アレでよろしかったんですか?」 「何が?」 「○○のことです、何故生かしておいたのですか? わざわざ殺しにいったというのに」 藍の言うことも尤もね、確かに私はあの時○○を殺す気でいた でも…… 「見たでしょ?あの霊夢の様子を、○○を失ったらあの子、壊れるわよ」 幻想郷を守るために霊夢から○○を引き離そうとしたのにその結果霊夢が壊れてしまうのでは意味が無い それなら○○を生かしておくほうがまだいい それにアレだけ力の差を見せて尚諦めない心、に揺るがない信念があるなら○○はまだまだ強くなる 「ふぅ、取らぬ狸の皮算用ね……眠たくなったし帰りましょか」 「寝酒はどうなさいますか?」 「帰ったらそのまま寝たいから布団の用意だけお願い」 「分かりました、では先に帰っていますね」 「よろしくねー …………頑張りなさい○○、貴方の夢は現実となった だけどその現実はこれからも続いていくんだから」 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ792 少し遅めの昼食をとり食後のまったりとした空気のなか俺は炬燵にあたりながら縁側を見つめる。 冬の季節としては珍しく暖かい日の光が差し込み、雪の積もった庭をやわらかく照らす。 ……近頃霊夢とほとんど話していない。 里の方で異様な数の妖怪が出て討伐の仕事で大忙しだそうだ。 夜遅く帰ってきて、朝早く出かけていく。 顔を合わせることはまれで、会話をすることなど不可能に近い。 ……俺が力になれることはない。 未だにまともな弾幕は張れず、ザコ妖怪にすら手こずる俺が何の手助けになろうか?むしろ霊夢の足を引っ張るだけだ。 そういえば、俺がここにくるまでは霊夢も今の俺のような状況が多かったんだろうなぁ。 やることがなくただ時間が過ぎるのを待つだけの退屈な日常…… そんな日々の繰り返しを続けていた霊夢の気持ちはどうだったのだろうか? さまざまなもやもやを抱えたまま、意識が闇に落ちていく中、ただ一言だけ呟いた…… ――――さみしいよ、霊夢…… 「ふぅ、疲れた」 里の異変を片付けて神社に帰ってきて私は炬燵に突っ伏して眠っている○○を見つけた。 昼食だったのだろう。頭の横につゆの入ったどんぶりがあった。 「もう、ちゃんと食べたものくらい片付けてから眠りなさいよ」 どんぶりを片付けようと手を伸ばして―― ○○の頬に一筋の涙の跡があることに気づいた。 伸ばした手をひっこめ、○○の隣に入り込み彼がここに来てからのことを思い出す。 最初はこの幻想郷に迷い込んだただの迷子だと思った。 すぐに元の世界に帰ると思っていた。 でもそうじゃなかった。 彼はあっという間にこの世界に馴染んだ。まるで元からこの世界で生まれたかのように。 彼は誰とでも打ち解けて、みんなも彼を受け入れた。 宴会では萃香と魔理沙の二人に飲み比べを挑んで、ぶっ倒れたことがあった。 紅魔館の吸血鬼姉妹に振り回されていることもあった。永遠亭で談笑をしていたこともあった。 まるで昔からの友人のようだと彼を知る人々はそう言った。本当に彼は変わった人間だった。 そして一番変わったのはこの私だ。 今までずっと一人で暮らすのに何の不自由もなかったし、それが当たり前だった。 それが人ひとり増えることでここまで変わってしまうことには驚いた。 言い合いをした。すれ違いもあった。喧嘩も仲直りも数え切れないほどした。 ただいまといっておかえりと返ってくることがうれしかった。家に明かりが灯っていることがうれしかった。 二人で食べる食事がこんなにおいしいとは思わなかった。一つの布団でたわいもないことを話すのが楽しかった。 嬉しいこと、悲しいこと全て彼と共に作った。 いつの間にか、心の一番たいせつな場所に彼がいた―― 「………………ん、うぅ」 すこし身じろぎをして俺は目を覚ました。 あの後そのまま眠ってしまったらしい。 妙に肩が重いと思っていたら霊夢が寄りかかって眠っていた。 「…………ふぁぁっ」 俺が動いたせいだろう、霊夢もすぐに目を覚ました。 「おかえり」 「うん、ただいま」 挨拶が済んだ途端に霊夢が俺のひざに向かい合わせに座ってきた。 突然のことに戸惑っていると霊夢が先に切り出してきた。 「……ごめんね」 「いや、急に謝れられても反応に困るんだけど」 「最近ほとんど顔も合わせられなかったし、話すこともできなかったし」 「いや、別に気にしてないし。霊夢も大変なことしてるのわかってたから」 俺は精いっぱいの強がりを言う。 「うそつき」 「え?」 「頬に涙の跡ついてるよ」 急いで頬を拭う。 「もう消えてるよ。それに私しか見ていないんだから気にしなくていいのに」 「でもかっこわるいし、男として恥ずかしいし」 「ふふ、そういうところかわいくて好きだよ」 うれしさと恥ずかしさで顔が熱くなってくる。 「ほんとにごめんね。私自分のことで手いっぱいになっちゃって○○のことほったらかしにしちゃって」 「霊夢……」 ああ、本当に俺はこの少女がいとおしくてたまらない。 この小さな体で有象無象の妖怪を相手にしていると思うとどうしようもない切なさが溢れてくる。 言葉では言い表せられず、俺は行動で示すことにした。 「――ちゅっ」 「んむっ……くちゅ………ちゅっ」 一瞬、または永劫のようなキス。 「ふぁ……ねぇ、今日はずっと話していようよ」 「あぁ、いいけど特に面白い話はないよ」 「それでもいいよ。私は○○の話が聞きたいんだから」 「じゃあ、ずっと話していようか」 「うん、夜明けがくるまで、ううん夜が明けても○○のそばにいたいよ」 俺は力を込めたら折れてしまいそうな霊夢の体を抱きしめ、何を話そうか考えていた―― 「霊夢、好きだよ」 「私も、○○大好きだよ」 「ああっ、もうどうしてそこで押し倒したりしないのよっ!全然進展しなくてやきもきするわっ!!あのヘタレッ!!」 「紫さま……あまり覗き見をするのはどうかと……あとあまりそんな言い方はしないほうが…………」 「はいはい、わかったわよ。もうやめるから藍もあっちいきなさい」 藍をおいやってもう一度スキマの向こうで抱き合っている二人を見つめて 「ふふ、あのふたりほんとお似合いね。まるでお互いの心の帰る場所みたい」 そう呟いてパチンとスキマを閉じた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 418 うpろだ824 霊夢「おかえりなさい」 ○○「ただいま、これおみやげのお団子」 霊夢「あら珍しいわね、おみやげなんか買ってくるなんて何かのご機嫌取りかしら?」 ○○「食べたかったから買ったんだよ、あー寒い寒い」 霊夢「ふーん」 ○○「やっぱりコタツは暖かいなー」 霊夢「暖炉の方が暖かいんじゃない?」 ○○「いやー俺はコタツがいいよ、ってか何で暖炉?」 霊夢「別に」 ・・・なんか機嫌悪いなコイツ。 ○○「お茶入れてくる」 霊夢「いらないわ」 ○○「ん?」 霊夢「私の分はいらないって言ったの」 ○○「・・・なぁ、何か怒ってるのか?」 霊夢「別に」 ○○「じゃあ、なんでそんなに機嫌悪いんだよ」 霊夢「知らないわよ、私はいつも通りよ。気に入らないならアリスのところにでも行けば?」 ○○「・・・なんでそこでアリスが出るんだよ」 霊夢「知らない、さっさとアリスの家に転がり込んでシチューでもご馳走になればいいじゃない」 ○○「おいおい、落ち着けよ、まずシチューはどこから出たんだよ」 霊夢「里で仲良さそうに話してたでしょ?一緒に餡蜜なんか食べちゃってさ。 アリスも珍しく楽しそうな顔してたじゃない。あの子人見知りするから、相当仲いいのね? 食べたくて買ったとか言いながらお団子に手をつけないのをみると、あの後おかわりでもしたのかしら?」 ○○「・・・見てたのか?」 霊夢「薄着してったのが心配で、あんたの上着持って追っかけていったのよ。余計な事しなきゃよかったわ」 ○○「あのな、霊夢、アリスは」 霊夢「言い訳なんかやめてよ!珍しく買出しをかって出たと思ったら、浮気してただなんて!最低よ!!」 ガタッ おそらく、これ以上言葉は通じまい。 そう悟った俺は立ち上がり、自分の部屋に向かった。 離れていても、霊夢が泣いているのが聞こえた。 俺は目的のものを取り出すと、足早に彼女の元へ戻っていき・・・ 霊夢「・・・放っといてよ」 ○○「ほれ」 霊夢「何・・・?」 ○○「ほんとは完成してから見せたかったんだけどな」 霊夢「何よ、これ」 ○○「人形だよ、細かい飾り付けがまだできてないけど。何に見える?」 霊夢は作りかけの人形をゆっくり回して見た。 赤白の布一枚を羽織っただけの人形が、小さな手の中でくるくると踊る。 霊夢「・・・もしかしてこれ、私?」 ○○「お、よく分かったな。まだ服も未完成だってのに」 霊夢「こんなの、どこに隠してたのよ」 ○○「秘密だ、それよりアリスとの事だが」 霊夢「・・・あー・・・」 ようやく自分の勘違いに気づいたらしく、霊夢は俯いてしまった。 恥ずかしかったのか、うなじのあたりまで真っ赤に染めてしまっている。ちょっと可愛い。 ○○「これの次の手順がどうにも思い出せなくてな、 今日たまたま会ったんで教えてもらおうとしたら『同じ事を何回も聞くな』と高めの授業料を要求されてしまった」 霊夢「・・・もう、最初にそう言ってよ」 ○○「知られたくなかったんだよ、人形作りなんて俺のガラじゃないじゃないか」 霊夢「でも、どうしてそんな物作って・・・」 言いかけて霊夢は固まった。こいつめ、やっと思い出したか。 ○○「俺が霊夢に助けられて、ここに世話になり始めてもうすぐ1年経つからさ」 霊夢「・・・あー、もう1年経つんだ・・・」 ○○「早いもんだよな。それでお礼じゃないけど、何かプレゼントしたかったんだよ」 霊夢「・・・いいのに」 ○○「あー?」 霊夢「お礼なんかなくたって、いつも○○が傍にいてくれるだけで十分幸せよ」 俺はたまらなくなり、押しのけるようにして霊夢の隣に入り込んで・・・ ○○「お礼『なんか』とか言うのはこの口か、えー?」 霊夢「い、いひゃい、はなせー」 ○○「この寒い中買出しに出てやったというのに、帰宅一番で浮気しただのなんだのとー」 霊夢「いひゃいってう"ぁー、あぅっ」 ○○「信用してないのか、俺のこと」 霊夢「信用・・・してるけど、さ・・・」 ○○「不安?」 霊夢「・・・うん」 ○○「・・・まぁ、それじゃしょうがない、のかな」 霊夢「・・・ごめん」 普段の霊夢からは想像もつかないくらい、見事にしおれてしまった。 これはこれで可愛いが、何とかしなければ。 ・・・と思う気持ちよりも、このしおらしい霊夢をもっと弄り倒してやりたいという ドS心の方が勝るのであった。 霊夢「んむっ!?」 ○○「ん~~」 霊夢「んーーー!!」 ○○「しょうがないから、俺がどのくらい霊夢のことを愛してるか今一度思い知らせてやろう」 霊夢「ちょ、ちょっと、待っtんむ~~~~!!」 突然唇を奪われ、ジタバタともがく霊夢。 押えつけて苛めてやりたい衝動に駆られるが、今日の俺は自重する。 霊夢「ぷはっ!な、何よいきなり!!」 ○○「思い知ったか」 霊夢「はぁ・・・十分思い知ったわよ」 ○○「なら良し」 霊夢「・・・むぅ」 俺は頬を膨らませる霊夢の頭をポンポンと撫でてやった。 ○○「ごめんな、霊夢」 霊夢「・・・何でそっちが謝るのよ」 ○○「不安だったんだろ?」 霊夢「そりゃ、そうだけど」 ○○「不安にさせてごめんなさい」 霊夢「・・・私の方こそ、ごめん」 ○○「うん、許す」 それを聞いて安心したのか、霊夢は俺の肩にぽんと頭を乗せてきた。 ○○「あ、あと」 霊夢「うん?」 ○○「これは完成するまでお見せしませんので」 霊夢「・・・うん、楽しみにしてるわ。でも・・・」 ○○「ん?でも・・・何だ?」 霊夢「出会ってから1周年って、明日よ?」 ○○「・・・あれ・・・来週じゃ、なかった・・・っけ・・・?」 霊夢「明日」 ○○「・・・・・・・・・そ、そろそろ夕飯の支度を・・・」 霊夢「あれあれ、もしかして来週だと思ってたのかしら? まさか大切な記念日を忘れてたり間違えてたりなんてことはないわよねー?」 ○○「あ、あはははははは」 霊夢「あはははははは」 ぶたれた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 430 うpろだ826 幻想郷の東の端に存在する博麗神社。階段を上りきると境内を掃除している霊夢の姿が見えた。 「こんにちわ。霊夢」 「あら、○○。久しぶりね。今日はなんの用?」 「うん、遊びに来たんだけど、ついでに参拝をしていこうと思って」 「珍しいわね。槍でもふるのかしら?まぁいいわ。素敵な賽銭箱はそこよ」 「わかってます」 さて、僕は賽銭箱を前にして財布を取り出すと―― 「ちょちょちょっと待って!?なにそのパンパンに膨らんだお財布!?」 「うん、話すとちょっと長いんだけど……」 ――青年説明中―― 「ふんふん、かいつまむとその人は、初めて神社で参拝をしようとしていたわけだけど 連れの方が急用でこれなくなったのでたまたま通りかかった○○に自分の代わりに参拝してきてほしいってこの財布を渡してきたってわけね。 盗まれる事とか考えなかったのかしら?」 「うーん。たぶん大丈夫だと思うよ。あの人も“もしネコババなどお考えならば、後日殺すつもりで参ります”って言われたし それに終始笑顔なのにずっと背筋がぞくぞくしてたもん。まるで幽香さんと話しているみたいだったよ」 でも、なんであの人エレベーターガールの格好してたんだろう? 「それじゃ奉納させていただきます」 そして僕は財布の口を開けひっくりかえして―― ――拝符『賽銭弾幕』 ドバァッ!! ズガガガガッ!! 「「うひゃぁ!!」」 瀑布のごとく流れ出る小銭に驚いた。 魔理沙のマスタースパークもかくやというこの硬貨の流れは1分経った後も衰える気配がない。 賽銭箱を揺るがし続けているこの財布、もしかしてスペルカードででもできているんだろうか? マズい、中の小銭よりこの財布の方が欲しくなってきたぞ。 「――きゅう」 って、今までみたことない賽銭の量に霊夢が気絶してしまった。 「わあぁ!?霊夢しっかりー!?」 「――ううん……」 「あ、やっと起きた」 あの後気絶してしまった霊夢を抱き上げ縁側に寝かせて気がつくまででのんびりしていた。 「ええと、たしかすごい量のお賽銭に驚いて気絶したんだっけ…… あれ夢じゃないよね?」 「うん。嘘だと思うなら賽銭箱みてきなよ。小銭で溢れているから」 あのあと賽銭箱をほぼ満杯にしてようやくあの財布は動きを止めた。 「これで博麗神社の信仰も大幅アップだね」 「どうかしらねぇ。ご利益は奉納した金額に必ずしも比例するわけじゃないし ○○一人がいれたものだからあんまり変わらないんじゃないかしら」 「やっぱりそうか……」 「でもあれだけのお賽銭なんだから○○の願いくらいは叶うんじゃない? ねぇ、なにを願ったの?」 「うん、霊夢と相思相愛になれますようにって」 そう言ったら霊夢は真っ赤になって顔を隠してしまった。 「……その願い叶わないわよ……もう叶っている願いはどんな神様でも叶える事はできないもの」 「あっ、そうか。じゃあずっと霊夢と一緒にいられるようにって願うべきだったか」 「もう……ばか……。そんなこと願わなくてもずっとそばにいるわよ。これからもね」 頬を染めて微笑んだ霊夢はとてつもなく可愛かった。 「じゃ、これからも末永くよろしくお願いします」 「はいはい。それでどうする?もう帰る?」 「そうだなぁ。そろそろ日も暮れるし、泊まってもいいかな?」 「うん、わかった。夕飯の支度するから手伝って」 「了解」 僕は夕飯の手伝いをするため霊夢の後に続いた。 ───────────────────────────────────────────────────────────